REVIEW

シカゴ7裁判

  • follow us in feedly
  • RSS
Netflix映画『シカゴ7裁判』サシャ・バロン・コーエン

本作は、ベトナム戦争に反対する抗議デモを起こした複数のグループのリーダーが、共謀して暴動を扇動した罪に問われた実際の裁判をアーロン・ソーキン監督が映画化。エディ・レッドメイン、マーク・ライランス、サシャ・バロン・コーエン、ジョセフ・ゴードン=レヴィット、マイケル・キートン、アレックス・シャープ、ジョン・キャロル・リンチ、ジェレミー・ストロング、フランク・ランジェラ、ケルヴィン・ハリソン・ジュニアなど、蒼々たる名優達が出演しているだけでも、ただものでない映画だとわかります。
物語の舞台は1968年のシカゴ。当時の大統領リンドン・ジョンソンは、ベトナム戦争への徴兵数を増やしていました。多くの兵士が犠牲になっている状況に対して、立ち上がったのが、民主社会学生同盟(SDS)のトム・ヘイデンとレニー・デイヴィス、青年国際党(イッピー)のアビー・ホフマン、ジェリー・ルービン、ベトナム戦争終結運動のリーダー、デヴィッド・デリンジャー、ブラックパンサー党全国院長のボビー・シールでした。彼等は不当に逮捕され、一同に裁判が行われるのですが、判事ははなから彼等を有罪にしようとしているようにしか見えず非協力的で、検事も汚い手を使います。圧倒的に弁護側が劣勢のなか、彼等もあの手この手を考えて反撃するのですが…。その攻防戦は本編でお楽しみ頂くとして、この裁判には政治裁判の要素が色濃くあります。1968年はキング牧師が暗殺された年でもありますが、裁判の様子を描くなかで、黒人差別、政治腐敗、警察への不信感など、あらゆる社会問題が映し出されていて、こんな時代に戦った若者達の勇姿に共感せずにはいられません。また内容はシリアスなのですが、サシャ・バロン・コーエン、ジェレミー・ストロングが演じるアビーとジェリーのコンビがちょいちょいおもしろくて、ユーモアとウィットに富んだ作品になっている点も本作の魅力です。サシャ・バロン・コーエンが演じたアビーは最終的にめちゃめちゃカッコ良くて、思わずニヤニヤしてしまいますよ。さらに頭脳派達で繰り広げられる会話から、次の手が出てくる展開も観ていて爽快です。
そして、マーク・ライランスが演じる弁護士、ジョセフ・ゴードン=レヴィットが演じる検察官も裁判の行方を握っており、人間ドラマを盛り上げています。最後の最後まで政治圧力にイライラ、悶々とさせられますが、最後はとても巧みで人道的な方法で見事な反撃をするので、鳥肌が立ちますよ。これは見逃してはいけない名作です。Netflix作品ですが、一部の映画館でも公開されているので、ぜひ映画館で観て欲しい豪華な作品とも言えます。

デート向き映画判定
Netflix映画『シカゴ7裁判』サシャ・バロン・コーエン

法廷モノは人気がある一方で、難しそうに思う人もいるかもしれませんが、裁判の内容そのものはシンプルなので、難しくてついていけないということはありません。登場人物がとても多いので、そこだけ覚えるまでが大変ですが、だからこそデートで一緒に観て、鑑賞後に復習できるのが良いと思います。映画館で観るのもオススメですが、お家デートで観るなら、2度、3度とその場で繰り返して観たり、1度観終わった後に、確認したいシーンだけ振り返ったりもできます。映画好きにはたまらない作品なので、映画好きカップルに特にオススメです。

キッズ&ティーン向き映画判定
Netflix映画『シカゴ7裁判』エディ・レッドメイン/マーク・ライランス

洋画でしかもすごくたくさんのキャラクターが出てくるので、名前と顔を一致させた上で人間関係を把握するのが、結構大変です。なので、洋画を観慣れている中高生以上の人にオススメです。Netflix作品なので自宅で観るなら、巻き戻したりしながら丁寧に観ていくのもありだと思います。すごく頭の切れる学生達のやり取りは観ていてとてもカッコ良いので、会話劇としてもぜひ楽しんでください。

Netflix映画『シカゴ7裁判』

『シカゴ7裁判』
2020年10月16日よりNetflixにて配信開始
キノフィルムズ
公式サイト

TEXT by Myson

関連記事
  • follow us in feedly
  • RSS

新着記事

映画『逆火』北村有起哉 逆火【レビュー】

主人公の野島浩介(北村有起哉)は、感動を呼び話題となっている自伝小説の映画化作品の助監督を務めています。野島は作品に活かすため…

映画『アマチュア』来日ジャパンプレミア:レイチェル・ブロズナハン レイチェル・ブロズナハン【ギャラリー/出演作一覧】

1990年7月12日生まれ。アメリカ生まれ。

映画『顔を捨てた男』セバスチャン・スタン 顔を捨てた男【レビュー】

社会が自分を見る目と、自分自身が自分を見る目がいかにして人の心理や生き方、ひいてはウェルビーイングに影響するのかを…

映画『キャンドルスティック』阿部寛 キャンドルスティック【レビュー】

金融をテーマとした映画に、なぜ“『キャンドルスティック』というタイトルが…

映画『スーパーマン』デイビッド・コレンスウェット 映画好きが選んだDCコミックス映画ランキング

今回は正式部員の皆さんに好きなDCコミックス映画について投票していただきました。“スーパーマン”や“バットマン”など人気シリーズが多くあるなか、上位にはどんな作品がランクインしたのでしょう?

映画『夏の砂の上』オダギリジョー/髙石あかり/松たか子/満島ひかり 夏の砂の上【レビュー】

松田正隆による戯曲を映画化した本作は、演出家の玉田真也が監督、脚本を務め、オダギリジョーが…

映画『DROP/ドロップ』メーガン・フェイヒー DROP/ドロップ【レビュー】

主人公のバイオレット(メーガン・フェイヒー)は、幼い一人息子を育てるシングルマザーで、壮絶な過去を乗り越え…

映画『君がトクベツ』畑芽育 畑芽育【ギャラリー/出演作一覧】

2002年4月10日生まれ。東京都出身。

映画『この夏の星を見る』桜田ひより この夏の星を見る【レビュー】

2020年、新型コロナウィルス感染症が世界中に広まった1年目、私達の日常は大きく変わりました。本作では、その2020年に、長崎県、茨城県、東京都に住む中高生達が過ごした日々…

映画『国宝』吉沢亮/横浜流星 映画レビュー&ドラマレビュー総合アクセスランキング【2025年6月】

映画レビュー&ドラマレビュー【2025年6月】のアクセスランキングを発表!

本サイト内の広告について

本サイトにはアフィリエイト広告バナーやリンクが含まれます。

おすすめ記事

映画『スーパーマン』デイビッド・コレンスウェット 映画好きが選んだDCコミックス映画ランキング

今回は正式部員の皆さんに好きなDCコミックス映画について投票していただきました。“スーパーマン”や“バットマン”など人気シリーズが多くあるなか、上位にはどんな作品がランクインしたのでしょう?

映画『ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング』トム・クルーズ 映画好きが選んだトム・クルーズ人気作品ランキング

毎度さまざまな挑戦を続け、人気を博すハリウッドの大スター、トム・クルーズ。今回は、トム・クルーズ出演作品(日本劇場未公開作品を除く)を対象に、正式部員の皆さんに投票していただきました。

映画『シークレット・アイズ』キウェテル・イジョフォー/ジュリア・ロバーツ /ニコール・キッドマン 映画好きが推すとっておきの映画を紹介【名作掘り起こし隊】Vol.5

このコーナーでは、映画業界を応援する活動として、埋もれた名作に再び光を当てるべく、正式部員の皆さんから寄せられた名作をご紹介していきます。

学び・メンタルヘルス

  1. 映画『君がトクベツ』畑芽育/大橋和也
  2. 映画でSEL:告知1回目
  3. 映画『親友かよ』アンソニー・ブイサレートピシットポン・エークポンピシット

REVIEW

  1. 映画『逆火』北村有起哉
  2. 映画『顔を捨てた男』セバスチャン・スタン
  3. 映画『キャンドルスティック』阿部寛
  4. 映画『夏の砂の上』オダギリジョー/髙石あかり/松たか子/満島ひかり
  5. 映画『DROP/ドロップ』メーガン・フェイヒー

PRESENT

  1. 特製『平成狸合戦ぽんぽこ』ふんわりキーホルダー正吉
  2. トーキョー女子映画部ロゴ
    プレゼント

PAGE TOP