REVIEW

空に住む【レビュー】

  • follow us in feedly
  • RSS
映画『空に住む』多部未華子

タイトルになっている“空に住む”という言葉が、観ていくうちにいろいろな意味を持ってきます。主人公の直実(多部未華子)は、突然両親を亡くし、愛猫を連れて、叔父が所有するタワーマンションの一室に引っ越してきます。39階の自室からは都会の景色が一望でき、まさに空に住んでいる感覚。ここで心機一転して、元気を取り戻したい直実ですが、なかなか簡単にはいきません。そんななか、直実はマンションのエレベーターで偶然にも人気俳優の時戸(岩田剛典)に会い、不思議な関係になっていきます。ここからは映画で観て頂くとして、印象的だったのはまずカメラワーク。今直実がどんな人に会ったのか、誰を見てるのか気になるような、すぐに相手が誰かを見せない撮り方で、直実の人見知りな部分と、一方で好奇心が強い部分を表現しているかのようです。また、直実のセリフと時戸のセリフがとても哲学的で、まったく正反対に見えて、2人とも“空の住人”であることが伝わってきます。

ここからは、映画についての個人的な解釈を述べるので、何も知りたくない方は観終わってから読んでください。

これはあくまで私の解釈ですが、“空に住む”の意味はキャラクターによって違っていて、居場所がない、空虚である、自分という存在が掴めずフワフワしている、世の中を俯瞰している…などさまざまです。また、虚構の中にある真実を見出そうとする者もいれば、真実に気付いていながら虚構の世界にまみれて苦しむ者もいて、さまざまなキャラクターを通して、その対比が描かれている点も見どころとなっています。でも、一見それぞれに違ったキャラクターでありながら、誰もが持っている感情や心理を映し出している点では、どのキャラクターにも共感できるはずです。多部未華子、岩田剛典、岸井ゆきのなど、実力派俳優の名演にも注目しながらお楽しみください。

デート向き映画判定
映画『空に住む』多部未華子/岩田剛典

ロマンチックなシーンはありつつ、複雑な人間関係を描いているので、一緒に観てムードが盛り上がるかどうかは読めません(笑)。ただ、恋愛関係にフォーカスしたストーリーというよりも、広い意味での人間関係について哲学が語られるシーンがあり、それを戯言と捉えるか、深いと捉えるかによって、2人の価値観、相性が見えてくるかもしれません。会話劇としても魅力的な作品なので、知的な部分での相性も測れるのではないでしょうか。

キッズ&ティーン向き映画判定
映画『空に住む』多部未華子/岸井ゆきの

見た目にわかりやすく派手な展開があるわけではなく、日常を淡々と描いているので、キッズにはまだピンとこないかもしれません。ティーンは、直実の心情を感覚的にわかる人がいそうな気がします。寂しい思いを散々してきて、自分の気持ちを抑えることに慣れてしまい、感情をどこで出して良いのかわからない。そんな人は特に主人公に共感できると思います。不器用な主人公の奮闘を観ると、少し元気がもらえるはずです。

映画『空に住む』多部未華子

『空に住む』
2020年10月23日より全国公開
アスミック・エース
公式サイト

© 2020 HIGH BROW CINEMA

TEXT by Myson

関連記事
  • follow us in feedly
  • RSS

新着記事

トーキョー女子映画部チャンネルpodcast ポッドキャスト【トーキョー女子映画部チャンネル】あの映画がおもしろいと思う本当の理由『嵐が丘』『カミング・ホーム』『俺たちのアナコンダ』

ネタバレあり、個人的にツボにハマったポイントを 気楽に話しているので、トークには期待せず(笑)、作品には期待してください。

映画『俺たちのアナコンダ』ジャック・ブラック/ポール・ラッド/スティーヴ・ザーン/タンディウェ・ニュートン/セルトン・メロ 俺たちのアナコンダ【レビュー】

愛しいほどにアホ全開のハッピーなコメディです。ジャック・ブラックとポール・ラッドが主演のコメディといえば…

【映画学ゼミ第7回】「そもそも感情ってどうやって湧いてくるの?感情の仕組み」参加者募集! 【映画学ゼミ第7回】「そもそも感情ってどうやって湧いてくるの?感情の仕組み」参加者募集!

感情はまだまだ謎が多く、本当に複雑で深い概念だからこそおもしろい!感情について少しでも知ることで、自分自身の情動コントロールにも少し役立つはずです。

映画『キング・オブ・キングス』 キング・オブ・キングス【レビュー】

チャールズ・ディケンズが、我が子のために書き下ろした“The Life of Our Lord(私たちの主の生涯)”は、没後64年を経た1934年まで出版が許されず、幻の傑作といわれていたようです…

映画『ハウス・オブ・ザ・デビル』 ハウス・オブ・ザ・デビル【レビュー】

本作は、『X エックス』『Pearl パール』『MaXXXine マキシーン』と、A24初のシリーズ化作品となる“Xシリーズ”で一気に注目を集めたタイ・ウェスト監督による2009年の作品です…

映画『Shiva Baby シヴァ・ベイビー』ダニー・デフェラーリ/ディアナ・アグロン(ダイアナ・アグロン) ディアナ・アグロン【ギャラリー/出演作一覧】

1986年4月30日生まれ。アメリカ、ジョージア州サバンナ出身。

映画『90メートル』山時聡真/菅野美穂 90メートル【レビュー】

REVIEW優しさに溢れていて、素直に観て良かったと思える作品です。ヤングケアラーが主人公…

映画『空飛ぶペンギン』ジム・キャリー 未公開映画活性課サ行

未公開作品のなかから、当部が気になる作品、オススメしたい作品をご紹介。

映画『そして彼女たちは』バベット・ヴェルベーク/エルザ・ウーベン/ジャナイナ・アロワ・フォカン/リュシー・ラリュエル/サミア・イルミ そして彼女たちは【レビュー】

ジャン=ピエール・ダルデンヌ監督とリュック・ダルデンヌ監督(以下、ダルデンヌ兄弟)が選んだ今回の主人公は、若き母親達です…

映画『全知的な読者の視点から』イ・ミンホ イ・ミンホ【ギャラリー/出演作一覧】

1987年6月22日生まれ。韓国出身。

本サイト内の広告について

本サイトにはアフィリエイト広告バナーやリンクが含まれます。

おすすめ記事

【映画学ゼミ第7回】「そもそも感情ってどうやって湧いてくるの?感情の仕組み」参加者募集! 【映画学ゼミ第7回】「そもそも感情ってどうやって湧いてくるの?感情の仕組み」参加者募集!

感情はまだまだ謎が多く、本当に複雑で深い概念だからこそおもしろい!感情について少しでも知ることで、自分自身の情動コントロールにも少し役立つはずです。

映画『国宝』吉沢亮 映画好きが選んだ2025邦画ベスト

今回は、正式部員の皆さんに投票していただいた2025年邦画ベストの結果を発表!2025年の邦画ベストで上位にランクインしたのはどの作品でしょう?

ショートドラマ『復讐同盟 —サレ妻と愛人はクズ旦那を制裁する—』 私ならこうする!『復讐同盟 —サレ妻と愛人はクズ旦那を制裁する—』を観た女子の本音

ショートドラマ『復讐同盟 —サレ妻と愛人はクズ旦那を制裁する—』をトーキョー女子映画部正式部員の皆さんに観ていただき、感想や「私ならこうする!」を聞いてみました。

学び・メンタルヘルス

  1. 【映画学ゼミ第7回】「そもそも感情ってどうやって湧いてくるの?感情の仕組み」参加者募集!
  2. 【映画学ゼミ第6回】「鑑賞者のローカス・オブ・コントロールと、映画鑑賞における着眼点・感想の関係」参加者募集!
  3. 【映画学ゼミ第5回】「登場人物にみる人間の非合理性」参加者募集!

REVIEW

  1. 映画『俺たちのアナコンダ』ジャック・ブラック/ポール・ラッド/スティーヴ・ザーン/タンディウェ・ニュートン/セルトン・メロ
  2. 映画『キング・オブ・キングス』
  3. 映画『ハウス・オブ・ザ・デビル』
  4. 映画『90メートル』山時聡真/菅野美穂
  5. 映画『そして彼女たちは』バベット・ヴェルベーク/エルザ・ウーベン/ジャナイナ・アロワ・フォカン/リュシー・ラリュエル/サミア・イルミ

PRESENT

  1. ドラマ『外道の歌 SEASON2』窪塚洋介/亀梨和也/南沙良
  2. 映画『大丈夫、大丈夫、大丈夫!』イ・レ
  3. 映画『キング・オブ・キングス』
PAGE TOP