REVIEW

SKIN/スキン

  • follow us in feedly
  • RSS
映画『SKIN/スキン』ジェイミー・ベル

本作の前に作られた短編も観ることができたのですが、短い間にドラマが凝縮されていて、この物語が伝えたいことがバシッと表現された衝撃的なラストに圧倒されました。そして、その世界に存在する、ものすごい緊張感が体感できる描写になっていて、長編への見事な布石となっています。また、人種差別は、子どもが本当の意味をまだわからないうちから、親や周囲の影響で偏見や間違った価値観を受け継いでしまうという恐ろしさも実感させられます。ちなみにこの短編は、アカデミー賞®短編映画賞を受賞していて、一般の方も観られる機会が出てきたら、ぜひ観て頂きたいです。
長編は短編の要素を受け継ぎながら、別のキャラクターで物語が進行します(一部同じキャストが、別のキャラクターを演じています)。長編の本作は、スキンヘッドに、憎悪を示すタトゥーを全身に入れた白人至上主義者ブライオンが主人公で、彼にまつわる実話を基に作られています。ネタバレになるので、ブライオンがどんな道を辿るかは伏せますが、本作を観ると、レイシズムの背景にある別の問題も見えてきて、レイシズムが生まれるメカニズムがいろいろあることがわかり、私達が気付いていない視点を与えてくれます。緊張感がずっと張り詰めた作品ですが、希望を感じることができる部分もあります。人間の弱さ、強さの本質を考えさせられるストーリーになっていて、とても見応えがある作品となっています。主演のジェイミー・ベルをはじめ、ダニエル・マクドナルド、ビル・キャンプ、ヴェラ・ファーミガなど俳優達の演技も見ものです。映画好き女子必見の作品ですよ。

デート向き映画判定
映画『SKIN/スキン』ジェイミー・ベル/ダニエル・マクドナルド

辛いシーンもありますが、ロマンチックなシーンもあります。愛する人の存在が、主人公ブライオンに大きく影響する点で、カップルで観る意義も感じられると思います。人間関係が一番厄介ですが、それが大事な人の人生にも影響することがヒシヒシと伝わってくるので、将来一緒になりたいと思っている真剣交際中のカップルはぜひ一緒に観て、覚悟を決めてください。

キッズ&ティーン向き映画判定
映画『SKIN/スキン』ジェイミー・ベル

若い皆さんにこそ知ってもらいたいストーリーです。R-15なので15歳未満の人は15歳になったらぜひ観てください。皆さんの日常にも、差別やいじめがあると思いますが、そんなことをする人は本当に幸せなのでしょうか。本作は実在の白人至上主義者を主人公にした映画ですが、人種差別をする側の人間達の背景にある問題を知ることもできるし、ただ対立するのではなく、そんな彼らでも救おうとする人達がいることも知ることができるので、物事の見方が変わり、視野が広がると思います。

映画『SKIN/スキン』ジェイミー・ベル

『SKIN/スキン』
2020年6月26日より全国順次公開
R-15+
コピアポ・フィルム
公式サイト

© 2019 SF Film, LLC. All Rights Reserved.

TEXT by Myson

関連記事
  • follow us in feedly
  • RSS

新着記事

映画『悪魔祓い株式会社』マ・ドンソク/ソヒョン/イ・デヴィッド 悪魔祓い株式会社【レビュー】

本作は、『悪人伝』や“犯罪都市”シリーズ、ハリウッド映画『エターナルズ』などでお馴染みのマ・ドンソクが…

映画『ツーリストファミリー』シャシクマール/シムラン/ミドゥン・ジェイ・シャンカル/カマレーシュ・ジャガン/ヨーギ・バーブ 『ツーリストファミリー』特別試写会 10組20名様ご招待

映画『ツーリストファミリー』特別試写会 10組20名様ご招待

Netflixシリーズ『イクサガミ』岡田准一 イクサガミ【レビュー】

今村翔吾著のベストセラー「イクサガミ」シリーズを原作とする本シリーズでは、岡田准一が主演、プロデューサー、アクションプランナー、藤井道人、山口健人、山本透が監督と脚本を担当…

映画『TOKYOタクシー』蒼井優 蒼井優【ギャラリー/出演作一覧】

1985年8月17日生まれ。福岡県出身。

映画『バーフバリ エピック4K』来日舞台挨拶イベント、プラバース、ショーブ・ヤーララガッダ(プロデューサー) プラバース、ショーブ・ヤーララガッダ来日!『バーフバリ エピック4K』には追加シーンも

2025年に劇場公開10周年を迎える大ヒット作『バーフバリ 伝説誕生』と『バーフバリ2 王の凱旋』を一つの作品として再編集し、壮大な物語を4K映像で体験できる『バーフバリ エピック4K』の日本公開を目前にして、バーフバリ役のプラバースと、プロデューサーのショーブ・ヤーララガッダが来日しました。

映画『楓』福士蒼汰/福原遥 楓【レビュー】

残酷過ぎて、切な過ぎて、優し過ぎて、どうしましょ(笑)。ネタバレを避けると、ほぼ何も書けませんが…

【東京コミコン2025】オープニング:イライジャ・ウッド、カール・アーバン、リー・トンプソン、トム・ウィルソン、クローディア・ウエルズ、ダニエル・ローガン、ジョン・バーンサル、クリスティーナ・リッチ、イヴァナ・リンチ、ノーマン・リーダス、ショーン・パトリック・フラナリー、ジャック・クエイド、マッツ・ミケルセン、浅野忠信、ピルウ・アスベック、セバスチャン・スタン、ジム・リー、C.B.セブルスキー、フランク・ミラー、クリストファー・ロイド、中丸雄一(MC)、伊織もえ(PR大使)、山本耕史(アンバサダー) 『バック・トゥ・ザ・フューチャー』一行や人気アメコミ出演者達が勢揃い!【東京コミコン2025】オープニングセレモニー

年末恒例行事となった東京コミコンのオープニングセレモニーを取材してきました。今年は過去最高といえるのではないかという数のスター達が来日してくれました。

映画『ズートピア2』 ズートピア2【レビュー】

さまざまな動物達が人間と同じように暮らすズートピアを舞台にした本シリーズは…

映画『エディントンへようこそ』ホアキン・フェニックス/ペドロ・パスカル エディントンへようこそ【レビュー】

アリ・アスター監督とホアキン・フェニックスの2度目のタッグが実現した本作は、メディアの情報に翻弄される人々の様子を…

映画『愚か者の身分』林裕太 林裕太【ギャラリー/出演作一覧】

2000年11月2日生まれ。東京都出身。

本サイト内の広告について

本サイトにはアフィリエイト広告バナーやリンクが含まれます。

おすすめ記事

映画学ゼミ2025年12月募集用 人間特有の感情や認知の探求【映画学ゼミ第3回】参加者募集!

今回は、N「湧き起こる感情はあなたの性格とどう関連しているのか」、S「わかりやすい映画、わかりにくい映画に対する快・不快」をテーマに実施します。

映画『悪党に粛清を』来日舞台挨拶、マッツ・ミケルセン 映画好きが選んだマッツ・ミケルセン人気作品ランキング

“北欧の至宝”として日本でも人気を誇るマッツ・ミケルセン。今回は、マッツ・ミケルセン出演作品(ドラマを除く)を対象に、正式部員の皆さんに投票していただきました。上位にはどんな作品がランクインしたのでしょうか?

映画『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊』ウェス・アンダーソン監督 映画好きが選んだウェス・アンダーソン監督人気作品ランキング

今回は、ウェス・アンダーソン監督作品を対象に、正式部員の皆さんに投票していただきました。人気作品が多くあるなか、上位にランクインしたのは?

学び・メンタルヘルス

  1. 映画学ゼミ2025年12月募集用
  2. 映画『エクスペリメント』エイドリアン・ブロディ
  3. 映画学ゼミ2025年11月募集用

REVIEW

  1. 映画『悪魔祓い株式会社』マ・ドンソク/ソヒョン/イ・デヴィッド
  2. Netflixシリーズ『イクサガミ』岡田准一
  3. 映画『楓』福士蒼汰/福原遥
  4. 映画『ズートピア2』
  5. 映画『エディントンへようこそ』ホアキン・フェニックス/ペドロ・パスカル

PRESENT

  1. 映画『ツーリストファミリー』シャシクマール/シムラン/ミドゥン・ジェイ・シャンカル/カマレーシュ・ジャガン/ヨーギ・バーブ
  2. 映画『楓』旅からはじまるトラベルポーチ
  3. 映画『Fox Hunt フォックス・ハント』トニー・レオン
PAGE TOP