REVIEW

THE MONKEY/ザ・モンキー【レビュー】

  • follow us in feedly
  • RSS
映画『THE MONKEY/ザ・モンキー』クリスチャン・コンヴェリー

REVIEW

怖いはずなのにどこか可笑しい絶妙なバランスの本作は、スティーヴン・キングの短編を原作としています。本作は、数々のヒットシリーズを生み出してきたジェームズ・ワンがプロデュース、『ロングレッグス』のオズグッド・パーキンスが監督と脚本を務めています。ちなみにオズグッド・パーキンスは俳優としても活躍していて、本作では、チップ伯父として出演しています。

映画『THE MONKEY/ザ・モンキー』クリスチャン・コンヴェリー

監督デビュー作からホラー映画を撮っているオズグッド・パーキンス監督は、その背景やホラーの好みについて下記のように語っています。ちなみに下記の「父」というのは、アルフレッド・ヒッチコック監督作『サイコ』でノーマン・ベイツを演じたアンソニー・パーキンスです。

僕がホラー映画を作り始めた理由は―あんまり言いたくないけれど―ある意味父の影響があり、僕が撮るべきものだと思ったんだ。本当に好きなホラー映画もあったから、何度か作ったし、ホラーが嫌いというわけではない。ただ正直なことを言えば僕はホラー、特に新作のホラーは観に行かないんだ。昔の映画『顔のない眼』や『赤い影』とかは好きだけど。(映画公式資料)

映画『THE MONKEY/ザ・モンキー』テオ・ジェームズ

ホラーの才能に恵まれたオズグッド・パーキンス監督のルーツを知ると、何だか宿命的なものを感じますね。また、映画公式資料には、「監督はこの映画の制作意図につながる根源的な記憶について、子どものころ家族と『グレムリン』を観に行ったことを振り返っている。幼いパーキンスは今まで見た中で最高の映画だと思ったのに、彼の母親がまあまあと思ったことに少年は激怒した。これは彼にとって至高の映画体験であり、彼が本作で蘇らせたい映画でもあるのだ」とあって、何だか納得しながらホッコリしちゃいました(笑)。私も『グレムリン』大好きです!それはさておき、『グレムリン』への思いは、怖いのに愉快な本作のテンションに繋がっているなと感じます。

映画『THE MONKEY/ザ・モンキー』クリスチャン・コンヴェリー

双子のハルとビルは、姿を消した父が残していったサルのおもちゃを見つけます。そのおもちゃは、サルの背中についたゼンマイを巻くと、ドラムを叩くというシンプルなもの。そして、まだ動くのか確かめるためにゼンマイを巻いてからというもの、2人の周囲では異様な出来事が続くようになります。

映画『THE MONKEY/ザ・モンキー』

このサルが不気味なのは、意図がわからない点です。ハルとビルは、周囲で起こる不穏な出来事とサルに何かがあると感じながらも因果関係はわからないまま怯えることになります。本作の見どころの1つは、次から次へと無作為に人が変死を遂げていく点です。ホラー好きな方は、変死の描写に溢れる遊び心に笑みがこぼれるでしょう(笑)。私はあるキャラクターが花瓶のようなものに足をツッコむところが細かすぎる小ネタでツボでした。

映画『THE MONKEY/ザ・モンキー』タチアナ・マズラニー

また、本作はキャストが魅力的です。大人になったハルとビルの双子を演じるのはテオ・ジェームズ。ハルとビルの子ども時代は、Netflixの人気ドラマ『スイート・トゥース: 鹿の角を持つ少年』などでも注目を集めるクリスチャン・コンヴェリーが演じています。母役は『シー・ハルク:ザ・アトーニー』のタチアナ・マズラニーが務めており、アダム・スコット、イライジャ・ウッドも出番が少ないながらクセのある役で印象を残しています。キャスト目当てで観るもよし、数々の変死シーンを堪能するという楽しみ方で終わってもよしとは思いつつ、何か意味を見出したい方に代わって、私なりの解釈も書いておきます。

ここからはあくまで私個人の解釈でネタバレを含みますので、鑑賞後にお読みください。

映画『THE MONKEY/ザ・モンキー』

サルのおもちゃは他責思考の隠喩とも受け取れます。誰も悪くないのに誰かを悪いと思うことで、人は何かを乗り越えたりできる一方で、その恨みに囚われてしまう。そんなことを表したストーリーと解釈すると、グンと見応えが増すように思います。

デート向き映画判定

映画『THE MONKEY/ザ・モンキー』タチアナ・マズラニー

ホラー好きなら「そんなアホな(笑)!」「いわんこっちゃない(笑)!」なんて心の中でツッコミながら楽しめる一方で、ホラーが苦手な人にとってはかなりハードルが高いように感じます。でも、あまりにバラエティに富んだ死に様が描かれているので、だんだん慣れてくるかもしれません。ホラーも観られるようになりたいという願望をお持ちの方なら、デートで観ると楽しく鍛錬を積めそうです。

キッズ&ティーン向き映画判定

映画『THE MONKEY/ザ・モンキー』

だいぶ刺激が強いので、R-15を観られる15歳で観たとして、本作を観た後、ホラー好きに転ぶか、トラウマになるかは読めません(苦笑)。一応、軽いホラーを複数観て慣れてから本作を観るほうが心に余裕をもって楽しめるのではないでしょうか。

映画『THE MONKEY/ザ・モンキー』

『THE MONKEY/ザ・モンキー』
2025年9月19日より全国公開
R-15+
KADOKAWA
公式サイト

ムビチケ購入はこちら
映画館での鑑賞にU-NEXTポイントが使えます!無料トライアル期間に使えるポイントも

© 2025 C2 MOTION PICTURE GROUP, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

TEXT by Myson

本ページには一部アフィリエイト広告のリンクが含まれます。
情報は2025年9月時点のものです。最新の販売状況や配信状況は各社サイトにてご確認ください。

関連記事
  • follow us in feedly
  • RSS

新着記事

映画『チャップリン』チャーリー・チャップリン『キッド』の一場面 映画好きが選んだチャーリー・チャップリン人気作品ランキング

俳優および監督など作り手として、『キッド』『街の灯』『独裁者』『ライムライト』などの名作の数々を生み出したチャーリー・チャップリン(チャールズ・チャップリン)。今回は、チャーリー・チャップリン監督作(短編映画を除く)を対象に、正式部員の皆さんに投票していただきました。

映画『ただ、やるべきことを』チャン・ソンボム/ソ・ソッキュ 『ただ、やるべきことを』鑑賞券 3名様プレゼント

映画『ただ、やるべきことを』鑑賞券 3名様プレゼント

映画『星と月は天の穴』綾野剛/咲耶 星と月は天の穴【レビュー】

映画に対してというよりも、本作で描かれる男女のやり取りについては、解釈の仕方および、その解釈に伴った好みが…

映画『アバター:ファイヤー・アンド・アッシュ』ウーナ・チャップリン アバター:ファイヤー・アンド・アッシュ【レビュー】

REVIEWシリーズ3作目となる本作でも、まず映像美と迫力に圧倒されます。物理的に目の前で…

映画『新解釈・幕末伝』ムロツヨシ/佐藤二朗 新解釈・幕末伝【レビュー】

幕末を描いた本作は、“新解釈”とタイトルにあるように、ユニークな解釈で描かれて…

映画『アバター:ファイヤー・アンド・アッシュ』来日ジャパンプレミア、ジェームズ・キャメロン監督、山崎貴監督、宮世琉弥 お互いの才能を讃え合うジェームズ・キャメロン監督と山崎貴監督、若者代表、宮世琉弥も感動『アバター:ファイヤー・アンド・アッシュ』来日ジャパンプレミア

最新作『アバター:ファイヤー・アンド・アッシュ』のワールドツアーの一環として、ジェームズ・キャメロン監督が3年ぶりに来日。山崎貴監督と宮世琉弥も会場に駆けつけました。

映画『WIND BREAKER/ウィンドブレイカー』八木莉可子 八木莉可子【ギャラリー/出演作一覧】

2001年7月7日生まれ。滋賀県出身。

映画『グッドワン』リリー・コリアス 『グッドワン』トーク付きプレミア試写会 10組20名様ご招待

映画『グッドワン』トーク付きプレミア試写会 10組20名様ご招待

映画『ビューティフル・ジャーニー ふたりの時空旅行』コリン・ファレル/マーゴット・ロビー ビューティフル・ジャーニー ふたりの時空旅行【レビュー】

「人生をやり直せるドア」が登場する点と、コリン・ファレルとマーゴット・ロビーが向かい合うキービジュアルから、恋愛をやり直すストーリーかと思いきや…

映画『サリー』エスター・リウ 『サリー』特別試写会イベント 5組10名様ご招待

映画『サリー』特別試写会イベント 5組10名様ご招待

本サイト内の広告について

本サイトにはアフィリエイト広告バナーやリンクが含まれます。

おすすめ記事

映画『チャップリン』チャーリー・チャップリン『キッド』の一場面 映画好きが選んだチャーリー・チャップリン人気作品ランキング

俳優および監督など作り手として、『キッド』『街の灯』『独裁者』『ライムライト』などの名作の数々を生み出したチャーリー・チャップリン(チャールズ・チャップリン)。今回は、チャーリー・チャップリン監督作(短編映画を除く)を対象に、正式部員の皆さんに投票していただきました。

映画学ゼミ2025年12月募集用 人間特有の感情や認知の探求【映画学ゼミ第3回】参加者募集!

今回は、N「湧き起こる感情はあなたの性格とどう関連しているのか」、S「わかりやすい映画、わかりにくい映画に対する快・不快」をテーマに実施します。

映画『悪党に粛清を』来日舞台挨拶、マッツ・ミケルセン 映画好きが選んだマッツ・ミケルセン人気作品ランキング

“北欧の至宝”として日本でも人気を誇るマッツ・ミケルセン。今回は、マッツ・ミケルセン出演作品(ドラマを除く)を対象に、正式部員の皆さんに投票していただきました。上位にはどんな作品がランクインしたのでしょうか?

学び・メンタルヘルス

  1. 映画学ゼミ2025年12月募集用
  2. 映画『エクスペリメント』エイドリアン・ブロディ
  3. 映画学ゼミ2025年11月募集用

REVIEW

  1. 映画『星と月は天の穴』綾野剛/咲耶
  2. 映画『アバター:ファイヤー・アンド・アッシュ』ウーナ・チャップリン
  3. 映画『新解釈・幕末伝』ムロツヨシ/佐藤二朗
  4. 映画『ビューティフル・ジャーニー ふたりの時空旅行』コリン・ファレル/マーゴット・ロビー
  5. 映画『THE END(ジ・エンド)』ティルダ・スウィントン/ジョージ・マッケイ/モーゼス・イングラム/ブロナー・ギャラガー/ティム・マッキナリー/レニー・ジェームズ/マイケル・シャノン

PRESENT

  1. 映画『ただ、やるべきことを』チャン・ソンボム/ソ・ソッキュ
  2. 映画『グッドワン』リリー・コリアス
  3. 映画『サリー』エスター・リウ
PAGE TOP