REVIEW

ゆめパのじかん【レビュー】

  • follow us in feedly
  • RSS
映画『ゆめパのじかん』

神奈川県川崎市高津区にある川崎市子ども夢パーク、通称“ゆめパ”は、約1万㎡の工場の跡地に作られた遊び場です。ここは子ども達にとって、何をしてもいいし、何もしなくてもいい場所です。子ども達の遊びは多岐に渡り、どろんこになったり、火を使ったり、木材を切って工作をしたり、時には小屋を建てたり、少々危なっかしい場面もあります。でも、大人は手を出さず、子ども達は失敗したり、少々痛い思いを実体験しながら、さまざまなことを学んでいきます。だから、子ども達が本当に伸び伸びしていて、大人が思う以上に子どもは自分で成長する力があるのだと伝わってきます。
また、ゆめパには不登校の子ども達も通っています。その中にはゆめパで好きなことをして過ごすなかで徐々に具体的な将来像を描いていく子も出てきます。インタビューに答える子ども達を観ていると、子ども達なりに考えがあるからこそ、ただ受動的に学校に行くことに疑問を感じ、ゆめパで過ごすことを選択しているのがわかります。今の日本には学校に行くのが当たり前という風潮が依然としてありますが、ゆめパにいる子ども達を観ていると、もっと選択肢があって良いはずだと実感します。不登校という言葉が一人歩きしていますが、不登校にはさまざまな背景があり、ポジティブな要因もあることが本作を観るとわかります。
ゆめパは、子どもが子どもらしくいられる場所であると同時に、子どもを一人の人間として尊重していて、良い意味で子ども扱いをしていません。だから、大人になってから経験するようなことをここでは経験することができます。
本作はゆめパという場所で起こっている日常を捉えることで、机の上で教科書や資料を見て学ぶのではなく、生の実践が人の成長に及ぼすインパクトの大きさを物語っています。これは子どもに限らず、大人の学びにも通じるものではないでしょうか。本作は観ているほうもワクワクできるドキュメンタリーとなっています。人の可能性を大いに感じさせてくれますよ。

デート向き映画判定
映画『ゆめパのじかん』

デートムービーではありませんが、これから家庭を築こうとしているカップルは一緒に観ると子育てに参考になる部分があります。直接的に子育ての話題は出てきませんが、人が育つとはどういうことか、さまざまな事例を観ることができます。人生観を問う内容ともいえるので、真剣交際に進む手前の方も2人で一緒に観て感想を述べ合うと、価値観が合うか探れるところがあるかもしれません。

キッズ&ティーン向き映画判定
映画『ゆめパのじかん』

キッズやティーンの皆さんにもぜひ観て欲しい作品です。きっとゆめパに行ってみたくなると思います。学校の勉強が不要ということではなく、なぜ必要なのか、自分の将来にどう結びついてくるのか、観ながら想像すると有意義だと思います。皆さんの身の回りのも、探してみればさまざまな体験ができる場所や機会はあるはずです。受け身ではなく好奇心に身を委ねてみるのも良いでしょう。

映画『ゆめパのじかん』

『ゆめパのじかん』
2022年7月9日より全国順次公開
ノンデライコ
公式サイト

ガーラフィルム/ノンデライコ

TEXT by Myson

関連記事
  • follow us in feedly
  • RSS

新着記事

映画『ウィキッド ふたりの魔女』シンシア・エリヴォ/アリアナ・グランデ トーキョー女子映画部が選ぶ 2025年ベスト10&イイ俳優MVP

2025年も毎年恒例の企画として、トーキョー女子映画部の編集部マイソンとシャミが、個人的なベスト10と、イイ俳優MVPを選んでご紹介します。

人間として生きるおもしろさを知る【映画学ゼミ第4回】参加者募集 人間として生きるおもしろさを知る【映画学ゼミ第4回】参加者募集!

ネットの普及によりオンラインで大抵のことができ、AIが人間の代役を担う社会になったからこそ、逆に人間らしさ、人間として生きる醍醐味とは何かを映画学の観点から一緒に探ってみませんか?

映画『スワイプ:マッチングの法則』リリー・ジェームズ スワイプ:マッチングの法則【レビュー】

リリー・ジェームズが主演とプロデューサーを兼任する本作は…

映画『サムシング・エクストラ! やさしい泥棒のゆかいな逃避行』アルテュス/アルノー・トゥパンス/ルドヴィク・ブール サムシング・エクストラ! やさしい泥棒のゆかいな逃避行【レビュー】

パラリンピックやハンディキャップ・インターナショナルのアンバサダーを務めるアルテュスが…

映画『消滅世界』蒔田彩珠/眞島秀和 眞島秀和【ギャラリー/出演作一覧】

1976年11月13日生まれ、山形県出身。

映画『Fox Hunt フォックス・ハント』トニー・レオン Fox Hunt フォックス・ハント【レビュー】

“狐狩り隊(=フォックス・ハント)”と呼ばれる経済犯罪捜査のエリートチームが、国を跨いだ巨額の金融詐欺事件の真犯人を追い詰めるスリリングな攻防戦が描かれた本作は…

Netflix映画『フランケンシュタイン』オスカー・アイザック フランケンシュタイン【レビュー】

メアリー・シェリー著「フランケンシュタイン」はこれまで何度も映像化されてきました。そして、遂にギレルモ・デル・トロ監督が映画化したということで…

映画『大命中!MEは何しにアマゾンへ?』リュ・スンリョン/チン・ソンギュ/イゴール・ペドロゾ/ルアン・ブルム/JB・オリベイラ 大命中!MEは何しにアマゾンへ?【レビュー】

『大命中!MEは何しにアマゾンへ?』という邦題がいい感じで「どういうこと?」と好奇心をそそります(笑)…

映画『君の顔では泣けない』芳根京子 芳根京子【ギャラリー/出演作一覧】

1997年2月28日生まれ。

映画『白の花実』美絽さん、池端杏慈さん、蒼戸虹子さんインタビュー 『白の花実』美絽さん、池端杏慈さん、蒼戸虹子さんインタビュー

今回は『白の花実』に出演する美絽さん、池端杏慈さん、蒼戸虹子さんにお話を伺いました。撮影前に準備されたことや、本編を観た感想を直撃!

本サイト内の広告について

本サイトにはアフィリエイト広告バナーやリンクが含まれます。

おすすめ記事

映画『ウィキッド ふたりの魔女』シンシア・エリヴォ/アリアナ・グランデ トーキョー女子映画部が選ぶ 2025年ベスト10&イイ俳優MVP

2025年も毎年恒例の企画として、トーキョー女子映画部の編集部マイソンとシャミが、個人的なベスト10と、イイ俳優MVPを選んでご紹介します。

人間として生きるおもしろさを知る【映画学ゼミ第4回】参加者募集 人間として生きるおもしろさを知る【映画学ゼミ第4回】参加者募集!

ネットの普及によりオンラインで大抵のことができ、AIが人間の代役を担う社会になったからこそ、逆に人間らしさ、人間として生きる醍醐味とは何かを映画学の観点から一緒に探ってみませんか?

映画『チャップリン』チャーリー・チャップリン『キッド』の一場面 映画好きが選んだチャーリー・チャップリン人気作品ランキング

俳優および監督など作り手として、『キッド』『街の灯』『独裁者』『ライムライト』などの名作の数々を生み出したチャーリー・チャップリン(チャールズ・チャップリン)。今回は、チャーリー・チャップリン監督作(短編映画を除く)を対象に、正式部員の皆さんに投票していただきました。

学び・メンタルヘルス

  1. 人間として生きるおもしろさを知る【映画学ゼミ第4回】参加者募集
  2. 映画『殺し屋のプロット』マイケル・キートン
  3. 映画学ゼミ2025年12月募集用

REVIEW

  1. 映画『スワイプ:マッチングの法則』リリー・ジェームズ
  2. 映画『サムシング・エクストラ! やさしい泥棒のゆかいな逃避行』アルテュス/アルノー・トゥパンス/ルドヴィク・ブール
  3. 映画『Fox Hunt フォックス・ハント』トニー・レオン
  4. Netflix映画『フランケンシュタイン』オスカー・アイザック
  5. 映画『大命中!MEは何しにアマゾンへ?』リュ・スンリョン/チン・ソンギュ/イゴール・ペドロゾ/ルアン・ブルム/JB・オリベイラ

PRESENT

  1. 映画『アバター:ファイヤー・アンド・アッシュ』チャージングパッド
  2. 映画『ただ、やるべきことを』チャン・ソンボム/ソ・ソッキュ
  3. 映画『グッドワン』リリー・コリアス
PAGE TOP