REVIEW

許された子どもたち【レビュー】

  • follow us in feedly
  • RSS
映画『許された子どもたち』上村侑/黒岩よし/名倉雪乃

本作は、『先生を流産させる会』で長編デビューを果たし、『ライチ☆光クラブ』『ミスミソウ』などを手掛けてきた内藤瑛亮監督のオリジナル作品で、実際に起きた複数の少年事件に着想を得て、いじめによる死亡事件を起こした加害少年とその家族、そして被害者家族の姿を描いています。
いじめをテーマにした作品ですが、本作の場合はいじめから死亡事件にまで発展してしまい、犯罪を犯してしまった中学生の主人公がどんな運命を辿っていくのか、また、親がどのように接していくのかが中心に描かれています。普通の流れなら、「悪いことをしたんだから、そのまま少年院に入って罪を償うのが当たり前でしょ」と思うのですが、本作の場合はそういうわけにはいかず…、その後の展開は本編を観て頂くとして、実際にこういうことがあると思うとかなりゾッとしました。それと同時に、もし自分が主人公と同じ立場だったら、また、親の立場だったら、どうするのか想像してみると、登場人物達の行動を100%否定できない部分もあるので、より考えさせられました。 いじめは人それぞれで原因や背景が異なり、これをしたらなくなるという正解がないので、本当に難しいテーマですが、こういう作品を観て、ちょっと立ち止まって考えてみることが大切なのも知れませんね。観る人の年齢や立場、環境によっても感想はさまざまになりそうなので、ぜひご覧頂き、ご自身の感情と向き合って頂けたらと思います。

デート向き映画判定
映画『許された子どもたち』黒岩よし/名倉雪乃

デートで気軽に観られる作品ではありませんが、付き合いの長いカップルなら、たまにはこういったシリアスなテーマの作品を観て語るのもアリかも知れません。主人公は中学生ですが、親、被害者家族など、主人公と関わる大人達も物語でかなりキーとなっているので、この大人達の対応をどう思うのか、自分達が同じ立場だったらどうするのかなど、話し合うとお互いの深い考えを知るきっかけにもなりそうです。

キッズ&ティーン向き映画判定
映画『許された子どもたち』上村侑

主人公と同世代にあたるティーンの皆さんがどう受け止めるのかが、1番気になるところですが、いじめをなくす方法を考える一歩として、まずは本作を観ていじめについて“考える”ということから始めてみてはいかがでしょうか。また、本作では主人公を取り巻く大人の存在の重要性も考えさせられるので、これを機に周囲の信頼できる大人と話し合ってみるのも良いと思います。

映画『許された子どもたち』上村侑

『許された子どもたち』
2020年6月1日より全国順次公開
PG-12
SPACE SHOWER FILMS
公式サイト

©2020「許された子どもたち」製作委員会

TEXT by Shamy

関連記事
  • follow us in feedly
  • RSS

新着記事

映画『ぼくらの居場所』リアム・ディアス/エッセンス・フォックス/アンナ・クレア・ベイテル ぼくらの居場所【レビュー】

カナダのトロント東部に位置するスカボローを舞台に、さまざまな背景を抱えた3組の親子の姿を…

映画『ボンヘッファー ヒトラーを暗殺しようとした牧師』ヨナス・ダスラー ボンヘッファー ヒトラーを暗殺しようとした牧師【レビュー】

第二次世界大戦下のドイツに実在した牧師、ディートリヒ・ボンヘッファーは、ナチスに支配された教会やユダヤ人達を救おうと奮闘…

映画『ボクたちはみんな大人になれなかった』SUMIRE 佐藤菫【ギャラリー/出演作一覧】

1995年7月4日生まれ。東京都出身。

映画『プレデター:バッドランド』エル・ファニング プレデター:バッドランド【レビュー】

おもしろい!いろいろユニーク!“プレデター”シリーズは…

映画『モンテ・クリスト伯』ピエール・ニネ モンテ・クリスト伯【レビュー】

アレクサンドル・デュマ・ペールの傑作小説「巌窟王」を映画化した本作は…

映画『秒速5センチメートル』松村北斗 映画レビュー&ドラマレビュー総合アクセスランキング【2025年10月】

映画レビュー&ドラマレビュー【2025年10月】のアクセスランキングを発表!

映画『旅と日々』シム · ウンギョン/堤真一 旅と日々【レビュー】

つげ義春の「海辺の叙景」「ほんやら洞のべんさん」を原作に、『ケイコ 目を澄ませて』『夜明けのすべて』などを手がけた三宅唱監督が映画化…

映画『風のマジム』肥後克広 肥後克広【ギャラリー/出演作一覧】

1963年3月15日生まれ。沖縄県出身。

【20周年記念ボイスシネマ声優口演ライブ2025】羽佐間道夫、山寺宏一ほか 人気声優達が真剣勝負!会場が終始笑いに包まれた【20周年記念ボイスシネマ声優口演ライブ2025】本番リポート

発起人である羽佐間道夫のもと、山寺宏一、林原めぐみほか錚々たる人気声優達がズラリと顔を揃えたライブは今年で20周年を迎えました…

映画『あの時、愛を伝えられなかった僕の、3つの“もしも”の世界。』ホン・サビン/シン・ジュヒョブ あの時、愛を伝えられなかった僕の、3つの“もしも”の世界。【レビュー】

物語の始まりは、1995年の韓国、テグ。学校でいじめられていたドンジュン…

本サイト内の広告について

本サイトにはアフィリエイト広告バナーやリンクが含まれます。

おすすめ記事

映画学ゼミ2025年11月募集用 AI時代における人間らしさの探求【映画学ゼミ第2回】参加者募集!

ネット化が進み、AIが普及しつつある現代社会で、人間らしさを実感できる映画鑑賞と人間にまつわる神秘を一緒に探求しませんか?

映画『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊』ウェス・アンダーソン監督 映画好きが選んだウェス・アンダーソン監督人気作品ランキング

今回は、ウェス・アンダーソン監督作品を対象に、正式部員の皆さんに投票していただきました。人気作品が多くあるなか、上位にランクインしたのは?

映画『宝島』部活:座談会/大友啓史監督 この映画で問いかけたい「宝」とは…大友啓史監督と語ろう『宝島』部活リポート後編

前回に引き続き今回は映画『宝島』の部活リポートをお届けします。後編では、事前に正式部員の方々にお答えいただいたアンケート結果について議論しました。今回も熱いトークが繰り広げられています!

学び・メンタルヘルス

  1. 映画学ゼミ2025年11月募集用
  2. 映画『おーい、応為』長澤まさみ
  3. AXA生命保険お金のセミナー20251106ver3

REVIEW

  1. 映画『ぼくらの居場所』リアム・ディアス/エッセンス・フォックス/アンナ・クレア・ベイテル
  2. 映画『ボンヘッファー ヒトラーを暗殺しようとした牧師』ヨナス・ダスラー
  3. 映画『プレデター:バッドランド』エル・ファニング
  4. 映画『モンテ・クリスト伯』ピエール・ニネ
  5. 映画『秒速5センチメートル』松村北斗

PRESENT

  1. 映画『TOKYOタクシー』オリジナルパラパラメモ
  2. トーキョー女子映画部ロゴ
    プレゼント

PAGE TOP