取材&インタビュー

映画配給さんにインタビュー【アーク・フィルムズ】×【ブエナワイカ】

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コラボインタビュー1:アーク・フィルムズ、ブエナワイカ

今回は、日本初上陸のマルタ製作映画を配給するアーク・フィルムズの相川さんと、ペルー映画を専門に配給するブエナワイカの長沢さんにインタビューをさせていただきました。なんと、相川さんも小学生の頃に6年間ほどペルーに在住していたそうで、ペルー繋がりもあり、不思議なご縁を感じるインタビューとなりました。どうやって作品を買い付けるのかといったことなど、普段は聞けないお話をたくさんしていただきました。

企業名や屋号の由来と作品選びへのこだわり

マイソン:
まず、長沢さんにお聞きします。なぜペルー映画を配給しようと思ったのですか?また、“ブエナワイカ”という名前の由来は何でしょうか?

ブエナワイカ長沢さん:
最初にペルーに行ったのが2005年で、もう1回ペルーに行きたいと思って行ったのが2010年です。ペルーから帰ってきた時、ちょうど映画会社にいたのでペルーと映画で何かできたら良いな、映画からもっとペルーのことを知りたいなと思いました。ただ、身近に映画があっても映画を観る機会がなかなかなくて、それなら自分で上映しようと“ブエナワイカ”を立ち上げました。
“ブエナ”はスペイン語とケチュア語の造語で“良い”の意味、英語でいうと“good”です。“ワイカ”はケチュア語で“1つの仕事や活動に多くの人が参加する”というニュアンスです。ただ上映会を開くというのではなくて、ペルーを1つのキーワードとして、物を売ったり、ペルーの支援をしている人達、ペルーにまつわるいろいろな活動をしている人、映画の場作りをしたいという想いがあったので、ピッタリの言葉だと思いました。映画を通して繋がれるような交差点的な場になればいいなと思って付けた名前です。
ペルーというと、アンデスのイメージが強くて、色鮮やかな織物やマチュピチュなどのイメージもあります。映画だったら、それだけじゃないペルーを知ってもらえるかなというのもありました。例えば音楽であったり、ドラマ性のある物語であったり。それがペルーの映画を上映したいと思ったきっかけです。

マイソン:
皆が表面的に知っているペルーではなくて、ペルーのディープなところを映画で伝えたいということですね。

ブエナワイカ長沢さん:
そうですね。映画が1つの役割を果たしてくれるというか。僕はペルーに出会って、人生においてすごく成長できた部分があるんです。だから、恩返しといったら大袈裟ですが、そこに繋がっていったら良いなと思いました。元々映画に出会ったのも、映画会社に入るきっかけになった人と繋がったのもペルーがきっかけです。今も繋がりがあってお世話になっていて、映画というところから離れないでいるのは、ペルーのご縁かなと思います。

アーク・フィルムズ相川さん:
“アーク”も半分造語なんですけど、“架け橋”というイメージで社長が付けました。人と人を繋いだり、映画と人を繋いだり、世界と日本を繋いだり、そういうことができればというのが名前の由来です。2011年に設立して、僕は会社設立から2年目に入社しました。

マイソン:
ラインナップとしては配給協力もしていらっしゃるので取り扱うジャンルは多岐に渡りつつ、自社で買い付ける洋画作品はどんな風に選んでいるんですか?

アーク・フィルムズ相川さん:
僕が買い付けを担当する際に作品を選ぶポイントは、新しい監督とか、作家性などです。映画祭に行った際にはいろいろな作品をチェックするようにしています。

マイソン:
発掘という感じですね。

アーク・フィルムズ作品:『名もなき歌』
アーク・フィルムズ作品
名もなき歌
DVDレンタル&販売中/デジタル配信中
©Luxbox-Cancion Sin Nombre

アーク・フィルムズ相川さん:
そうですね。どうせやるならこれから注目されるであろう可能性を秘めた方々とやっていきたいなというのがあります。昨年公開させていただいた『名もなき歌』は、3年前のカンヌ映画際のある視点部門に出品されていて、女性監督初の長編です。観た時に「これはすごいな」「すごい作家だな」と思いました。ちょうど(映画館を運営する)ユーロスペースさんも観ていて、「買うなら一緒にやろうよ」と言ってくださったのが発端でした。

マイソン:
買い付けの時点から劇場さんと協力して動くこともあるんですね。

アーク・フィルムズ相川さん:
最近は特にそうです。劇場さんの意見を聞くことも多々ありますし、日本で紹介したい映画とその映画館の持っているカラーもありますからそこを上手く合わせたいと思い、それは買い付ける前から擦り合わせるようにしています。

マイソン:
確かにそれが先にあったほうがこの劇場では絶対にかけられるという状態にできますね。

アーク・フィルムズ相川さん:
そうなんですよ。買ったのは良いけど、誰も見向きもしてくれなかったらどうしようっていうのは怖いじゃないですか(笑)。

マイソン:
そこは先に抑えておきたいところですよね(笑)。長沢さんは、どうですか?

映画『アンデス、ふたりぼっち』ローサ・ニーナ/ビセンテ・カタコラ
ブエナワイカ配給『アンデス、ふたりぼっち』

ブエナワイカ長沢さん:
『アンデス、ふたりぼっち』はアカデミー賞のペルー代表になっているんですけど、最終的なノミネートはされていないので、映画祭では観られていない作品なんです。

マイソン:
どうやって見つけてきたんですか?

ブエナワイカ長沢さん:
今まで3回くらい自主上映会をやってきて、選択肢はなく「こういう映画があるよ」って聞いたら、それを上映するという流れでした。2作目の『湖の娘~アンデスの水を守る』はペルーの鉱山開発のドキュメンタリーなんですけど、フェイスブックで予告編を観て「こんなことがペルーで行われているんだ」と驚いて、すぐにメッセンジャーで監督に「上映させてください」と直に連絡しました。『ニッケイ ペルーに渡った私のおじいちゃん』も監督を調べて直接連絡をしました。そうしていくうちにいろいろな繋がりができて、ペルーに住んでいる日本人の方などに「ペルーですごく話題になっている作品があるよ」って紹介してもらったりもしました。その方が現地にいたので、エージェントの連絡先を教えてもらって、連絡をしてという感じです。

ブエナワイカ作品:ペルー映画祭
ブエナワイカ主催:ペルー映画祭

マイソン:
すごい!!独自のルートですね。

アーク・フィルムズ相川さん:
本当にすごいですね!

マイソン:
独占ですね!フェイスブックで予告編をご覧になった時は、字幕はないですよね?

ブエナワイカ長沢さん:
はい。映像のインパクトと自分の好奇心でこれはと思うものを選んでいます。だから、ほぼ確実に日本で上映することを監督に連絡してそこから本編をもらって観てという感じです。

マイソン:
そこから発展して、『アンデス、ふたりぼっち』はもっと広く配給しますよっていう流れになったんですか?

ブエナワイカ長沢さん:
『アンデス、ふたりぼっち』は、元々自主上映のつもりだったんです。2019年に準備がひと段落して2020年に上映しようと思ったらコロナが流行ってしまって、状況が変わりました。自分で公共施設を借りて感染対策をするとなると難しいし、急に公共施設を使えませんと言われてしまったら大変だなと思った時に、この際だから映画館にあたってみようと思いました。それで、2022年だったらというところが見つかり、今年公開することになりました。

マイソン:
コロナ禍だけど逆にポジティブに行動されるきっかけになったんですね。

「これは公開しなければ!」という使命感をもたらした作品

マイソン:
最新作に1番惚れ込んだ理由は何でしょうか?

ブエナワイカ長沢さん:
『アンデス、ふたりぼっち』は、公開しなくちゃと感じる出来事があったんです。公開が決まっているなかで、ペルー映画祭が開始する2021年11月27日の前日、11月26日にオスカル・カタコラ監督が亡くなったんです。

一同:
えー!!

ブエナワイカ長沢さん:
これがデビュー作で素晴らしい作品なんですが、ペルー映画祭当日の朝電車に乗っていて、誰か映画祭のことを呟いている人がいないかなと思ったら、監督が亡くなったというニュースが流れていて。この作品は初日の上映だったので、亡くなったその日に日本初公開となりました。そういうこともあって、やっぱりこの作品はしっかり上映しなくちゃと思いましたね。

マイソン:
期待の新星と書かれていて、監督はまだお若いですよね。

ブエナワイカ長沢さん:
34歳でした。

アーク・フィルムズ相川さん:
やるしかないですね。

ブエナワイカ長沢さん:
これはやるしかないなと思いました。でも良かったのは、『アンデス、ふたりぼっち』のエージェントがいろいろなペルー映画を持っていたおかげでペルー映画祭ができたんです。『マタインディオス、聖なる村』は画として自分の好みというか、すごく1シーン1シーンが丁寧に撮られていて美しいなと思いました。なかなか癖のあるというか、世界観のある作品です。

ブエナワイカ作品:『マタインディオス、聖なる村』
ブエナワイカ配給『マタインディオス、聖なる村』

アーク・フィルムズ相川さん:
ちょっとだけ予告編を観たのですが、画が力強いですよね。長沢さんのほうがお詳しいと思いますが、ペルーの映画産業ってまだそんなにちゃんと成立していなくて、若手とか映画産業を育てようみたいなところもやり始めてはいるんですけど、まだそこまで進んでいないところからこういう作品が出てくるのはすごいですよね。

ブエナワイカ長沢さん:
この作品もそうですけど、それぞれの個性が出ていて、ペルー映画祭で観た方からも「質が高いですね」という声がすごく多かったです。

アーク・フィルムズ相川さん:
(ラテンアメリカ映画を配給している有限会社アクションの)比嘉さんが「(南米の映画制作者は)次いつ撮れるかわからないから、1本1本に想いを込めて作るんだ」とおっしゃっていて、なるほどなって。

マイソン:
日常的に差し迫るものがあるんですね。

アーク・フィルムズ相川さん:
そういう環境なんでしょうね。

映画『アンデス、ふたりぼっち』ローサ・ニーナ/ビセンテ・カタコラ
ブエナワイカ配給『アンデス、ふたりぼっち』

ブエナワイカ長沢さん:
僕がペルーに惹かれたのも、皆が自分の人生を切り拓こうとしていて、たくましく生きているところなんです。僕が出会った人達もスラム地域にいても自分で大学に行ったり、道を見つけていて、その姿にはすごく影響を受けました。ペルー映画はそういうところを感じさせるものがあるのかもしれないですね。

マイソン:
『アンデス、ふたりぼっち』は、最初ほっこりして可愛い映画だなと思って観ていたら、途中から「えー!!」となって、本当におっしゃるように主人公2人がたくましくて、この夫婦はすごいなって。ペルー独特の魅力もあれば、夫婦の姿に共感するところもあって、「これはめちゃめちゃ理想の夫婦だな」と思いながら観ました。最後まで観て、いろいろな意味でこれはコロナ禍の今観るのにピッタリだなとも思いました。それでいうと内容はまったく異なりますが、『ルッツ 海に生きる』にも同じ要素を感じて、今観ると余計に自分のこととして観る人がいそうな気がしました。

映画『ルッツ 海に生きる』ジェスマーク・シクルーナ
アーク・フィルムズ、活弁シネマ倶楽部配給『ルッツ 海に生きる』

アーク・フィルムズ相川さん:
僕も『ルッツ 海に生きる』を最初に観たのが昨年のSKIPシティ国際Dシネマ映画祭で、グランプリを獲っていたんです。おっしゃる通り、自分のこととして考えられる映画だったんですよ。マルタという国も名前くらいしか知らなくて。漁師の新米父親の話なんですけど、小さい船で釣っているので魚が捕れないんですよね。大型船の勢力や気候変動の影響もあって漁師として稼ぐのに苦労している上に、生まれたばかりの子どもに発育不良が発覚してしまうんです。厳しい現実がどんどん襲ってくるなかで彼がある決断をするという話なのですが、「どうやって生きていけば良いんだ」という彼の迷いは、いろいろな人が置かれている状況に当てはまると思いました。主人公がイケメンなので、日本で公開したら共感してもらえるかなというのもありました。
あとは、昔ルキノ・ビスコンティ監督の『揺れる大地』という作品を配給したのですが、これは70年前に撮ったモノクロ映画で設定が近かったんです。なので、観た瞬間に『揺れる大地』の現代版だと思いました。結末とかがすごく現代版になっていて、そこも良いなと思いました。主人公が代々受け継いだ船の伝統を守るという使命もわかっていながら、「生きていけないからどうする?」みたいな。家族の問題もあったり、いろいろな葛藤のなかで生きていかないといけないという姿にグッとくるんですよね。そして、ラストシーンがすごく良いんです。

アーク・フィルムズ作品
『ルキーノ・ヴィスコンティ 生誕110年 没後40年メモリアル ~イタリア・ネオレアリズモの軌跡~』
©1960 TF1 Droits Audiovisuels – Titanus

マイソン:
確かに!あのラストシーンがあるかないかでだいぶ違いますよね。

アーク・フィルムズ相川さん:
監督にも「これはどういうつもりで撮ったんですか?」って聞いたんですよ。でも、絶対に教えてくれなかったんです。「それはお客さんが決めることだから」って。潔い監督だなと思いました(笑)。本当に絶対教えてくれないんですよ。

マイソン:
ハハハハハ(笑)!あと、私はこの作品を観ていて、映画業界にも通ずるところを感じました。主人公は漁師を続けるのが大変で、でも漁師をやりたいからやっている。映画業界の人も今すごく辛いけど、辞めるに辞められないという(笑)。

映画『ルッツ 海に生きる』ジェスマーク・シクルーナ
アーク・フィルムズ、活弁シネマ倶楽部配給『ルッツ 海に生きる』

アーク・フィルムズ相川さん:
できることなら彼も船に乗っていたいし、僕も映画業界の船に乗っていたいけど…という感じですよね(笑)。

マイソン:
そうそう(笑)。だから通じるところがいっぱいあると感じました。

アーク・フィルムズ相川さん:
何を取るかは人それぞれで、彼は決めるんですけど、それが正しいか間違っているかは関係なく、日々決めていろいろやっていかないといけないなと思いましたね。

映画を通して届けたいこと

コラボインタビュー1:アーク・フィルムズ、ブエナワイカ
写真左:ブエナワイカ長沢さん/右:アーク・フィルムズ相川さん

アーク・フィルムズ相川さん:
世界で行われていること、起きていることを知るって、僕は大事だと思っているんです。それを映画で知ることができるのは良いことだし、そういうことをやっていきたいなと思います。『ムクウェゲ 「女性にとって世界最悪の場所」で闘う医師』という作品があるんですね。

マイソン:
観ました。強烈でした。

映画『ムクウェゲ 「女性にとって世界最悪の場所」で闘う医師』デニ・ムクウェゲ
アーク・フィルムズ作品
『ムクウェゲ「女性にとって世界最悪の場所」で闘う医師』
©TBSテレビ

アーク・フィルムズ相川さん:
ありがとうございます。コンゴでノーベル平和賞を獲ったムクウェゲ医師の物語なのですが、最初は全然知らなくて、「こんなことになっているの!?」と驚いたんです。現実があまりに酷くて。日本を含め先進国とも繋がっている話なので、少し考えるきっかけになればと。映画ってそういう力もあるのかなと思います。
あともう1つ僕がやりたい映画というのは、どちらかというとアートハウス系の映画なのですが、多様性というか選択肢を増やすことが大切だと思っています。振り幅の大きい世界が大事で、それを日本で観られる機会があったほうが良いんじゃないかというのは常々思っています。

アーク・フィルムズ作品:『世界で一番ゴッホを描いた男』
アーク・フィルムズ作品
世界で一番ゴッホを描いた男
DVDレンタル&販売中/デジタル配信中
©Century Image Media (China)

ブエナワイカ長沢さん:
世界を広げて欲しいですよね。たまたまそれがペルーなのか他の国なのか、やっぱり映画の力はありますし、それを感じて欲しいなと思いますね。

マイソン:
長沢さんは数ある国を回ったなかで、なぜペルーだったのでしょうか?

ブエナワイカ長沢さん:
わからないです(笑)。始めに行った世界一周の旅でペルー以外に15、16ヵ国行きました。その中で肌に合ったのがペルーでした。観光地としてイタリアとかフランスとか、おもしろい国もありましたけど、もう1回行くならペルーかなって。最初に行って知り合った人と繋がっていて、日本に帰ってきてからもやり取りがずっと続いていたので、もう1回行かなくちゃというのもありました。そうやっていくとペルーの映画やイベントと繋がっていくので、何か関係が切れないというか、これはこのままおもしろいところに行ってみようかなという感じでした。

マイソン:
お話を聞いていたら、国そのものもそうだとは思うのですが、長沢さんはペルーの“人”に惹かれたのかなって思いました。

ブエナワイカ長沢さん:
そうですね。出会った人が良かったのかなって(笑)。ペルー料理は美味しかったですが、高地ではお腹を壊すこともありました。あと、僕は保育士もやっていて、そのきっかけもペルーでした。言葉がわからないなかでも仲良くなれたというか、3、4歳くらいの子が帰り際とかに寄ってきてくれたりして、一緒にいたのは5日間ほどでしたが、その短い期間にすごく心が通ったという感覚があって、日本に帰ったら保育士をやってみようかなと思ったんです。そういういろいろな意味があったんだと思います。

マイソン:
ペルーの体験が本当にいろいろなことに繋がってるんですね!長沢さんのお話を聞いていたら、ペルー映画にますます興味が湧いてきます。ブエナワイカさんの作品の中でペルー映画の入口としてオススメの作品はありますか?

ブエナワイカ作品:『サウンド・イン・リマ』
ブエナワイカ作品
『サウンド・イン・リマ』
ビデオマーケット、U-NEXTにて配信中

ブエナワイカ長沢さん:
『サウンド・イン・リマ』は、ペルーの前衛音楽の音楽ドキュメンタリーで、『名もなき歌』のパウチ・ササキさんも出演しています。アンデス音楽とはまた違った、ヒップホップとかそういうものとも違うペルー現代音楽で、これはおもしろいと思いましたね。あと、ペルーウエスタンといえる西部劇もあったり、ホラー映画もあって。『シークレット・マツシタ/怨霊屋敷』のドリアン・フェルナンデス・モリス監督の『へネラル・セメンタリー』という作品もあります。同じペルーでもジャンルは多様なんです。

ブエナワイカ作品:『オールドタウン 憎しみの銃弾』
ブエナワイカ作品
『オールドタウン 憎しみの銃弾』
ビデオマーケット、U-NEXTにて配信中

マイソン:
日本にまだペルー映画があまり入ってきていないだけで、いろいろあるんですね!では、最後にそれぞれ一言ずつお願いいたします。

ブエナワイカ長沢さん:
“シネ・レヒオナル”、直訳すると“地域映画”という意味なのですが、簡単にいうとペルーの首都リマ以外のアンデス地域出身の方がその土地で撮影した映画のことをいいます。他の南米でも使われる言葉なので、“ペルーのシネ・レヒオナル”と付くのですが、『アンデス、ふたりぼっち』も『マタインディオス、聖なる村』もペルーのシネ・レヒオナル作品です。ペルーの文化庁も推奨しているんですけど、アンデスの文化がだんだん消えていくなかで、映画を通して文化を残していこうという動きがあるんです。社会風刺とまではいきませんが、社会の問題点などを背景に入れていたりするので、そこは観て欲しいなと思います。ペルーのシネ・レヒオナルという映画運動、文化を日本の方達にも紹介したいなという想いもあって、1つの映画表現として観てもらえたらいいなと思います。また、その映画を通してペルーを知って、ペルー映画以外にもおもしろいなって思う映画を広げていって、たくさん映画を観て欲しいなと思います。

マイソン:
ありがとうございます。相川さん、お願いします。

アーク・フィルムズ相川さん:
映画は映画館と共にあるものだと思っています。古い考えかもしれませんが、やっぱり映画館で観るのと、スマホやテレビで観るのとでは違います。映画作家も映画館でかけることを前提に作っているので、その環境で観ることが僕は大事だと思っています。だから、ぜひ映画館で映画を観て欲しいです。それに尽きます。
ゆくゆくはDVDを出したり、テレビでということもありますけど、最初は映画館でちゃんと観ていただきたいなと思います。コロナ禍でなかなか大変ですけど、映画館に行ける時は映画館で映画を観ていただきたいなと。そのなかで『ルッツ 海に生きる』をぜひ選択肢に入れていただきたいです。オススメです。損はしないので、ぜひ観ていただきたいなと思います。

マイソン:
本日は貴重なお話をたくさんしていただき、ありがとうございました!

2022年6月14日取材 PHOTO&TEXT by Myson

映画『ルッツ 海に生きる』ジェスマーク・シクルーナ/デイヴィッド・シクルーナ

『ルッツ 海に生きる』
2022年6月24日(金)より全国公開
監督:アレックス・カミレーリ
出演:ジェスマーク・シクルーナ/ミケーラ・ファルジア/デイヴィッド・シクルーナ
配給:アーク・フィルムズ 、活弁シネマ倶楽部

地中海の島国マルタで漁師をする26歳のジェスマークは、漁師としての稼ぎはわずか、祖父から受け継いできた漁船ルッツも故障し、発育不良の子どもの治療費にも困り、行き詰まっていた。そんな時、ある現場を目撃したジェスマークは、踏み込んではいけない世界に近づいてしまう。

公式サイト REVIEW/デート向き映画判定/キッズ&ティーン向き映画判定

© 2021 Luzzu Ltd

ブエナワイカ作品:『マタインディオス、聖なる村』

『マタインディオス、聖なる村』
2022年6月18日(土)よりシアター・イメージフォーラムほか全国順次公開中
製作・監督・脚本:オスカル・サンチェス・サルダニャ
監督・脚本・編集:ロベルト・フルカ・モッタ
出演:カルロス・ソラノ/ナタリー・アウレス/グリセリオ・レイノソ/ホセ・ビバス/ファウスティナ・サンチェス
配給:ブエナワイカ

ペルーの山岳部にある集落で、家族を失った4人の村人が悲しみを終わらせるために村の守護聖人“サンティアゴ”を称える祭礼を計画する。だが、祭礼の準備が順調に進むなか予期せぬ出来事が起き…。

公式サイト

©LA TROPILLA DE OBRAJEROS EIRL

映画『アンデス、ふたりぼっち』ローサ・ニーナ/ビセンテ・カタコラ

『アンデス、ふたりぼっち』
2022年7月30日(土)より新宿K’s cinemaほか全国順次公開
監督:オスカル・カタコラ
出演:ローサ・ニーナ/ビセンテ・カタコラ
配給:ブエナワイカ

標高5,000mを越える場所に、ひっそりと暮らすパクシとウィルカ。2人はリャマと羊と共にアイマラ文化の伝統的な生活を送っていた。そんなある日、ウィルカが遠く離れた街まで買い出しに出かけたのをきっかけに、2人にさまざまな試練が訪れる。

公式サイト REVIEW/デート向き映画判定/キッズ&ティーン向き映画判定

©2017 CINE AYMARA STUDIOS.

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