ジェイソン・ステイサム、シルベスター・スタローンらお馴染みのキャストに加え、新たに50セント、ミーガン・フォックスら、世界各国から豪華アクションスターが集結し、さらにパワーアップしたシリーズ最新作『エクスペンダブルズ ニューブラッド』。今回は、本シリーズを含め長きに渡りジェイソン・ステイサムの吹き替えを担当している山路和弘さんにお話を伺いました。
<PROFILE>
山路和弘(やまじ かずひろ)/リー・クリスマス 役(ジェイソン・ステイサム)
1954年6月4日生まれ。三重県出身。1979年、劇団青年座に入団。2011年、“宝塚BOYS”の池田和也役、“アンナ・カレーニナ”のニコライ・カレーニン役を演じ、第36回菊田一夫演劇賞・演劇賞を受賞。2018年、“江戸怪奇譚〜ムカサリ〜”“喝采”では、第59回毎日芸術賞(演劇、演芸、邦舞部門)を受賞。2021年、第15回声優アワードにて外国映画・ドラマ賞を受賞した。2022年に青年座映画放送を退所後はフリーとなる。俳優として舞台、ミュージカル、映画、テレビドラマなどで活躍する一方で、声優としてジェイソン・ステイサムをはじめ多くの洋画作品で吹き替えを担当している。また、アニメの声優やナレーションも多数担当。
ジェイソン・ステイサムを演じる時はすごく特別な感覚があります
シャミ:
本作で“エクスペンダブルズ”シリーズは4作目となります。過去作から最新作に至るまでで、山路さんが感じるリー・クリスマス(ジェイソン・ステイサム)の変化や特徴はありますか?
山路和弘さん:
実は変化していると感じることは、あまりないです。過去作のあるシーンで、リーがバスケットコートで彼女のために野郎共をボコボコにする場面がありましたが、あの頃からリーはそんなに変わっていないと思うんです。ただ、だんだんとバーニー(シルベスター・スタローン)に近づいているなとすごく感じます。
記者A:
本作ではリーがメインでしたよね。
山路和弘さん:
そうなんですよ。実はバーニーが1番上にいないことが少し寂しい気もしています。2人の信頼関係が熱いからこそリーに全任したんだと感じます。本作ではバーニーとのあるシーンがありますが、そういう時に彼に代わってリーが行くみたいな。そう考えると、この先“エクスペンダブルズ”はどうなるんだろうと思います。今後もリーを軸に5作目、6作目と続くとなると、まだまだ僕にも仕事が来るなと指折り数えてしまいました(笑)。
一同:
ハハハハ!
シャミ:
リーの活躍シーンが多いだけに、吹き替えの収録時間もいつも以上に長かったのではないでしょうか?
山路和弘さん:
はい。今回の吹き替えは、皆さんと別録りだったんです。人数が少ないならそんなに時間がかからないだろうと思っていたのですが、ものすごく長い収録時間を言われて、何でだろうと思っていました。でも、その後に台本をいただいて、これは仕方がないと思いました(笑)。こんなにずっとリーが出ているとは本当に驚きました。今後はどうなるんでしょうね。
シャミ:
シリーズの行方や今後のリーの活躍も気になるところですね。
山路和弘さん:
ジェイソン・ステイサムがより活躍するとなると、僕もこれ以上老けてられないなと思います!
記者A:
ジェイソン・ステイサムの声といえば山路和弘さんで、吹き替えでこんなに違和感がない方はいないと思います。
山路和弘さん:
ありがとうございます。僕はてっきりステイサムと声が似ていると思っていたのですが、彼の声が好きで似せていた部分があり、だんだんとそれに慣れてしまったのかもしれません。
『スナッチ』の時に初めてステイサムの声を担当し、あの頃の彼はまだ若くて、こういう役者さんの吹き替えのお仕事をいただけるんだなと思いながら演じました。やっていくうちにどんどんステイサムの声が好きになり、僕の声も近づいて行ったように感じます。
記者A:
いつ頃からご自分でステイサムの声にピッタリだと感じましたか?
山路和弘さん:
やっぱり『トランスポーター』ですね。その頃からより彼を好きになり、役者としても良いなと感じました。アクションが非常に凝っていたことはもちろん、1番印象的なのはオイルの上で缶に足を突っ込んで、滑らないようにしていた場面です。「この俳優は一体どこまでやるんだろう」と感じ、本当に未知だと思いました。あまり喋るタイプのキャラクターではありませんでしたが、そういう役が彼にすごく合っていて、憧れもあります。
記者B:
吹き替えはキャラクターに命を吹き込むわけですが、それは舞台や実写作品でも同じことでしょうか?
山路和弘さん:
吹き替えというのは、ある意味職人業ようなところがあるんです。この作品のようにステイサムが作ったものを自分がステイサムになりきって演じるのが吹き替えなんです。だから舞台やアニメの吹き替えをするのとでは、ある種違うと思います。しかも、ステイサムを演じる時はさらに特別な感覚があります。
記者B:
山路さんの声自体がステイサムの肉体の一部かのようになっているという感覚でしょうか?
山路和弘さん:
たまにそう言われる時があります。だからしばらくステイサムの仕事がないと、今どうしているんだろうと心配するようになってしまいました。そんなことを言ったらおこがましいですけどね(笑)。今回は、少し前に公開された『オペレーション・フォーチュン』と、『エクスペンダブルズ ニューブラッド』と続けて2本もステイサムの声をやらせていただいたので、こんなにやっていいのかなと嬉しくなりました。
記者A:
吹き替えをされている時はステイサムを演じている感覚なのか、それとも役なのか、演じ分けみたいなものはありますか?
山路和弘さん:
ステイサムの場合は、ステイサムを演じるという感覚です。ただ『ハミングバード』の時だけは、いつもと少し違う雰囲気の役だったので、役に合わせました。ステイサムの演技スタイルというのは、基本的にはそんなに変わらない印象があるので、どういう役なのかということよりも、彼の息遣いや癖をきちんと表現したいと思っています。僕自身、彼の吹き替えを長くやってきて慣れている部分があるので、「ここでこう息をするだろうな」と思ったら、やっぱりそう来たかと感じることがよくあります。
記者B:
先ほど職人業というお話もありましたが、本作で1番決まったと感じた場面はどのシーンでしょうか?
山路和弘さん:
それは難しいですね。本当に最後に少し口が動いた気がして、そういう時に自分が言ったものがピタッとハマッた時に、心の中でガッツポーズをしています。
シャミ:
本シリーズでは、リーとバーニーをはじめとしたエクスペンダブルズのチーム力も魅力だと思います。また、シリーズを通してさまざまな豪華キャストが出演していますが、山路さんは “エクスペンダブルズ”のチームとしての魅力はどんな点だと思いますか?
山路和弘さん:
皆平気な顔をして罵り合う感じがすごく好きなんです。飛行機の中でガヤガヤやっているシーンが大体あるじゃないですか。それで必ず1人はペラペラ喋る人がいて、それに対して「うるさいんだよ」とずっと言っているとか(笑)。あれが相変わらずあるのがこれこそシリーズだなと感じます。いつも濃いメンバーが集まっているのもポイントですよね。
シャミ:
そうですね。ちなみに本作で特にお気に入りのキャラクターはいますか?
山路和弘さん:
今回はデーシャ(トニー・ジャー)がお気に入りです。本当に選りすぐりの方達が揃っていますよね。
シャミ:
若い世代も増えて、バーニーからリーへと継承されていく流れもありますし、邦題にある“ニューブラッド”に相応しいと感じました。
山路和弘さん:
まさに世代交代ですよね。今後どうなるのかますます気になります。
あまりあれこれと考えずに好きにやるのが1番
シャミ:
山路さんはジェイソン・ステイサム以外にもラッセル・クロウやヒュー・ジャックマンなどハリウッド俳優の吹き替えを多く担当されています。これまでで特に難しかったor印象に残っている作品や役はありますか?
山路和弘さん:
『フローレス』という作品でフィリップ・シーモア・ホフマンの吹き替えを担当したのですが、アドリブがたくさん入っている作品で、それは難しいというより楽しくて印象に残っています。吹き替えの現場も楽しくて、「これを入れてもいいかもしれない」「あれもいいかも」という感じでした。
シャミ:
なるほど〜。吹き替えの現場でご自身でもアドリブを入れることはあるのでしょうか?
山路和弘さん:
僕はわりとやりたがりなほうだと思います。最近はあまりしなくなりましたが、10年くらい前まではよくやっていました。
シャミ:
声優さんは今でこそ表に出られている方が増えている印象ですが、過去にはどちらかというと黒子的なイメージの時代もありました。山路さんが業界で長く活躍されるなかで、こういった変化についてどう感じていらっしゃいますか?
山路和弘さん:
皆いろいろやったら良いと思います。もちろん、それぞれやることは違うというか、守らなきゃいけないことがあるかもしれませんが、僕はいろいろやっているほうが楽しいと思うんです。
シャミ:
そういう意味では山路さんはパイオニア的存在でもありますよね。
山路和弘さん:
いろいろと手を出すようになってしまっただけなのですが、楽しくやっています。
シャミ:
役作りをする上では、俳優と声優のお仕事とで違いはありますか?
山路和弘さん:
自分で演じる時は、どこに向かっていったらいいのかと考える時間が多いのですが、吹き替えの場合は、キャラクターを見て発想するという作業なので、役作りの仕方がそれぞれ違います。
シャミ:
ご自身の中にそれぞれの取り組み方があるんですね。長年俳優や声優として活躍するなかで、常に心掛けていることや気をつけていることは何かありますか?
山路和弘さん:
今思えば先輩にいろいろと無礼だと思われたことがいっぱいあったのかなと思うくらい何も考えていませんでした。僕が若い頃は、現場でわりとブスッとしていたので、注意をしてくれる方もそんなにいませんでした。逆に今の若い方達を見ても、皆好きなことをやればいいと思っているタイプなので、あまり気になりません。もちろんいろいろなしきたりがある世界だと思うのですが、あまりあれこれと考えずに好きにやるのが1番良いと思います。
シャミ:
では、最後の質問です。これまでで1番影響を受けた作品、もしくは俳優や監督など人物がいらっしゃったら教えてください。
山路和弘さん:
三國連太郎さんです。ずっと観てきましたし、ああいう渋さが好きでした。あとは、佐分利信さんとか伊藤雄之助さんとか。それから、僕は関西生まれで子どもの頃は、松竹新喜劇の藤山寛美さんをずっと観ていました。だからコメディをやる時に、「君は関西人?」と言われることがよくありました。若い時はどこか真似をしていたんでしょうね。そういう方々に僕は影響を受けたんだと思います。
シャミ:
本日はありがとうございました!
2023年12月12日取材 Photo& TEXT by Shamy
『エクスペンダブルズ ニューブラッド』
2024年1月5日より全国公開
R-15+
監督:スコット・ ウォー
出演:ジェイソン・ステイサム/シルベスター・スタローン/50 セント/ミーガン・フォックス/ドルフ・ラングレン/トニー・ジャー/イコ・ウワイス/ランディ・クートゥア/アンディ・ガルシア
日本語吹き替え版声優:山路和弘/ささきいさお/大塚明夫
配給:松竹、ポニーキャニオン
最強無敵の傭兵軍団<エクスペンダブルズ>を率いるバーニー・ロスは、新たなミッションのため、かつての相棒リー・クリスマスと再び組むことになる。新たなメンバーも加わったエクスペンダブルズは、テロリストが所有する核兵器を奪還するというミッションに挑む。しかし、敵の卑劣な策の前にミッションは失敗に終わり、大きな代償を払うことに…。
© 2022 Ex4 Productions, Inc.
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情報は2024年1月時点のものです。最新の販売状況や配信状況は各社サイトにてご確認ください。