取材&インタビュー

トムス・エンタテインメント竹崎忠社長スペシャル・インタビューVol.2

  • follow us in feedly
  • RSS
トムス・エンタテインメント竹崎忠社長スペシャル・インタビューVol.2

本インタビューVol.1では、「アニメSDGs -2030年までに持続可能な日本アニメ産業の未来を創る-」という構想のきっかけをお聞きしました。今回は、【アニメSDGs】の第一歩となる社内の営業部隊の強化についてのお話です。どのような経緯で、アニメ化プロジェクト全体のプロデュースを手掛けるまでに至ったのか、その真相を話してくださいました。

Vol.1を読む

トムス・エンタテインメント
公式サイト

自分達で作った作品を自分達で売る!会社が変わった瞬間

竹崎社長:
制作会社としてこれだけの作品を作れるのに、なぜ自分でビジネスができないのか。制作して納品するまでがトムス・エンタテインメント(以下、トムス)の仕事になっているけど、自分達で作った作品を自分達で売るとこまでやろうよ。2015年にトムスに移って、最初の2、3年はそのことばかり言ってたかな。でも、そのためにはトムス自身が”売る力”を身に付けなければ始まりません。だから、まずは営業部隊を強化するところから着手しました。ちょうど当時の自分は営業部門の責任者だったし。ただ、もともと自社でできていなかったことなので、当時の社員だけではカバーすることができず、社外からさまざまなキャリアを持っている人、特に海外やデジタルに知見を持っている人を中途採用して新しい営業部隊を整えていきました。

こんな風に会社のあり方そのものを切り替えているタイミングで、制作現場にとある新作の制作依頼が舞い込みました。これまでも一緒にお仕事させていただいた会社で、以前の作品と同じ座組みでトムスに制作を担当して欲しいというお話でした。これまでと何ら変わらない、いつものパターンです。
ただ、ここまでお話したとおり、これからのトムスは制作だけを受けていてはダメで、良い作品を作るのはもちろん、その作品を販売するところまで関わっていきたいという意志があります。そこで、無理を承知で「出資額を増やして構わないので、トムスで海外への販売を一部でもやらせて欲しい。制作と営業はセットでやりたい。営業部隊も強化したので、結果は出します」とお願いしました。従来と違うトムスのスタンスに最初は相手も驚いていましたが、トムスを取り巻く環境やこれからの方針について、その覚悟の程も含めて説明し、最終的には海外販売を一部任せてもらえることになりました。実は、この交渉に関しても「クライアント様に失礼な!」って社内の古参スタッフの一部から怒られちゃったりしましたが(笑)。

マイソン:
今までの流れからすると、当然皆さんビックリされたでしょうね(笑)!

竹崎社長:
当時このプロジェクトに関わっていた社内の若手スタッフは、「あの瞬間に会社が変わったと感じました」って今でも言ってくれたりします。でも、自分で売るところまで背負ってやるからには多少予算をオーバーしてでも良い作品を作ろうってスタンスで取り組むし、先方もトムスに制作してもらいたいと思ってくれているからこそ、こちらのお願いを呑んでくれたんです。

トムス・エンタテインメント竹崎社長スペシャル・インタビュー
本社ロビーには、たくさんの作品のポスターやスタンディが並びバラエティの豊かさを感じます。

結果的に、欧米に関してはトムスで販売させていただくことになり、パワーアップした営業部隊が海外の配信会社と交渉してちょっとビックリするような金額で契約を結ぶことになりました。この契約は大きかったですね。1年ちょっと前には任せられないといわれていたトムスの営業が、他社も驚くような結果を出したわけですから。これが契機となってトムスの営業はちゃんとした値段で海外にアニメ作品を販売できるという実績ができ、製作委員会各社や原作出版社からも評価していただきました。ちょうどグローバル配信事業者が出てきて、アニメのビジネスがグローバルなものに大転換する時期と重なったのもラッキーでしたね。

ここから始まって、自社で制作する作品の販売や、他社が制作した作品の営業代行などの実績を積み上げて、ついにトムスが自ら新作を企画・プロデュースするというところまでたどり着きました。この8月に発表した『アンデッドアンラック』などは、週刊少年ジャンプにて連載中の人気作品を預けていただき、トムスでアニメ化プロジェクト全体をプロデュースするという、ついにここまで来たかと感慨ひとしおな作品です。その分、責任も重いですけど。

マイソン:
スゴーい!そこに至るまで何年くらいかかったんですか?

竹崎社長:
4、5年くらいかな。でも、それ以前にトムスという会社には長年にわたる作品の蓄積や制作の実績があって、ある程度のお金もあって。先人が築いてくれたものがあったからこそできたことだと思っています。

マイソン:
Vol.1のお話にもあるように)もともとゲーム業界の仕組みというところから発想されたのは、竹崎社長ならではですよね。

竹崎社長:
ゼロからコンテンツを創り出す人がヒエラルキーの一番上じゃなかったっけ(笑)。アニメの世界では一番下なのか、って。

マイソン:
アニメ業界もゲーム業界も似ていると思ってました。

竹崎社長:
似てるように見えるんだけど、全く違うんですよ。

2022年10月7日取材 PHOTO&TEXT by Myson

Vol.3を読む

トムス・エンタテインメント制作のアニメ

『アンデッドアンラック』
2023年よりテレビ放送開始
公式サイト

© 戸塚慶文/集英社・アンデッドアンラック製作委員会

関連記事
  • follow us in feedly
  • RSS

新着記事

映画『プライベート・ケース』ジョディ・フォスター プライベート・ケース【レビュー】

ジョディ・フォスター初のフランス映画は、もちろん全編フランス語です…

映画『モアナと伝説の海』キャサリン・ラガイア モアナと伝説の海【レビュー】

アニメーションの“モアナと伝説の海”シリーズに魅了された者としては、実写で観てみたいという願いが叶っただけで、まず満足…

映画『スーパーガール』イヴ・リドリー イヴ・リドリー【ギャラリー/出演作一覧】

2011年12月13日生まれ。イギリス出身。

映画『Return to My Blue』吉原壮眞 Return to My Blue【レビュー】

「春休み、小学校の連絡帳に『無人島へ冒険に行ってきました』って書いたら、格好良くない?」という一言から始まった、無人島への冒険…

映画『左利きの少女』ニーナ・イエ/マー・シーユエン 『左利きの少女』一般試写会 10組20名様ご招待

『左利きの少女』一般試写会 10組20名様ご招待

映画『PEACOCK/ピーコック』アルブレヒト・シュッフ PEACOCK/ピーコック【レビュー】

人間という社会的動物の残念な一面を揶揄する秀逸なストーリーです…

映画『トイ・ストーリー5』 ポッドキャスト【トーキョー女子映画部チャンネル】あの映画がおもしろいと思う本当の理由『死ねばいいのに』『ヌーヴェルヴァーグ』『トイストーリー5』など

今回は、『キングダム 魂の決戦』『チルド』『オブセッション 災愛』『死ねばいいのに』『ヌーヴェルヴァーグ』『トイストーリー5』を取り上げました。

映画『隣人たち』ジェシカ・チャステイン/アン・ハサウェイ 隣人たち【レビュー】

ジェシカ・チャステインとアン・ハサウェイ、2人のオスカー俳優が共演というだけで、観たくなる方は少なくないはず…

海外ドラマ『ザ・ボーイズ シーズン3』ジェンセン・アクレス ジェンセン・アクレス【ギャラリー/出演作一覧】

1978年3月1日生まれ。アメリカ出身。

映画『新凱旋門物語』クレス・バング 新凱旋門物語【レビュー】

“新凱旋門”という通称をもつ“グランダルシュ”は、ルーヴル美術館のガラスでできたピラミットからシャンゼリゼ、凱旋門までを直線で繋ぐラインの先に位置するキューブ型の巨大なモニュメントです…

【映画でSEL】にたどりつくまでの道

今のあなたに必要な非認知能力を伸ばす【映画でSEL】プログラムのご案内

本サイト内の広告について

本サイトにはアフィリエイト広告バナーやリンクが含まれます。

おすすめ記事

映画『ボヘミアン・ラプソディ』ラミ・マレック 映画好きが選んだ実在アーティストの伝記映画ランキング

今回は実在アーティストの伝記映画について、正式部員の皆さんに投票してもらいました。さまざまな有名アーティストにまつわる作品がある中で上位にランクインしたのはどの作品でしょうか?

映画『ズートピア2』 映画好きが選んだ2025アニメ映画ベスト

今回は、2025年に劇場公開されたアニメ映画について、正式部員の皆さんによる投票結果ベスト30を発表!2025年のアニメ映画ベストに輝いたのは?

映画『国宝』吉沢亮 映画好きが選んだ2025邦画ベスト

今回は、正式部員の皆さんに投票していただいた2025年邦画ベストの結果を発表!2025年の邦画ベストで上位にランクインしたのはどの作品でしょう?

学び・メンタルヘルス

  1. 映画『四月の余白』一ノ瀬ワタル/上阪隼人
  2. 【映画学ゼミ第9回】「作品との心理的距離感に影響を与え得る情動知能」参加者募集!
  3. 映画『炎上』森七菜/髙橋芽以

REVIEW

  1. 映画『プライベート・ケース』ジョディ・フォスター
  2. 映画『モアナと伝説の海』キャサリン・ラガイア
  3. 映画『Return to My Blue』吉原壮眞
  4. 映画『PEACOCK/ピーコック』アルブレヒト・シュッフ
  5. 映画『隣人たち』ジェシカ・チャステイン/アン・ハサウェイ

PRESENT

  1. 映画『左利きの少女』ニーナ・イエ/マー・シーユエン
  2. 映画『トイ・ストーリー5』Tシャツ
  3. トーキョー女子映画部ロゴ
    プレゼント

PAGE TOP