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『屋根裏のラジャー』鈴木梨央さんインタビュー

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映画『屋根裏のラジャー』鈴木梨央さんインタビュー

スタジオポノックが贈る冒険ファンタジー『屋根裏のラジャー』。今回は本作で少女アマンダ役の声を担当した鈴木梨央さんにお話を伺いました。本作に登場するイマジナリ(=想像の友達)にちなんだ質問として想像力の大切さや、声優と俳優のお仕事におけるアプローチ方法の違いについて聞いてみました。

<PROFILE>
鈴木梨央(すずき りお):アマンダ 役
2005年2月10日生まれ。埼玉県出身。2012年、ドラマ『カエルの王女さま』でデビュー。その後、大河ドラマ『八重の桜』(2013)、ドラマ『Woman』(2013)、連続テレビ小説『あさが来た』(2015)などに出演。その他にも、CM、舞台、声優でも活躍中。主な映画出演作品には、『僕だけがいない街』(2016)『ナミヤ雑貨店の奇蹟』(2017)、『こどもしょくどう』(2019)、『最高の人生の見つけ方』(2019)などがある。また、声優として、スタジオポノック短編劇場『ちいさな英雄―カニとタマゴと透明人間―』(2016)、『映画 おしりたんてい スフーレ島のひみつ』(2021)などの作品に参加。

想像力は自分のモチベーションを上げたい時に必要なもの

映画『屋根裏のラジャー』

記者A:
アマンダ役に決まった時のお気持ちを聞かせてください。

鈴木梨央さん:
再びスタジオポノック作品に参加させていただき、その世界に入り込んで演じることができるなんて、本当に嬉しい気持ちでいっぱいになりました。

記者B:
最初に台本を読まれた時の印象はいかがでしたか?

鈴木梨央さん:
私はこの物語を読んで、小さい頃を思い出しました。 勇気をもらいたいときに、お守りがわりにしていたぬいぐるみや、小さい頃はちょっとしたことで喜んでいたのにそれが当たり前になってきて、感謝することを忘れてしまっているんじゃないかとはっとさせられました。

映画『屋根裏のラジャー』鈴木梨央さんインタビュー

記者B:
アマンダを演じるにあたり、どのような準備をされましたか?

鈴木梨央さん:
資料をいただいた時にアマンダの見た目や年齢設定を知り、自分よりも年下のキャラクターに寄り添うにはどうしたら良いのかを考えて、自分が小さい時に出演していた作品を観返し、自分がアマンダに近い年齢の時の声色やテンションを研究しました。当時は今とは違い、もう少し声のトーンが高く、言葉足らずな部分もあったので、そこを意識したり、驚き方や笑い方などを参考にしてアマンダに寄り添っていきました。

記者C:
本作に登場したイマジナリという存在については、どう感じられましたか?

鈴木梨央さん:
まず私自身にもイマジナリという存在がいたのかと考えました。私は小さい頃からドラマを観ることが好きで、セリフを紙に書いて覚えていたのですが、相手役として紙に似顔絵を描いて壁に貼って、話しかけていました。今思い返すと、その遊びこそ自分の心を豊かにしてくれたり、楽しませてくれる存在で、それが私にとってのイマジナリだったのかなと思います。

映画『屋根裏のラジャー』

シャミ:
本作にはアマンダとラジャーの関係以外に、アマンダとお母さんのリジーの親子関係も見どころでした。鈴木さんご自身はこの親子関係についてどう捉えていましたか?

鈴木梨央さん:
私と母との関係性は、母でもあり、友達でもあり、分身でもあると思います。叱ってくれたり、些細なことで笑いあったり、楽しいなと思える空間を過ごせる存在です。
アマンダとリジーの場合、アマンダはお母さんに対して、心を開けていないのかなと思いました。リジーの忙しさを近くで見ていると、本当は甘えたり不安な気持ちを言いたいけど、伝えられないアマンダがいると思います。1番わかってもらいたい人に自分の気持ちが伝わらない悲しさやもどかしさは、演じていて辛い部分でもあり、「自分の小さい頃もこうだったな」と感じる瞬間もありました。

シャミ:
観る方の年齢や環境によっても視点が変わりそうですね。本作のアマンダやラジャーの姿を通して想像することの大切さを感じました。鈴木さんご自身は想像力の重要性についてどのようにお考えですか?

映画『屋根裏のラジャー』

鈴木梨央さん:
自分のモチベーションを上げたい時に必要なのかなと思います。人の頭の中で繰り広げられる想像力は、良い方向にも悪い方向にも考えられてしまうと思います。私は、いつも体にスイッチがあるんです。本番前に緊張してしまうことがよくあるので、「スイッチを押したら絶対に大丈夫!」と暗示をかけることによって、気持ちが少し楽になるんです。これも想像ですが、自分で自分を励ましてくれる係を登場させると、日々の日常がすごく豊かになる気がします。

記者C:
スタジオポノック作品は『ちいさな英雄―カニとタマゴと透明人間―』以来でしたが、その時と今とでお気持ち的に変わった部分はありますか?

鈴木梨央さん:
『ちいさな英雄〜』の時は“カニーニとカニーノ”という作品に参加させていただいたのですが、その時はカニ語で演じさせていただいて、台本を開いた時に台詞が「ニー!」とか「カー!」だったので、少し理解するのに時間がかかりました。でも、今回は台詞があるということで、その違いはありました(笑)。でも、どちらの作品も映像がとても綺麗で、本当に自分がその世界に入ったかのような感覚になれるので、やっぱりスタジオポノック作品が大好きだなと思いました。

映画『屋根裏のラジャー』鈴木梨央さんインタビュー

シャミ:
これから本作をご覧になる方に向けてオススメコメントをお願いします。

鈴木梨央さん:
『屋根裏のラジャー』は、小さい頃の記憶を思い出させてくれたり、純粋な気持ちを蘇らせてくれるような作品になっているので、大人の方が観ても楽しめる作品です。また、私はこの作品を見て「身近にいる人は当たり前にそこにいるわけではない」ということに気づけました。いろいろなことに気づいたり、感じたりしていただけたらすごく嬉しいです。

演じることが楽しいということは子どもの頃も今もずっと変わりません

映画『屋根裏のラジャー』鈴木梨央さんインタビュー

シャミ:
今回は声優のお仕事でしたが、声優のお仕事と俳優のお仕事をするのとで、役作りやアプローチ方法で変わるところはありますか?

鈴木梨央さん:
俳優のお仕事の場合は台本を読んで1から人物像を作っていくという作業ですが、声優のお仕事の場合は演じるキヤラクターの動きや仕草などを参考にイメージをさらに色付けしていくような感覚です。今回はアマンダというキャラクターが存在していたので、アマンダの年齢やイメージの上で彼女がどんなことを考え、どんな風に話すのか、そしてどんな風に生きたのかをいろいろな角度から模索してアマンダに寄り添いました。

シャミ:
本当に声がぴったりでアマンダそのものだと感じました。

鈴木梨央さん:
ありがとうございます!少しでもアマンダに近づけたらという想いでいたので嬉しいです。

シャミ:
完成した作品をご覧になった時は、ご自身の演じたキャラクターを中心に観るのか、それとも物語に没頭しながら観たのか、いかがでしたか?

映画『屋根裏のラジャー』鈴木梨央さんインタビュー

鈴木梨央さん:
最初は自分の声がアマンダとして聞こえるのか気になりましたが、物語が進むにつれてそんなことは忘れて夢中になり、久々に作品を観て泣いてしまいました。自分の参加している作品であまり泣くことはないのですが、それだけ作品の世界に入り込んでいたからだと思います。

シャミ:
私も後半はずっとウルウルしてしまい、各キャラクターの心の通わせ方や、作品そのものの素晴らしさに感動しました。鈴木さんご自身が1番感動した場面やお気に入りのシーンがあれば教えてください。

鈴木梨央さん:
お気に入りのシーンは、ラジャーがイマジナリの新しい友達に出会う場面です。いろいろなキャラクターがいて、いろいろな声や音がして、それがハーモニーのように聴こえました。キラキラと輝いている世界に圧倒されてしまい、そのシーンはとても印象に残っています。

シャミ:
素敵なシーンですよね。子どもの頃のワクワク感を思い出しました。

映画『屋根裏のラジャー』

鈴木梨央さん:
そうですね。この作品は、当たり前のことが当たり前ではないと気づかせてくれる作品だと感じます。今18歳の私も幼い頃の記憶やその時の感情を鮮明に思い出すことができて、それをアマンダと重ねたり、心の奥底に眠っている幼い頃の感情が込み上げてくるような気がしたので、どんな方でも響く部分があると思います。

シャミ:
鈴木さんご自身についても聞かせてください。2012年に、ドラマ『カエルの王女さま』でデビューされていますが、どんなきっかけで俳優のお仕事を始めたのでしょうか?

鈴木梨央さん:
5歳の頃にドラマ『Mother』という作品を家族全員で観ていて、お芝居をすることに対しての憧れを持ちました。それまでの私は人見知りで人前でもじもじしていたのですが、生まれて初めて自分からお芝居をしてみたいということ、そしてテレビの世界に入ってみたいという想いを家族に伝えました。家族も私の必死な想いに衝撃を受けたのか、その想いを受け取ってくれて、事務所のオーディションを受けることになりました。もし『Mother』に出会っていなかったら、この世界に飛び込んでいなかったかもしれません。そう思うと『Mother』という作品が私の運命を変えてくれんだと思います。

映画『屋根裏のラジャー』鈴木梨央さんインタビュー

シャミ:
なるほど〜。実際にこの業界に入って、入る前と後とでイメージが変わった部分はありますか?

鈴木梨央さん:
事務所に入る前はどういう感じなのかなという好奇心が勝っていたのですが、入ってからはレッスンやオーディションがあり、簡単に作品に出られるわけではないので、たくさん落ちてたくさん泣きました。それは今でも同じで、役をいただいて演じることがどれだけ大変でありがたいことなのかということを日々感じています。役をいただけた時はすごく嬉しくて、演じることが楽しいということも子どもの頃からずっと変わりません。

シャミ:
年月が経つなかで、俳優というお仕事との向き合い方で変化した点はありますか?

鈴木梨央さん:
小さい時はお母さんと台詞の練習をして、アドバイスをもらうことが多くありました。それが時を追うごとにいろいろな人と出会い、経験をしていくことで自分なりに役を深く掘り下げたり、監督やスタッフの方々とできるだけたくさんお話をさせていただき、キャラクターやシーンについて考えるようになりました。今は自分だけではなく、一緒に作品を作らせていただいてるという感覚が強くなっていると思います。

映画『屋根裏のラジャー』

シャミ:
今後挑戦してみたい役や作品はありますか?俳優としての目標もあれば教えてください。

鈴木梨央さん:
挑戦したいのはバンドマンのボーカル役です。小さい頃からギターに触れていて、歌を歌うことが大好きなので、機会があればぜひやってみたいです。今後の目標は、役者としても一人の人間としても、たくさんの引き出しを持ち、よりいろいろな表現ができるように勉強していきたいです。

シャミ:
今後のご活躍も楽しみにしています!では最後の質問です。これまでで1番影響を受けた作品、もしくは俳優や監督など人物がいらっしゃったら教えてください。

映画『屋根裏のラジャー』鈴木梨央さんインタビュー
ヘアメイク:河西幸司(アッパークラスト)
スタイリスト:野田さやか

鈴木梨央さん:
14歳の時に“奇跡の人”という舞台に出演し、ヘレン・ケラー役をやらせていただきました。当時中学3年生だった私は初めての舞台で、自分の表現の幅の狭さを実感して、伝えようとしても伝わらない葛藤がありました。アニー・サリヴァン役の高畑充希さんからは内面的なアドバイスをいただくこともあり、とても心強かったです。本当に監督やスタッフの方達がいなければ、役を最後まで演じることができなかったと思います。公演が終わった後は、役が抜けきらず抜け殻状態になってしまい、そんな状態になったのはその時が初めてでした。この感覚は今でも忘れることができません。これからも全力で“役”として生き、観ている方に何かを届けられるように努力し続けていきたいと思います。

シャミ:
本日はありがとうございました!

2023年10月11日取材 Photo& TEXT by Shamy

映画『屋根裏のラジャー』

『屋根裏のラジャー』
2023年12月15日より全国公開
監督:百瀬義行
声の出演:寺田心/鈴木梨央/安藤サクラ/仲里依紗/杉咲花/山田孝之/高畑淳子/寺尾聰/イッセー尾形
配給:東宝

アマンダの想像から生まれたラジャーは、彼女以外の人間には見えない<イマジナリ>で、毎日アマンダと楽しく過ごしていた。しかし、イマジナリには人間に忘れられると、消えてしまうという避けられない運命があった。ラジャーはその運命に戸惑いながらも、人間に忘れさられたイマジナリ達が身を寄せ合う<イマジナリの町>にたどり着き…。

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© 2023 Ponoc

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