学び・メンタルヘルス

学びが詰まった映画『ワンダー 君は太陽』【映画でSEL】

  • follow us in feedly
  • RSS
映画『ワンダー 君は太陽』ジュリア・ロバーツ/ジェイコブ・トレンブレイ

前記事で、商業映画とSEL(社会性と情動の学習)は相性がバッチリだと書きました。ただし、向き不向きはあり、観る側の捉え方の問題もあるので、独学できる段階まではガイドが必要だと考えています。どのようにガイドするのかは、別の機会に述べるとして、今回はこれぞ学べる映画と感じた作品を取り上げます。

それは、『ワンダー 君は太陽』(2018)です。この作品はエンタテインメントとして優れているのはもちろん、多くを学べる作品として群を抜いていると感じます。SELの教材として考えても、ピッタリの作品です。

映画『ワンダー 君は太陽』ジェイコブ・トレンブレイ

『ワンダー 君は太陽』の主人公は、生まれてから何度も顔の手術を受けてきた少年オギー(ジェイコブ・トレンブレイ)です。オギーはずっと自宅学習をしてきましたが、小学校5年生から学校に通うことにします。でも、オギーはクラスメイトになかなか馴染めません。それでもオギーは明るく強く振る舞い、徐々に周囲に変化をもたらしていきます。

この物語は登場する子ども達の感情の動きがありありと伝わってくるので、観ている側の感情も大きく揺さぶられます。そして、オギーは家族という小さな社会から、クラス、学校というもう少し大きな社会に歩み出て、人間関係を築いていく点で、まさに社会性を学ぶ内容といえます。

SELの1つ「SEL-8学習プログラム」で挙げられている基礎的社会的能力に照らし合わせてみると、まず感情が揺さぶられる、つまり自分の感情に目が向きやすくなるので、自己への気づきに繋がります。さらにオギーの視点だけではなく、オギーのクラスメイトの葛藤も描かれている点で、他者への気づきを得られます。

「SEL-8学習プログラム」において育成を目指す能力
<基礎的社会的能力>
●自己への気づき
●他者への気づき
●自己のコントロール
●対人関係
●責任ある意思決定
<応用的社会的能力>
●生活上の問題防止のスキル
●人生の重要事態に対処する能力
●積極的・貢献的な奉仕活動
(小泉、2011、p.19)
<引用文献>
小泉令三(2011)子どもの人間関係能力を育てるSEL-8S① 社会性と情動の学習(SEL-8S)の導入と実践.ミネルヴァ書房

映画『ワンダー 君は太陽』ジェイコブ・トレンブレイ

また、本当は寂しさや怒りをぶつけたい場面で感情を抑える姿なども映り、自己のコントロールが行われている様子を観ることができます。そして、対人関係におけるさまざまな山場を迎える点で良いお手本、悪いお手本となるシーンが豊富です。

辛い状況でも自分や他者について理解し、自分らしく振る舞うオギーの姿は、責任ある意思決定による姿勢と捉えることができます。

このように、『ワンダー 君は太陽』はSELで向上を目指す、5つの基礎的社会的能力とは何かをつかむ上で有用なシーンが詰まっています。一度目は、純粋に作品として味わっていただきつつ、上記のようなSELの視点でも観てみてください。

映画『ワンダー 君は太陽』ジェイコブ・トレンブレイ/ノア・ジュプ

『ワンダー 君は太陽』
監督・脚本:スティーヴン・チョボスキー
出演:ジュリア・ロバーツ/オーウェン・ウィルソン/ジェイコブ・トレンブレイ/イザベラ・ヴィドヴィッチ/ダヴィード・ディグス/マンディ・パティンキン/ダニエル・ローズ・ラッセル/ナジ・ジーター/ノア・ジュプ/ブライス・カイザー
REVIEW/デート向き映画判定/キッズ&ティーン向き映画判定 スティーヴン・チョボスキー監督インタビュー 

Motion Picture Artwork © 2018 Lions Gate Entertainment Inc. All Rights Reserved.

【映画でSEL】の簡単な解説動画を公開しています。下記vimeoにてどなたでも無料でご覧いただけます。
【映画でSEL】とは→こちら
【映画でSEL】プログラムのご案内はこちら

TEXT by Myson(武内三穂・認定心理士

  • follow us in feedly
  • RSS

新着記事

映画『ゆずり葉の頃』八千草薫 八千草薫【ギャラリー/出演作一覧】

1931年1月6日生まれ。大阪府出身。

映画『マスターズ・オブ・ユニバース』ニコラス・ガリツィン/カミラ・メンデス/イドリス・エルバ マスターズ・オブ・ユニバース【レビュー】

いろいろな意味で新鮮!でも、実はメインキャラクターであるヒーマン(He-Man)のルーツは、「バービー…

映画『ひつじ探偵団』エマ・トンプソン エマ・トンプソン【ギャラリー/出演作一覧】

1959年4月15日生まれ。イギリス出身。

映画『アダムの原罪』レア・ドリュッケール/アナマリア・ヴァルトロメイ アダムの原罪【レビュー】

『Playground/校庭』で、子ども達が日々直面している“現実”を生々しく描いたローラ・ワンデル監督(脚本も担当)の長編2作目…

ドラマ『スピナーベイト』制作発表記者会見、加藤清史郎、駿河太郎、萩原護、奥野壮、高橋侃、桃児、吉澤要人、吉村界人 青春が足りてない(笑)!?加藤清史郎、駿河太郎、吉村界人等が登壇、和気あいあい『スピナーベイト』制作発表記者会見

映画、ドラマ、舞台で実写化され大ヒットを記録した漫画「セトウツミ」や、国内外で話題を呼んだアニメ「オッドタク シー」(2021年TX)のオリジナル脚本を手掛け、近年では、「シナントロープ」や「ホウセンカ」の原作・脚本、週刊ヤングジャンプにて連載中の漫画「カミキルKAMI KILL-」(原作)などでも知られる此元和津也の原作漫画がドラマ化されました。今回は、このドラマに出演するキャストが勢揃いし、制作発表記者会見を開きました。

映画『THE MUMMY/ザ・マミー 棺の中の少女』 映画レビュー&ドラマレビュー総合アクセスランキング【2026年5月】

映画レビュー&ドラマレビュー【2026年5月】のアクセスランキングを発表!

映画『アン・リー/はじまりの物語』アマンダ・セイフライド アン・リー/はじまりの物語【レビュー】

アマンダ・セイフライドを主演に迎え、『ブルータリスト』のスタッフが贈る本作は、シェーカー教団の創始者アン・リーの実話を基にして…

映画『モータルコンバット/ネクストラウンド』カール・アーバン モータルコンバット/ネクストラウンド【レビュー】

エド・ブーンとジョン・トビアスが手掛けた同名ビデオゲームを原作とする本作では…

映画『炎上』森七菜/髙橋芽以 心理学から観る映画61:欲求の階層からみるキャラクターの心情『嵐が丘』『炎上』『マテリアリスト 結婚の条件』

今回は、マズローの「基本的欲求」の観点から、キャラクターがどのような心理状態にあるのかを考察します。

映画『TOKYO BURST-犯罪都市-』水上恒司/ユンホ(東方神起) TOKYO BURST-犯罪都市-【レビュー】

REVIEWマ・ドンソクが主演の人気シリーズ“犯罪都市”の初のユニバース作品として作られた…

【映画でSEL】にたどりつくまでの道

今のあなたに必要な非認知能力を伸ばす【映画でSEL】プログラムのご案内

本サイト内の広告について

本サイトにはアフィリエイト広告バナーやリンクが含まれます。

おすすめ記事

映画『ボヘミアン・ラプソディ』ラミ・マレック 映画好きが選んだ実在アーティストの伝記映画ランキング

今回は実在アーティストの伝記映画について、正式部員の皆さんに投票してもらいました。さまざまな有名アーティストにまつわる作品がある中で上位にランクインしたのはどの作品でしょうか?

映画『ズートピア2』 映画好きが選んだ2025アニメ映画ベスト

今回は、2025年に劇場公開されたアニメ映画について、正式部員の皆さんによる投票結果ベスト30を発表!2025年のアニメ映画ベストに輝いたのは?

【映画でSEL】イメージイラストドアの奥に草原 セルフ・モニタリングとモデリングの機会となる映画鑑賞(論文紹介)&映画でSELラボOPEN!

株式会社TSトーキョーは、映画でSELラボをオープンしました!

学び・メンタルヘルス

  1. 映画『炎上』森七菜/髙橋芽以
  2. 【映画学ゼミ第8回】「感情は有用か、有害か、映画の場合で考える」参加者募集!
  3. 【映画でSEL】イメージイラストドアの奥に草原

REVIEW

  1. 映画『マスターズ・オブ・ユニバース』ニコラス・ガリツィン/カミラ・メンデス/イドリス・エルバ
  2. 映画『アダムの原罪』レア・ドリュッケール/アナマリア・ヴァルトロメイ
  3. 映画『THE MUMMY/ザ・マミー 棺の中の少女』
  4. 映画『アン・リー/はじまりの物語』アマンダ・セイフライド
  5. 映画『モータルコンバット/ネクストラウンド』カール・アーバン

PRESENT

  1. 映画『サヨナラの引力』ク・ギョファン/ムン・ガヨン
  2. Prime Original ドラマシリーズ 『クロエマ』杉咲花/多部未華子
  3. 映画『口に関するアンケート』板垣李光人/綱啓永/吉川愛/MOMONA(ME:I)/ 森愁斗(BUDDiiS) /西山智樹(TAGRIGHT)
PAGE TOP