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アメリカン“バッド”ドリーム

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アメリカン“バッド”ドリーム:アメリカの実態をより知るためのオススメ観賞順序『バイス』ほか

アメリカの実態をより知るためのオススメ観賞順序

この特集では、2019年3月から5月に劇場公開またはDVDのリリースがある作品にちなんで、アメリカ社会のヤバイ実態を描いた映画をご紹介!順番に観るとより背景が見えてくるので、下記の順番で観ることをオススメします。

観る順番①

『華氏911』
DVD好評レンタル中&発売中

マイケル・ムーア監督によるドキュメンタリー。ジョージ・W・ブッシュが大統領になったが不正が囁かれていた。アル・ゴアが優勢だったのに、FOXはフロリダ州でブッシュが当確と報道。他のメディアもFOXが言うなら間違いないと追従。そのFOXでブッシュ勝利の判定をした責任者は、ブッシュの従兄弟ジョン・エリスだったことも明かされています。さらにフロリダ州知事はブッシュの実弟で、ブッシュの選対副部長は集計の責任者というからますます怪しい。彼女は企業を雇い、敵側と見られる者を投票者名簿から削除したと言われています。あとは、父ブッシュのコネで疑惑を葬ったとも考えられています。

また、ジョージ・W・ブッシュがいかに政治をサボっていたかということもよくよくわかり、『バイス』で描かれるキャラクターと合致します。

そして、石油事業、復興事業でイラクはビジネス・チャンスで、イラク侵攻はだいぶ前から計画されており、“9.11”を利用してイラク侵攻を正当化したことも明かされています。これは『記者たち~衝撃と畏怖の真実~』の監督ロブ・ライナーも来日記者会見でも語られていました。

さらに『バイス』の主人公チェイニー率いる石油大手ハリバートン社が絡んでいたことも語られていて、『華氏911』はここで紹介するすべての出来事が相互に絡み合っていることを証明しています。

観る順番②

映画『記者たち~衝撃と畏怖の真実~』ウディ・ハレルソン/ジェームズ・マースデン/ロブ・ライナー/トミー・リー・ジョーンズ

『記者たち~衝撃と畏怖の真実~
2019年3月29日より全国公開
公式サイト  ロブ・ライナー監督来日会見

“9.11”を利用してイラク侵攻を進めた政府の陰謀を掴んでいた“ナイト・リッダー”の記者達の奮闘を描いた作品。大手メディアが政府の“嘘”をそのまま流していた当時、“ナイト・リッダー”だけは別の真相があるのではと疑い、根気よく取材をしていました。本作はその時に掴んでいた事実を明かしています。

映画『記者たち~衝撃と畏怖の真実~』ウディ・ハレルソン/ジェームズ・マースデン

本作では、ジョージ・W・ブッシュ大統領政権で国務長官を務めていたドナルド・ラムズフェルドが裏で糸を引いていたことが描かれており、政権内の勢力関係がここでもうかがえます。

© 2017 SHOCK AND AWE PRODUCTIONS, LLC.  ALL RIGHTS RESERVED.

観る順番③

映画『バイス』クリスチャン・ベール/エイミー・アダムス/スティーヴ・カレル/サム・ロックウェル/タイラー・ペリー

バイス
2019年4月5日より全国公開
公式サイト 

本作は、ジョージ・W・ブッシュ大統領政権時代に影の大統領と言える実権を握っていた副大統領ディック・チェイニーの半生を描いています。彼の出世にはドナルド・ラムズフェルドも大きく絡んでいたり、政界の人物相関図がよく見える内容になっています。また、チェイニーがCEOを務めていた石油企業の大手ハリバートン社についても触れられているので、前述の2作と合わせてみると、アメリカの政界の外観がより見えてくると思います。

映画『バイス』クリスチャン・ベール/エイミー・アダムス/スティーヴ・カレル

© 2019 ANNAPURNA PICTURES, LLC. All rights reserved.

観る順番④

映画『バグダッド・スキャンダル』テオ・ジェームズ/ベン・キングズレーテオ・ジェームズ/ベン・キングズレー/ジャクリーン・ビセット/ベルシム・ビルギ

バグダッド・スキャンダル
2019年5月8日ブルーレイ&DVDレンタル開始&発売
公式サイト 

舞台はイラク戦争直前の2000年代初頭。長年経済制裁が敷かれ、困窮が続いていたイラクのフセイン政権下で1996年から始められたのが、オイル・フォー・フードと呼ばれる“石油・食料交換プログラム”。国連がイラクの石油を管理し、石油を販売した金で食料を買い、それを市民に配給するという目的で始められた人道支援計画です。総額640億ドル(当時の為替で7兆3600億円超)という巨額の予算が動いていたため、賄賂や不正が横行し、2003年11月に終了しました。

映画『バグダッド・スキャンダル』テオ・ジェームズ/ベン・キングズレー

当時、プログラムを管理していた国連事務次長のベノン・セバン自身(本作での役名はコスタ・パサリス〈通称:パシャ〉)の関与がのちの調査で明らかになったようですが、本作は彼の下で働いていたマイケル・スーサン(本作での役名はマイケル・サリバン)が汚職を告発するまでを描いた原作を映画化。少なくとも18億ドル以上の汚職が判明しているようですが、国連が調査協力を拒否したため、現在も全貌が明らかになっていない事件とされています。

©2016 CREATIVE ALLIANCE P IVS/BFB PRODUCTIONS CANADA INC. ALL RIGHTS RESERVED..

観る順番⑤

映画『華氏119』マイケル・ムーア/ドナルド・トランプ

華氏119
2019年4月2日ブルーレイ&DVDレンタル開始&発売
公式サイト 

前述で『華氏911』がありましたが、ジョージ・W・ブッシュ大統領誕生の過ちを彷彿とさせる、ドナルド・トランプ大統領誕生と、その背景にあるアメリカの問題を浮き彫りにする内容です。相変わらず、政府は国民をコントロールするために“恐怖”を利用して政治を動かしている実態、政治家達の身勝手な行為が国民を苦しめている実態が捉えられています。アメリカが抱えている諸問題は本当に根深いということが理解できる内容です。

映画『華氏119』マイケル・ムーア

©2018 Midwestern Films LLC 2018

ここでご紹介した以外にも、『ドリーム ホーム 99%操る男たち』『インサイド・ジョブ 世界不況の知られざる真実』『キャピタリズム マネーは踊る』『マネー・ショート 華麗なる大逆転』なども合わせて観て頂くと、経済社会も絡めた背景がより掴めると思います。

アメリカで起きていることではありますが、日本も含め、どの国の政治にも共通する部分はあって、他人事ではないなと実感します。

TEXT by マイソン

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  1. 映画『ただ、やるべきことを』チャン・ソンボム/ソ・ソッキュ
  2. 映画『グッドワン』リリー・コリアス
  3. 映画『サリー』エスター・リウ
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