REVIEW

ホムンクルス

  • follow us in feedly
  • RSS
映画『ホムンクルス』綾野剛

不気味で衝撃的なシーンから始まる本作は、トレパネーションという、頭蓋骨に穴を開ける手術がキーとなっています。地位も記憶も失った主人公の名越進(綾野剛)は、ある日見知らぬ男(成田凌)に声をかけられ、トレパネーションをして1週間経過をみるという実験に参加することになります。本作では、手術を受けた後、名越にどんな変化が起こるのかが描かれていきます。
科学的根拠の有無は抜きにして、手術後の彼の変化が気になるところですが、変化そのものがおもしろいのはもちろん、そこから派生する能力が、物語をドラマチックにしています。どんな能力かは本編で確かめていただくとして、彼がその能力を使って、他人に介入していき、自分自身を取り戻していく様子が描かれていて、人間のトラウマが一つのテーマとなっています。“転移“という単語も出てくるあたりは、セラピストとクライエント(患者)の関係にイメージが繋がる部分もあったり、同じくカウンセリングやセラピーの現場で重視される“同一化”の概念なども、ちらっと感じさせられる描写となっています。心理学における“転移”や“同一化”という言葉は少々複雑な使われ方をするので、それがそのままこの映画でいう“転移”とイコールとは言えませんが、ビジュアル化されたことで、感覚的にイメージしやすくなっていると言えます。
トレパネーションのシーンのインパクトが強いので、怖い映画と構えてしまう方もいるかもしれませんが、根本は心に傷を抱えた人達の物語なので、ぱっと見の印象以上に共感できるストーリーだと思います。

デート向き映画判定
映画『ホムンクルス』綾野剛/岸井ゆきの

初っぱなのシーンから「ギョエ〜」となるので、苦手な人が一定数いると思います。初デートで誘うのはリスキーなので、ある程度何回か映画を一緒に観て、お互いの好みとして大丈夫そうなら観てみてください。ラブストーリーの要素もあり、一部分は自分達を見つめ直すきっかけにもできそうです。

キッズ&ティーン向き映画判定
映画『ホムンクルス』成田凌

大人と一緒になら12歳未満でも観られますが、刺激が強いので、高校生以上になってから観るくらいで良いと思います。親子のストーリーも出てくるので、それで気まずくなるのか、逆に話し合うきっかけになるのかは、皆さん次第でしょう。でも、親子で観るよりは友達と観るほうが気楽に楽しめると思います。

映画『ホムンクルス』綾野剛/成田凌/岸井ゆきの/石井杏奈/内野聖陽

『ホムンクルス』
2021年4月2日より期間限定公開
PG-12
エイベックス・ピクチャーズ
公式サイト

©2021 山本英夫・小学館/エイベックス・ピクチャーズ

TEXT by Myson(認定心理士)

関連記事
  • follow us in feedly
  • RSS

新着記事

映画『胸騒ぎ』 心理学から観る映画48:なぜ悪人を見抜けないのか【対人認知】

今回は、主人公一家が1つの出会いをきっかけに思いもしない事態に巻き込まれていく『胸騒ぎを題材に、対人認知の視点でキャラクター達の心理を考察します。

映画『からかい上手の高木さん』永野芽郁/高橋文哉 からかい上手の高木さん【レビュー】

こりゃピュア過ぎて、もどかし過ぎて…

韓国ドラマ『7 人の脱出』オム・ギジュン/ファン・ジョンウム/イ・ジュン/イ・ユビ 韓国ドラマ『7人の脱出』オリジナルQUOカード(500円分) 3名様プレゼント

韓国ドラマ『7人の脱出』オリジナルQUOカード(500円分) 3名様プレゼント

映画『QUEEN ROCK MONTREAL』フレディ・マーキュリー 音楽関連映画まとめ2024年5月16日号

今回は近日公開or配信予定(一部公開or配信中の作品も含む)の『ザ・ビートルズの軌跡 リヴァプールから世界へ』『アイ・アム セリーヌ・ディオン ~病との戦いの中で~』『プリンス ビューティフル・ストレンジ』他、音楽関連映画をまとめてご紹介!

Netflixドラマ『マスクガール』 マスクガール【レビュー】

どんな話なのかは知らず、調べず、直感的に…

映画『ブラックバード 家族が家族であるうちに』スーザン・サランドン スーザン・サランドン【プロフィールと出演作一覧】

1946年10月9日アメリカ、ニューヨーク生まれ。1970年、『ジョー』でデビュー。以降、『ロッキ…

映画『ハピネス』山崎まさよしさん&篠原哲雄監督インタビュー 『ハピネス』山崎まさよしさん&篠原哲雄監督インタビュー

今回は映画『ハピネス』に出演している山崎まさよしさんと篠原哲雄監督にお話を伺いました。『月とキャベツ』や『影踏み』などでもお仕事をされているお二人に改めてご一緒された感想など直撃。

映画『湖の女たち』福士蒼汰/松本まりか 湖の女たち【レビュー】

物語の主な登場人物は、100歳の寝たきり老人が不可解な死を遂げたことで疑惑を向けられる人達と…

映画『ありふれた教室』レオニー・ベネシュ ありふれた教室【レビュー】

校内で多発する盗難を解決しようとする行動が負の連鎖…

映画『ファースト・カウ』ジョン・マガロ ジョン・マガロ【プロフィールと出演作一覧】

1983年2月16日アメリカ、オハイオ州生まれ。演劇作品への出演からキャリアをスタートし…

部活・イベント

  1. 【ARUARU海ドラDiner】サムライデザート(カップデザート)
  2. 【ARUARU海ドラDiner】トーキョー女子映画部 × Mixalive TOKYO × SHIDAX
  3. 【ARUARU海ドラDiner】サポーター集会:パンチボール(パーティサイズ)
  4. 【ARUARU海ドラDiner】プレオープン
  5. 「ARUARU海ドラDiner」202303トークゲスト集合

本サイト内の広告について

本サイトにはアフィリエイト広告バナーやリンクが含まれます。

おすすめ記事

映画『MIRRORLIAR FILMS Season5』横浜流星 映画好きが推すイイ俳優ランキング【国内20代編】

今回は、国内で活躍する20代(1995年から2004年生まれ)のイイ俳優の中から、昨今活躍が目覚ましい方を編集部の独断で70名選抜し、正式部員の皆さんに投票していただきました。

映画『ウォンカとチョコレート工場のはじまり』ティモシー・シャラメ 映画好きが選んだ2023洋画ベスト

正式部員の皆さんに2023年の洋画ベストを選んでいただきました。どの作品が2023年の洋画ベストに輝いたのでしょうか?

映画『テルマ&ルイーズ 4K』スーザン・サランドン/ジーナ・デイヴィス あの名作をリメイクするとしたら、誰をキャスティングする?『テルマ&ルイーズ』

今回は『テルマ&ルイーズ』のリメイクを作るとしたら…ということで、テルマ役のジーナ・デイヴィスとルイーズ役のスーザン・サランドンをそれぞれ誰が演じるのが良いか、正式部員の皆さんに聞いてみました。

REVIEW

  1. 映画『からかい上手の高木さん』永野芽郁/高橋文哉
  2. Netflixドラマ『マスクガール』
  3. 映画『湖の女たち』福士蒼汰/松本まりか
  4. 映画『ありふれた教室』レオニー・ベネシュ
  5. 映画『碁盤斬り』草彅剛/清原果耶

PRESENT

  1. 韓国ドラマ『7 人の脱出』オム・ギジュン/ファン・ジョンウム/イ・ジュン/イ・ユビ
  2. 映画『FARANG/ファラン』ナシム・リエス
  3. 映画『猿の惑星/キングダム』オリジナルTシャツ
PAGE TOP