特集

映画に隠された恋愛哲学とヒント集78:覚悟した先に得るもの『誰よりもつよく抱きしめて』

  • follow us in feedly
  • RSS
映画『誰よりもつよく抱きしめて』三山凌輝/久保史緒里(乃木坂46)

※映画公式サイトで既に書かれている内容以外には触れずに書いていますが、全く何も知らずに本編を観たい方は映画鑑賞後にお読みください。

今回は、強迫性障害に悩む男性と、彼を支えながらも苦しみを胸に抱える女性の物語『誰よりもつよく抱きしめて』を取り上げます。

一緒にいる限り苦しみは続く

新堂冬樹の同名小説を映画化した『誰よりもつよく抱きしめて』に登場するのは、同棲中のカップルです。ここではまず、映画公式サイトに掲載されている範囲よりも手前のあらすじだけ少し共有します。

映画『誰よりもつよく抱きしめて』三山凌輝/久保史緒里(乃木坂46)

絵本作家の水島良城(三山凌輝)は、強迫性障害による潔癖性で不都合の多い日常生活を送っています。そんな良城をそばで見守っているのが、恋人の桐本月菜(久保史緒里)です。2人は学生の頃から交際しており、一緒に住んでいます。良城は月菜に出会った頃は健康でしたが、就職を機に強迫性障害に悩まされるようになります。良城と月菜が悩みながら日々を過ごしていた頃、彼等の関係に影響を与える第三者が現れます。そして、お互いに触れたくても触れられず、不安と不満が膨らみつつある良城と月菜の関係に徐々に亀裂が入っていきます。

映画『誰よりもつよく抱きしめて』久保史緒里(乃木坂46)/ファン・チャンソン(2PM)

良城と月菜は長く交際し既に同棲しているので、そのまま人生を共にする可能性もあります。一般的にも、2人と同じように同棲中のカップルは、それぞれのタイミングで将来のことを考えるようになるでしょう。そのタイミングが合うか合わないかが、2人の将来を左右する一つ目のハードルです。

すぐに結婚するわけではないとしても、良城と月菜のように恋愛において発展途上といえる年齢の人にとっては、恋人と過ごす時間の濃度にこだわるのは自然です。だから、触れあえない時間があとどれくらい続くのかという不安は計りしれません。

映画『誰よりもつよく抱きしめて』三山凌輝/久保史緒里(乃木坂46)

別れるという選択肢も浮かびながら、そうできない理由はいくつか考えられます。もちろん愛情があるから別れないという理由も考えられるものの、長く交際していて離れるのが怖かったり、同棲を解消して一人に戻るのが怖かったり、ただ変化が怖いという深層心理も働いているかもしれません。

では、愛なのか、ただ不安を回避したいだけなのかを確かめるにはどうすれば良いのでしょうか。イチかバチか距離を置いてみるしかないのかもしれません。それはとても勇気のいることである上に、本作では2人の関係に第三者も絡んでくるので、余計な選択肢も入ってきます。こうなると、2人の行く末は益々読めません。

映画『誰よりもつよく抱きしめて』三山凌輝/穂志もえか

そんな時に、辛さを呑み込んで無難な道をそのまま進むのか、自分をごまかして楽な道を選ぶのか、はたまた全く別の道を歩むのか、その選択の先に誰が待っているかは別として、どの選択によって幸せがもたらされるかは、ほぼこの時点の選択で決まりそうです。

次の一手がどうであれ、本気の恋には覚悟が必要、覚悟ができないなら本気の関係は得られない、そんなことを考えさせられる作品です。自分ならどうするか、シミュレーションしながらご覧ください。

映画『誰よりもつよく抱きしめて』三山凌輝/久保史緒里(乃木坂46)

『誰よりもつよく抱きしめて』
2025年2月7日より全国公開
アークエンタテインメント
公式サイト

ムビチケ購入はこちら
映画館での鑑賞にU-NEXTポイントが使えます!無料トライアル期間に使えるポイントも

©2025「誰よりもつよく抱きしめて」HIAN /アークエンタテインメント

TEXT by Myson

本ページには一部アフィリエイト広告のリンクが含まれます。
情報は2025年1月時点のものです。最新の販売状況や配信状況は各社サイトにてご確認ください。

関連記事
  • follow us in feedly
  • RSS

新着記事

映画『これって生きてる?』ウィル・アーネット これって生きてる?【レビュー】

なんとも生々しい夫婦の現実を描いているなと思って観ていたら…

映画『90メートル』山時聡真 山時聡真【ギャラリー/出演作一覧】

2005年6月6日生まれ。東京都出身。

映画『霧のごとく』ケイトリン・ファン/ウィル・オー 『霧のごとく』一般試写会 3組6名様ご招待

映画『霧のごとく』一般試写会 3組6名様ご招待

映画『人はなぜラブレターを書くのか』綾瀬はるか 人はなぜラブレターを書くのか【レビュー】

タイトルから想像する範囲を超える、深い人間ドラマが描かれている本作は、実話を基にして…

映画『君と僕の5分』シム・ヒョンソ/ヒョン・ウソク 『君と僕の5分』特別試写会イベント 5組10名様ご招待

映画『君と僕の5分』特別試写会イベント 5組10名様ご招待

映画『フィフス・エステート:世界から狙われた男』ベネディクト・カンバーバッチ 未公開映画活性課ハ行

未公開作品のなかから、当部が気になる作品、オススメしたい作品をご紹介。

映画『五月の雨』安川まり 『五月の雨』【レビュー】

本作は、DV被害者の実状を、ドキュメンタリーにドラマを織りまぜた構成で訴えかけています…

映画『大丈夫、大丈夫、大丈夫!』イ・レ/チン・ソヨン 大丈夫、大丈夫、大丈夫!【レビュー】

不幸な状況が前提とされているにもかかわらず、ユーモアに溢れ…

映画『OCHI! -オチ-』ヘレナ・ツェンゲル ヘレナ・ツェンゲル【ギャラリー/出演作一覧】

2008年6月10日生まれ。ドイツ出身。

映画『炎上』森七菜 炎上【レビュー】

日本の都会のど真ん中にいるストリートチルドレンの日常を描いた作品…

【映画でSEL】にたどりつくまでの道

今のあなたに必要な非認知能力を伸ばす【映画でSEL】プログラムのご案内

本サイト内の広告について

本サイトにはアフィリエイト広告バナーやリンクが含まれます。

おすすめ記事

【映画学ゼミ第7回】「そもそも感情ってどうやって湧いてくるの?感情の仕組み」参加者募集! 【映画学ゼミ第7回】「そもそも感情ってどうやって湧いてくるの?感情の仕組み」参加者募集!

感情はまだまだ謎が多く、本当に複雑で深い概念だからこそおもしろい!感情について少しでも知ることで、自分自身の情動コントロールにも少し役立つはずです。

映画『国宝』吉沢亮 映画好きが選んだ2025邦画ベスト

今回は、正式部員の皆さんに投票していただいた2025年邦画ベストの結果を発表!2025年の邦画ベストで上位にランクインしたのはどの作品でしょう?

ショートドラマ『復讐同盟 —サレ妻と愛人はクズ旦那を制裁する—』 私ならこうする!『復讐同盟 —サレ妻と愛人はクズ旦那を制裁する—』を観た女子の本音

ショートドラマ『復讐同盟 —サレ妻と愛人はクズ旦那を制裁する—』をトーキョー女子映画部正式部員の皆さんに観ていただき、感想や「私ならこうする!」を聞いてみました。

学び・メンタルヘルス

  1. 【映画学ゼミ第7回】「そもそも感情ってどうやって湧いてくるの?感情の仕組み」参加者募集!
  2. 【映画学ゼミ第6回】「鑑賞者のローカス・オブ・コントロールと、映画鑑賞における着眼点・感想の関係」参加者募集!
  3. 【映画学ゼミ第5回】「登場人物にみる人間の非合理性」参加者募集!

REVIEW

  1. 映画『これって生きてる?』ウィル・アーネット
  2. 映画『人はなぜラブレターを書くのか』綾瀬はるか
  3. 映画『五月の雨』安川まり
  4. 映画『大丈夫、大丈夫、大丈夫!』イ・レ/チン・ソヨン
  5. 映画『炎上』森七菜

PRESENT

  1. 映画『霧のごとく』ケイトリン・ファン/ウィル・オー
  2. 映画『君と僕の5分』シム・ヒョンソ/ヒョン・ウソク
  3. 映画『オールド・オーク』デイヴ・ターナー/エブラ・マリ
PAGE TOP