REVIEW

永遠の門 ゴッホの見た未来

  • follow us in feedly
  • RSS
映画『永遠の門 ゴッホの見た未来』ウィレム・デフォー

孤独感に苛まれ、精神的に苦しんでいたゴッホが、絵を描くことで救われていた部分があったというのがすごく伝わってくるストーリーです。セリフの中には、自身が病気であるからこそ絵が描けるのだと語るシーンもあり、また目の前に見えているもの、自分だけに見えているものについてポール・ゴーギャンと語るシーンなど、とても哲学的な要素が含まれています。そんな彼はただ絵を描きたいだけで、世界がどう見えていても自由なはずなのに、周囲から偏見を持たれてしまい、自分が良いと思う芸術を分かち合える人が周囲には極少なく、孤独感を拭えないでいたことも想像できます。本作を観ていると、人々の偏見が芸術を純粋に嗜むことを阻んでいるのも客観視できると同時に、芸術の持つ影響力の強さも感じます。それでも彼は人間を憎まず、自然を愛します。そんな彼の優しさ、複雑さを、ウィレム・デフォーが見事に演じていて、それがこの映画に浸透しています。こんなに深い苦しみ、悲しみを抱えていても生き抜いたゴッホから、人間の生命力の強さを教えてもらえる1作です。

デート向き映画判定
映画『永遠の門 ゴッホの見た未来』ウィレム・デフォー/ルパート・フレンド

ラブストーリーの要素はなく、ゴッホの苦悩の日々を描いた人間ドラマなので、特別デート向きというわけではありませんが、誰もが知る芸術家の物語なので、芸術や文化に関心がある相手ならデートで観るのもありでしょう。精神的な苦しみと芸術の結びつきを感じられる作品で、アーティスティックな人や、クリエイティブな仕事をしている人は、より興味を持って一緒に観てくれると思います。

キッズ&ティーン向き映画判定
映画『永遠の門 ゴッホの見た未来』ウィレム・デフォー

ゴッホは教科書にも出てくるでしょうし、有名な絵ならキッズやティーンの皆さんにもわかると思うので、その背景にある逸話を知ると、より歴史上の人物について興味が湧くはずです。ポール・ゴーギャンなど同時代の画家との繋がりなども知ることができて、知識も自然に広がります。また、ゴッホが問題を抱えていたように、誰にでも何かについて「これって自分だけなのかな?」と思うことはあると思います。そんな思いを抱えている人は、特に共感して観られるでしょう。

映画『永遠の門 ゴッホの見た未来』ウィレム・デフォー

『永遠の門 ゴッホの見た未来』
2019年11月8日より全国公開
ギャガ、松竹
公式サイト

© Walk Home Productions LLC 2018

TEXT by Myson

関連記事
  • follow us in feedly
  • RSS

新着記事

映画『サブスタンス』デミ・ムーア デミ・ムーア【ギャラリー/出演作一覧】

1962年11月11日生まれ。アメリカ、ニューメキシコ州出身。

映画『アスファルト・シティ』ショーン・ペン/タイ・シェリダン アスファルト・シティ【レビュー】

ニューヨークのブルックリンを舞台に救急隊員が直面する日常を描いた本作は、シャノン・バーク著「Black Flies」(2008)を原作として、『暁に祈れ』のジャン=ステファーヌ・ソヴェール監督が映画化…

映画『Mr.ノボカイン』レイ・ニコルソン レイ・ニコルソン【ギャラリー/出演作一覧】

1992年2月20日生まれ。アメリカ出身。

映画『でっちあげ ~殺人教師と呼ばれた男』綾野剛/柴咲コウ/亀梨和也 でっちあげ ~殺人教師と呼ばれた男【レビュー】

怖い、ものすごく怖い。いろんな意味で本当に…

映画『おいしくて泣くとき』美村里江 美村里江【ギャラリー/出演作一覧】

1984年6月15日生まれ。埼玉県出身。

映画『ババンババンバンバンパイア』吉沢亮/板垣李光人 ババンババンバンバンパイア【レビュー】

運命的な出会いから、銭湯に住み込みで働いている450歳のバンパイア森蘭丸(吉沢亮)は、銭湯の一人息子、李仁(板垣李光人)が童貞のまま18歳になるのを…

映画『君がトクベツ』畑芽育/大橋和也 心理学から観る映画55:推し活がもたらす幸福感『君がトクベツ』

今や「推し活」「推し」という言葉はすっかり浸透しました。なぜ、人が推し活にハマるのかといえば、きっと幸福感があるからでしょう。そこで、今回は推し活が与える幸福感について、『君がトクベツ』のストーリーをもとに考えます。

映画『メガロポリス』アダム・ドライバー/ナタリー・エマニュエル メガロポリス【レビュー】

“ゴッドファーザー”シリーズ、『地獄の黙示録』など、映画史を語る上で欠かせない巨匠フランシス・フォード・コッポラ監督が、私財を投じて製作した本作は、40年もの構想を経て完成…

特製『平成狸合戦ぽんぽこ』ふんわりキーホルダー正吉 高畑勲展 特製『平成狸合戦ぽんぽこ』ふんわりキーホルダー正吉 1名様 プレゼント

映画『ツイスターズ』オリジナルハンディファン 2名様プレゼント

映画『F1®/エフワン』ブラッド・ピット/ダムソン・イドリス 映画『F1®/エフワン』【レビュー】

“地上版〈トップガン〉”という宣伝文句を謳っている本作は、『トップガン マーヴェリック』と同じく、ジョセフ・コシンスキーが監督を務め、ジェリー・ブラッカイマーが製作を…

本サイト内の広告について

本サイトにはアフィリエイト広告バナーやリンクが含まれます。

おすすめ記事

映画『ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング』トム・クルーズ 映画好きが選んだトム・クルーズ人気作品ランキング

毎度さまざまな挑戦を続け、人気を博すハリウッドの大スター、トム・クルーズ。今回は、トム・クルーズ出演作品(日本劇場未公開作品を除く)を対象に、正式部員の皆さんに投票していただきました。

映画『プラダを着た悪魔』アン・ハサウェイ/メリル・ストリープ 元気が出るガールズムービーランキング【洋画編】

正式部員の皆さんに“元気が出るガールズムービー【洋画編】”をテーマに、好きな作品を選んでいただきました。果たしてどんな結果になったのでしょうか?

映画『キングダム 大将軍の帰還』山﨑賢人/吉沢亮/橋本環奈/清野菜名/吉川晃司/小栗旬/大沢たかお 映画好きが選んだ2024邦画ベスト

正式部員の皆さんに2024年の邦画ベストを選んでいただきました。2024年の邦画ベストはどの作品になったのでしょうか?

学び・メンタルヘルス

  1. 映画『君がトクベツ』畑芽育/大橋和也
  2. 映画でSEL:告知1回目
  3. 映画『親友かよ』アンソニー・ブイサレートピシットポン・エークポンピシット

REVIEW

  1. 映画『アスファルト・シティ』ショーン・ペン/タイ・シェリダン
  2. 映画『でっちあげ ~殺人教師と呼ばれた男』綾野剛/柴咲コウ/亀梨和也
  3. 映画『ババンババンバンバンパイア』吉沢亮/板垣李光人
  4. 映画『メガロポリス』アダム・ドライバー/ナタリー・エマニュエル
  5. 映画『F1®/エフワン』ブラッド・ピット/ダムソン・イドリス

PRESENT

  1. 特製『平成狸合戦ぽんぽこ』ふんわりキーホルダー正吉
  2. トーキョー女子映画部ロゴ
    プレゼント