REVIEW

L.A.コールドケース【レビュー】

  • follow us in feedly
  • RSS
映画『L.A.コールドケース』ジョニー・デップ

1996年に起きた2パックの射殺事件、1997年に起きたノトーリアス・B.I.G.の射殺事件、アメリカで影響力を持っていた2人の大物ラッパーの射殺事件は未だ解決されていません。本作はこの2つの事件が関連するとみて執念の捜査を続けていた元刑事のラッセル・プール(ジョニー・デップ)と、彼に協力して真相を追究しようとしていた記者のジャック・ジャクソン(フォレスト・ウィテカー)にまつわる実話を基に映画化された作品です。1990年代、2パックはシュグ・ナイトという人物が設立した西海岸にあるデス・ロウ・レコードというレーベルに所属。一方、ビギーことノトーリアス・B.I.G.は、東海岸にあるバッド・ボーイ・レコードというレーベルに所属していました。この二大勢力はレコードの売上だけで競っていたなら健全でしたが、本作ではそうではなかったと思われる背景が見えてきます。
この未解決事件が複雑なのは、人種差別と犯罪、警察の汚職といったさまざまな社会問題が絡んでいるからだと考えられます。本作にはこんなことがあってよいのかと思える状況が信じられないほどたくさん描かれています。これからご覧になる方のために詳細は控えますが、人種差別、貧富の差が生む弱肉強食の社会がいかに人々の心を歪め、根深い問題を生み出すのかを知らしめる内容となっています。アメリカに限らず、似たようなことが日本や他の国でも起きているかもしれません。かなり恐ろしい内容ですが、実際に起こっている出来事として目を背けてはいけないと思います。

デート向き映画判定
映画『L.A.コールドケース』ジョニー・デップ/フォレスト・ウィテカー

シリアスで渋い内容なので、デートの雰囲気には合いませんが、2人の大物ラッパーの射殺事件をもともと知っていて2人とも興味があれば、デートで観るのも良いでしょう。ただ、複雑な社会問題が取り上げられているので、どんなスタンスで観るかによっては、観た後のテンションがそれぞれ異なりそうです。なので、できれば映画鑑賞のスタンスが同じ方同士で観ることをオススメします。

キッズ&ティーン向き映画判定
映画『L.A.コールドケース』ジョニー・デップ

人物の名前が複数飛び交い、1人の人物の呼び名が何パターンも出てくるので、ある程度集中力が必要です。また、アメリカで長年続いている社会問題を知った上で観るほうが理解が深まります。なので、いろいろと知識が増えてから観るのが良いのではないでしょうか。

映画『L.A.コールドケース』ジョニー・デップ/フォレスト・ウィテカー

『L.A.コールドケース』
2022年8月5日より全国順次公開
キノフィルムズ
公式サイト

© 2018 Good Films Enterprises, LLC.

TEXT by Myson

関連記事
  • follow us in feedly
  • RSS

新着記事

映画『ヒックとドラゴン』メイソン・テムズ メイソン・テムズ【ギャラリー/出演作一覧】

2007年7月10日生まれ。アメリカ生まれ。

「Kodansha Studios 設立発表会見」野間省伸(株式会社講談社 代表取締役社長)、 クロエ・ジャオ(Kodansha Studios 最高クリエイティブ責任者)、 ニコラス・ゴンダ(Kodansha Studios COO) 映画業界に新風を吹かせられるか?2025新レーベル発足および官民の取組みまとめ

今回は近日発足された新レーベルと、官民の取組みについてまとめて紹介します。

映画『果てしなきスカーレット』 果てしなきスカーレット【レビュー】

細田守が原作、脚本、監督を担当した本作は、16世紀のデンマークの王女、スカーレットが主人公です。細田監督は…

映画『ブラックフォン2』イーサン・ホーク/メイソン・テムズ ブラックフォン2【レビュー】

2022年に作られたシリーズ1作目『ブラック・フォン』から4年後を描いた本作でも…

映画『金髪』白鳥玉季さんインタビュー 『金髪』白鳥玉季さんインタビュー

今回は『金髪』で生徒の板緑役を演じた白鳥玉季さんにインタビューさせていただきました。“金髪デモ”を起こすキーパーソンである板緑を演じた感想や、撮影裏でのエピソードを直撃しました。

映画『TOKYOタクシー』倍賞千恵子/木村拓哉 TOKYOタクシー【レビュー】

クリスチャン・カリオン監督『パリタクシー』を原作とした本作は、東京にある柴又から神奈川の葉山にある高齢者施設までの道のりを舞台に、山田洋次監督が映画化…

映画『エクスペリメント』エイドリアン・ブロディ 心理学から観る映画59:研究倫理に反する実験とその被害『エクスペリメント』『まったく同じ3人の他人』

『まったく同じ3人の他人』というドキュメンタリーを観ました。生き別れた三つ子が再会する感動のストーリーかと思いきや、驚愕の背景を知り、研究倫理について改めて考えさせられました。そこで今回は研究倫理をテーマとします。

映画『コンビニ・ウォーズ~バイトJK VS ミニナチ軍団~』ヴァネッサ・パラディ ヴァネッサ・パラディ【ギャラリー/出演作一覧】

1972年12月22日生まれ。フランス出身。

映画『ブルーボーイ事件』中川未悠/中村中/イズミ・セクシー/真田怜臣/六川裕/泰平史/錦戸亮 ブルーボーイ事件【レビュー】

高度成長期にあった1965年の東京では、街の浄化のため、警察はセックスワーカー達を厳しく取り締まっていました。ただ、セックスワーカーの中には性別適合手術(当時の呼称は性転換手術)を受けて女性的な体をした通称ブルーボーイが…

映画『悪党に粛清を』来日舞台挨拶、マッツ・ミケルセン 映画好きが選んだマッツ・ミケルセン人気作品ランキング

“北欧の至宝”として日本でも人気を誇るマッツ・ミケルセン。今回は、マッツ・ミケルセン出演作品(ドラマを除く)を対象に、正式部員の皆さんに投票していただきました。上位にはどんな作品がランクインしたのでしょうか?

本サイト内の広告について

本サイトにはアフィリエイト広告バナーやリンクが含まれます。

おすすめ記事

映画『悪党に粛清を』来日舞台挨拶、マッツ・ミケルセン 映画好きが選んだマッツ・ミケルセン人気作品ランキング

“北欧の至宝”として日本でも人気を誇るマッツ・ミケルセン。今回は、マッツ・ミケルセン出演作品(ドラマを除く)を対象に、正式部員の皆さんに投票していただきました。上位にはどんな作品がランクインしたのでしょうか?

映画『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊』ウェス・アンダーソン監督 映画好きが選んだウェス・アンダーソン監督人気作品ランキング

今回は、ウェス・アンダーソン監督作品を対象に、正式部員の皆さんに投票していただきました。人気作品が多くあるなか、上位にランクインしたのは?

映画『宝島』部活:座談会/大友啓史監督 この映画で問いかけたい「宝」とは…大友啓史監督と語ろう『宝島』部活リポート後編

前回に引き続き今回は映画『宝島』の部活リポートをお届けします。後編では、事前に正式部員の方々にお答えいただいたアンケート結果について議論しました。今回も熱いトークが繰り広げられています!

学び・メンタルヘルス

  1. 映画『エクスペリメント』エイドリアン・ブロディ
  2. 映画学ゼミ2025年11月募集用
  3. 映画『おーい、応為』長澤まさみ

REVIEW

  1. 映画『果てしなきスカーレット』
  2. 映画『ブラックフォン2』イーサン・ホーク/メイソン・テムズ
  3. 映画『TOKYOタクシー』倍賞千恵子/木村拓哉
  4. 映画『ブルーボーイ事件』中川未悠/中村中/イズミ・セクシー/真田怜臣/六川裕/泰平史/錦戸亮
  5. 映画『君の顔では泣けない』芳根京子/髙橋海人

PRESENT

  1. 映画『TOKYOタクシー』オリジナルパラパラメモ
  2. トーキョー女子映画部ロゴ
    プレゼント

PAGE TOP