REVIEW

バジーノイズ【レビュー】

  • follow us in feedly
  • RSS
映画『バジーノイズ』川西拓実(JO1)/桜田ひより

REVIEW

本作は、ビックコミックスピリッツで2020年まで連載されていた、むつき潤の「バジーノイズ」を原作とし、『silent』『30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい』といった人気ドラマを手がけてきた風間太樹が監督を務め、映画化された作品です。
マンションの管理人をする清澄(川西拓実)は友人もおらずひっそりと暮らしていて、頭に浮かんだ音を形にして自分だけで聞ければそれでいいと思っていました。一方、潮(桜田ひより)は、清澄が作る音楽をたまたま耳にし、心地良さを感じます。そんな2人がある事をきっかけに関わりを持つようになり、潮は清澄の音楽を多くの人に聞いてもらいたいという思いで動きますが、清澄はそれに抵抗。潮は戸惑いながらも清澄の気持ちを尊重し、徐々に心を通わせていきます。
本作はラブストーリーなのかと思いきや、アーティストと1番最初のファンとの絆を描いた物語です。それは恋愛とも友達とも仕事仲間とも違う独特な関係で、本作はその捉え難いニュアンスを絶妙に描いています。まだ世の中に知られていない時点で、純粋に自分が好きと思える気持ちからそのアーティストを応援するようになり、最初は1番そばにいながら、相手が育っていくと関わる人達が増えていき、自分とアーティストとの距離はどんどん開いてしまう。そんなファンの切ない心情を描きつつ、アーティスト側にとっても最初のファンはかけがえのない存在であることを描いていて、この切っても切れない関係に尊さを感じます。
また、好きな音楽を続けることと、ビジネスで音楽に携わることを両立する難しさも描かれています。同時に、アーティストとして旬な時期があれば、ピークを過ぎる時がやってくるかもしれないという現実も映し出されていて、だからこそ何を1番大切にするのかを本人が決めるべきだというメッセージが伝わってきます。売れるだけがすべてではない、メジャーデビューすることがすべてではない、世の中がそんな価値観に変わってきた今だからこそ、音楽業界にいる方に限らず、若者達に伝わって欲しいメッセージが込められているように感じます。

デート向き映画判定

映画『バジーノイズ』川西拓実(JO1)/桜田ひより

一人でじっくり観るのも、カップルで観るのも良いと思います。アーティストに限らず、何か夢を追っている方とそれを応援している方のカップルなら、自分達を客観視できる部分があるでしょう。相手を応援したい気持ちと恋愛関係を続けるかどうかは時に別の次元で考える必要があるかもしれません。恋人として支える場合と、いちファンとして支える場合と両方の例が出てくるので、どういう位置で関わり合うのが良いか悩んでいる方は、敢えて一人で観ても良さそうです。

キッズ&ティーン向き映画判定

映画『バジーノイズ』川西拓実(JO1)/桜田ひより/井之脇海/栁俊太郎

音楽が好きな方はもちろん、何かに打ち込んでいる方、大好きな推しがいる方など、それぞれの立場にあるキャラクターが登場するので、誰かしらに感情移入できるでしょう。エンタテインメントの世界は華やかに見えても、その世界にいる人にとっては過酷な世界です。本作にはそういった現実的な面も描かれています。特に清澄は、音楽が大好きだからこそ葛藤する場面があるので、皆さんの人生観のヒントになる部分もあるのではないでしょうか。

映画『バジーノイズ』川西拓実(JO1)/桜田ひより

『バジーノイズ』
2024年5月3日より全国公開
ギャガ
公式サイト

ムビチケ購入はこちら

©むつき潤・小学館/「バジーノイズ」製作委員会

TEXT by Myson

本ページには一部アフィリエイト広告のリンクが含まれます。
情報は2024年4月時点のものです。最新の販売状況や配信状況は各社サイトにてご確認ください。

関連記事
  • follow us in feedly
  • RSS

新着記事

映画『AFRAID アフレイド』ジョン・チョウ AFRAID アフレイド【レビュー】

『M3GAN/ミーガン』を手掛けたブラムハウスのチームが本作でも進化し過ぎたAIの脅威を描いています…

映画『楓』北島岬 北島岬【ギャラリー/出演作一覧】

2007年8月6日生まれ。千葉県出身。

映画『殺し屋のプロット』マイケル・キートン 心理学から観る映画60:記憶障害の診断「神経認知領域」と「病因」からみる『殺し屋のプロット』

今回は、急速に進行してしまう認知症、クロイツフェルト・ヤコブ病に冒された殺し屋の最後の“仕事”を描く『殺し屋のプロット』を取り上げます。

映画『チャップリン』チャーリー・チャップリン『キッド』の一場面 映画好きが選んだチャーリー・チャップリン人気作品ランキング

俳優および監督など作り手として、『キッド』『街の灯』『独裁者』『ライムライト』などの名作の数々を生み出したチャーリー・チャップリン(チャールズ・チャップリン)。今回は、チャーリー・チャップリン監督作(短編映画を除く)を対象に、正式部員の皆さんに投票していただきました。

映画『ただ、やるべきことを』チャン・ソンボム/ソ・ソッキュ 『ただ、やるべきことを』鑑賞券 3名様プレゼント

映画『ただ、やるべきことを』鑑賞券 3名様プレゼント

映画『星と月は天の穴』綾野剛/咲耶 星と月は天の穴【レビュー】

映画に対してというよりも、本作で描かれる男女のやり取りについては、解釈の仕方および、その解釈に伴った好みが…

映画『アバター:ファイヤー・アンド・アッシュ』ウーナ・チャップリン アバター:ファイヤー・アンド・アッシュ【レビュー】

REVIEWシリーズ3作目となる本作でも、まず映像美と迫力に圧倒されます。物理的に目の前で…

映画『新解釈・幕末伝』ムロツヨシ/佐藤二朗 新解釈・幕末伝【レビュー】

幕末を描いた本作は、“新解釈”とタイトルにあるように、ユニークな解釈で描かれて…

映画『アバター:ファイヤー・アンド・アッシュ』来日ジャパンプレミア、ジェームズ・キャメロン監督、山崎貴監督、宮世琉弥 お互いの才能を讃え合うジェームズ・キャメロン監督と山崎貴監督、若者代表、宮世琉弥も感動『アバター:ファイヤー・アンド・アッシュ』来日ジャパンプレミア

最新作『アバター:ファイヤー・アンド・アッシュ』のワールドツアーの一環として、ジェームズ・キャメロン監督が3年ぶりに来日。山崎貴監督と宮世琉弥も会場に駆けつけました。

映画『WIND BREAKER/ウィンドブレイカー』八木莉可子 八木莉可子【ギャラリー/出演作一覧】

2001年7月7日生まれ。滋賀県出身。

本サイト内の広告について

本サイトにはアフィリエイト広告バナーやリンクが含まれます。

おすすめ記事

映画『チャップリン』チャーリー・チャップリン『キッド』の一場面 映画好きが選んだチャーリー・チャップリン人気作品ランキング

俳優および監督など作り手として、『キッド』『街の灯』『独裁者』『ライムライト』などの名作の数々を生み出したチャーリー・チャップリン(チャールズ・チャップリン)。今回は、チャーリー・チャップリン監督作(短編映画を除く)を対象に、正式部員の皆さんに投票していただきました。

映画『悪党に粛清を』来日舞台挨拶、マッツ・ミケルセン 映画好きが選んだマッツ・ミケルセン人気作品ランキング

“北欧の至宝”として日本でも人気を誇るマッツ・ミケルセン。今回は、マッツ・ミケルセン出演作品(ドラマを除く)を対象に、正式部員の皆さんに投票していただきました。上位にはどんな作品がランクインしたのでしょうか?

映画『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊』ウェス・アンダーソン監督 映画好きが選んだウェス・アンダーソン監督人気作品ランキング

今回は、ウェス・アンダーソン監督作品を対象に、正式部員の皆さんに投票していただきました。人気作品が多くあるなか、上位にランクインしたのは?

学び・メンタルヘルス

  1. 映画『殺し屋のプロット』マイケル・キートン
  2. 映画学ゼミ2025年12月募集用
  3. 映画『エクスペリメント』エイドリアン・ブロディ

REVIEW

  1. 映画『AFRAID アフレイド』ジョン・チョウ
  2. 映画『星と月は天の穴』綾野剛/咲耶
  3. 映画『アバター:ファイヤー・アンド・アッシュ』ウーナ・チャップリン
  4. 映画『新解釈・幕末伝』ムロツヨシ/佐藤二朗
  5. 映画『ビューティフル・ジャーニー ふたりの時空旅行』コリン・ファレル/マーゴット・ロビー

PRESENT

  1. 映画『ただ、やるべきことを』チャン・ソンボム/ソ・ソッキュ
  2. 映画『グッドワン』リリー・コリアス
  3. 映画『サリー』エスター・リウ
PAGE TOP