REVIEW
漫画が大好きで将来は漫画家になりたいと願い、光るものを秘めた女子高生が、とても厳しいけれどピュアで熱心な絵画の先生に出会い、紆余曲折しながら夢をつかんでいくストーリーです。本作は、人気漫画家の東村アキコ氏の実話である同名漫画を原作としています。
本作の魅力であり特徴は、主人公自身は極々普通の女子高生であり、大学生になっても根本は変わらず、最初から熱血だったわけではない点です。恩師の存在によって結果的に才能は開花するものの、途中までは追い込まれながらもなかなか自分ではエンジンがかけられずにもがき、ある時やっと目覚めるという展開は多くの人が経験する状況で、すごく親近感が湧きます。生きていれば、さまざまな誘惑があり、“逃げ場”があります。それは皆に共通しています。だから、多くの人はよそ見をしている間に夢を追いかけるのを忘れたり、思いが薄れて、諦めていくのだなと感じます。

本作では、恩師からかけられる激励や期待が、主人公にとって夢を諦めないでいる手綱の役割を担果たしているように見えます。本作を観ると、若い頃、特に思春期に良い大人に出会うことはとても大切だなと実感します。最初から自分を律して夢を叶える人ももちろんいる一方で、まだ子どものうち、若いうちは、自分よりも自分をよくわかってくれて支えてくれる大人がいるのといないのとでは大きな違いがあると思います。

大泉洋が演じる日高先生が本当に素敵で、こんなに純粋に熱心に指導してもらい、巣立った後まで気にかけてもらえたら絶対に裏切れないと感じます。そして、恩師の思いを感じつつも、大学時代には学生生活を謳歌しつつ、一方でなかなか画が描けないことに焦りを感じ、漫画家になる夢に打ち込むきっかけも掴めないでいる主人公にもとても共感できます。

東村アキコ氏がとても大切にしている作品だと聞いていたし、実際に観て、自分にとっても大切なメッセージを自分に必要なタイミングでもらえたと感じました。だから、どうしてもこの作品を紹介したいと思いました。タイミングは各々あると思いますが、いつかはぜひ観て欲しい1作です。
デート向き映画判定

ロマンチックな展開は爽やかにチラッと出てくる程度で、どんな関係性のカップルでも観やすいと思います。人生を大きく変えるきっかけとなった、多感な高校生からの9年間を描いているので、一緒に観た後はお互いの思い出話もしたくなるでしょう。
キッズ&ティーン向き映画判定

ティーンの皆さんは等身大で観られる点が多くあると思います。やりたいことがあって、その夢を叶えるためにどんな道を辿るのかちょうど悩んでいる方もいるでしょう。人それぞれなので正解はないし、主人公もうまくいかない期間のほうが長い点は、とても現実的なお手本として観られると思います。

『かくかくしかじか』
2025年5月16日より全国公開
ワーナー・ブラザース映画
公式サイト
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©東村アキコ/集英社 ©2025 映画「かくかくしかじか」製作委員会
TEXT by Myson
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情報は2025年5月時点のものです。最新の販売状況や配信状況は各社サイトにてご確認ください。
