REVIEW

正体【レビュー】

  • follow us in feedly
  • RSS
映画『正体』横浜流星/吉岡里帆/森本慎太郎(SixTONES)/山田杏奈/山田孝之

REVIEW

染井為人による同名小説を原作とした本作は、一家が惨殺された現場で逮捕され、死刑判決を受けた青年が主人公の物語です。ある日、死刑囚の鏑木(横浜流星)は脱獄に成功し、さまざまな人物になりすまして逃亡を続けます。鏑木は目立たないように振る舞うものの、身を隠しているなか出会った人々に対しては誠実です。だから、彼と親しくなった者達は彼の正体に気づいても、彼が人を殺したとは思えません。ではなぜ鏑木は逃亡したのかという点が最後に明かされます。

映画『正体』横浜流星

本作では、横浜流星と藤井道人監督が、『青の帰り道』『ヴィレッジ』『パレード』に続きタッグを組んでいます。本作の公式資料によると、実は藤井監督は4年前に横浜流星を主演とする長編映画の1本目として本作を企画していたそうです。でも、スターサンズの故・河村光庸氏に出会い、順番が前後したそうです。いずれにしても、本作は藤井監督にとっても、横浜流星にとっても特別な作品といえそうです。
極力何も知らずに観るほうが、何が起こるかわからない展開を楽しめると思うので、内容には触れずにおくとして、本作では横浜流星のカメレオンぶりが存分に楽しめます。これまでの彼の出演作を振り返っても演技の幅の広さは実感できます。それが1作品の中で、しかも同一人物として七変化するわけですから、余計に力量を感じます。

映画『正体』横浜流星/山田杏奈

そして、本作はスリリングな展開が多くを占めつつも、根底には温かい人間ドラマが繰り広げられています。鏑木は真犯人なのか否かという謎はあるものの、それよりも本当の彼はどんな人間なのか、まさにタイトルの通り“正体”が1番の見どころとなっています。クライマックスでは鏑木という人物に対する見方を越えて、人間をどう見るか、社会をどう見るかを、私達観客も問われるようなストーリーとなっています。ストーリーの力、演技力、演出力と三拍子揃っていて、とても見応えがある作品です。

デート向き映画判定

映画『正体』横浜流星/吉岡里帆

シリアスなストーリーなので、ラブラブなムードを盛り上げるようなテンションはありません。ただ、自分達が鏑木やその周辺の人達と同じ立場だったらどうするかを考えながら観ると、それぞれの価値観が感想に表れそうです。そういう意味で、友達以上恋人未満の2人は、価値観が合うかどうかを確かめる意味で、一緒に観てみるのも良さそうです。

キッズ&ティーン向き映画判定

映画『正体』横浜流星/山田孝之

私達の日常は情報に溢れています。だから、自分で真相を知る前に、外からの情報に無意識に流されていることもあるかもしれません。本作では、自分自身の判断で、相手の本質を見ようとする人達が出てきます。皆さんも、鏑木という人物がどんな人物か考えながら観てみると、有意義な疑似体験ができると思います。

映画『正体』横浜流星/吉岡里帆/森本慎太郎(SixTONES)/山田杏奈/山田孝之

『正体』
2024年11月29日より全国公開
PG-12
松竹
公式サイト

ムビチケ購入はこちら
映画館での鑑賞にU-NEXTポイントが使えます!無料トライアル期間に使えるポイントも

©2024 映画「正体」製作委員会

TEXT by Myson


関連作

「正体」染井為人 著/光文社文庫
Amazonで書籍を購入する 

本ページには一部アフィリエイト広告のリンクが含まれます。
情報は2024年11月時点のものです。最新の販売状況や配信状況は各社サイトにてご確認ください。

関連記事
  • follow us in feedly
  • RSS

新着記事

映画『ハルビン』ヒョンビン ハルビン【レビュー】

『KCIA 南山の部長たち』『インサイダーズ/内部者たち』のウ・ミンホが監督と、『ソウルの春』の制作スタッフとタッグを組んだ本作は…

映画『ハルビン』ジャパンプレミア:ヒョンビン、リリー・フランキー、ウ・ミンホ監督 リリー・フランキーがヒョンビンの優しさを感じたエピソードとは?『ハルビン』来日ジャパンプレミア

ヒョンビン主演のサスペンス・アクション映画『ハルビン』が、7月4日より全国公開となります。その公開を記念し、ヒョンビンとウ・ミンホ監督が来日し、さらに本作で伊藤博文役を演じたリリー・フランキーが登壇するジャパンプレミアが行われました。

映画『サブスタンス』デミ・ムーア デミ・ムーア【ギャラリー/出演作一覧】

1962年11月11日生まれ。アメリカ、ニューメキシコ州出身。

映画『アスファルト・シティ』ショーン・ペン/タイ・シェリダン アスファルト・シティ【レビュー】

ニューヨークのブルックリンを舞台に救急隊員が直面する日常を描いた本作は、シャノン・バーク著「Black Flies」(2008)を原作として、『暁に祈れ』のジャン=ステファーヌ・ソヴェール監督が映画化…

映画『Mr.ノボカイン』レイ・ニコルソン レイ・ニコルソン【ギャラリー/出演作一覧】

1992年2月20日生まれ。アメリカ出身。

映画『でっちあげ ~殺人教師と呼ばれた男』綾野剛/柴咲コウ/亀梨和也 でっちあげ ~殺人教師と呼ばれた男【レビュー】

怖い、ものすごく怖い。いろんな意味で本当に…

映画『おいしくて泣くとき』美村里江 美村里江【ギャラリー/出演作一覧】

1984年6月15日生まれ。埼玉県出身。

映画『ババンババンバンバンパイア』吉沢亮/板垣李光人 ババンババンバンバンパイア【レビュー】

運命的な出会いから、銭湯に住み込みで働いている450歳のバンパイア森蘭丸(吉沢亮)は、銭湯の一人息子、李仁(板垣李光人)が童貞のまま18歳になるのを…

映画『君がトクベツ』畑芽育/大橋和也 心理学から観る映画55:推し活がもたらす幸福感『君がトクベツ』

今や「推し活」「推し」という言葉はすっかり浸透しました。なぜ、人が推し活にハマるのかといえば、きっと幸福感があるからでしょう。そこで、今回は推し活が与える幸福感について、『君がトクベツ』のストーリーをもとに考えます。

映画『メガロポリス』アダム・ドライバー/ナタリー・エマニュエル メガロポリス【レビュー】

“ゴッドファーザー”シリーズ、『地獄の黙示録』など、映画史を語る上で欠かせない巨匠フランシス・フォード・コッポラ監督が、私財を投じて製作した本作は、40年もの構想を経て完成…

本サイト内の広告について

本サイトにはアフィリエイト広告バナーやリンクが含まれます。

おすすめ記事

映画『ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング』トム・クルーズ 映画好きが選んだトム・クルーズ人気作品ランキング

毎度さまざまな挑戦を続け、人気を博すハリウッドの大スター、トム・クルーズ。今回は、トム・クルーズ出演作品(日本劇場未公開作品を除く)を対象に、正式部員の皆さんに投票していただきました。

映画『シークレット・アイズ』キウェテル・イジョフォー/ジュリア・ロバーツ /ニコール・キッドマン 映画好きが推すとっておきの映画を紹介【名作掘り起こし隊】Vol.5

このコーナーでは、映画業界を応援する活動として、埋もれた名作に再び光を当てるべく、正式部員の皆さんから寄せられた名作をご紹介していきます。

映画『プラダを着た悪魔』アン・ハサウェイ/メリル・ストリープ 元気が出るガールズムービーランキング【洋画編】

正式部員の皆さんに“元気が出るガールズムービー【洋画編】”をテーマに、好きな作品を選んでいただきました。果たしてどんな結果になったのでしょうか?

学び・メンタルヘルス

  1. 映画『君がトクベツ』畑芽育/大橋和也
  2. 映画でSEL:告知1回目
  3. 映画『親友かよ』アンソニー・ブイサレートピシットポン・エークポンピシット

REVIEW

  1. 映画『ハルビン』ヒョンビン
  2. 映画『アスファルト・シティ』ショーン・ペン/タイ・シェリダン
  3. 映画『でっちあげ ~殺人教師と呼ばれた男』綾野剛/柴咲コウ/亀梨和也
  4. 映画『ババンババンバンバンパイア』吉沢亮/板垣李光人
  5. 映画『メガロポリス』アダム・ドライバー/ナタリー・エマニュエル

PRESENT

  1. 特製『平成狸合戦ぽんぽこ』ふんわりキーホルダー正吉
  2. トーキョー女子映画部ロゴ
    プレゼント

PAGE TOP