REVIEW

そして僕は途方に暮れる【レビュー】

  • follow us in feedly
  • RSS
映画『そして僕は途方に暮れる』藤ヶ谷太輔

2018年にシアターコクーンで上演された舞台を、三浦大輔が監督と脚本、藤ヶ谷太輔が主演で映画化した本作。平凡なフリーター生活を送る主人公の裕一(藤ヶ谷太輔)が、あることをきっかけにあらゆる人間関係を断ち切り、逃避する姿が描かれた物語です。正直なところ、裕一は良い人間とは到底いえません。恋人と揉めても話し合いに応じず逃げたり、友人から都合の悪いことを言われて逃げたり、とにかく嫌なことから逃げ続けます。でも、彼のように何かから逃げたいと思う瞬間は誰にでもあるのではないでしょうか。そう考えると少しハッとさせられる部分もあります。
裕一を演じた藤ヶ谷太輔は、舞台版から継続して主演を飾り、その他に前田敦子、中尾明慶も続投しています。映画版では新たに、毎熊克哉、野村周平、香里奈、原田美枝子、豊川悦司が出演しており、それぞれキーパーソンを演じています。どの人物もそれぞれ裕一を見守っていて、特に恋人の里美(前田敦子)や、姉(香里奈)が裕一に怒りながらもどこか見捨てられない姿が印象に残ります。観る人の状況によってさまざまな人物の視点で観られる作品です。逃げ続ける裕一の姿を通して人間関係の大切さも考えさせられるので、自分に置き換えて観ても良いと思います。

デート向き映画判定
映画『そして僕は途方に暮れる』藤ヶ谷太輔/前田敦子

もしデートで観る場合は、裕一のことを反面教師として観てください。彼はある出来事から恋人を怒らせてしまい、話し合いに応じず逃げ出してしまいます。裕一と同じ道を辿らないためにも、何か問題が起きた時にお互いきちんと話し合える関係なのか、これを機に見直してはいかがでしょうか。

キッズ&ティーン向き映画判定
映画『そして僕は途方に暮れる』藤ヶ谷太輔/豊川悦司

若い皆さんの場合はどの人物の視点で観るのか気になります。裕一が逃げ続ける姿を通して、人間関係の大切さも学べるので、裕一を取り巻く人間関係を客観的に観察してみてください。でも、裕一のように都合の悪いことから逃げたり、いきなり人間関係を断ち切ることは真似しないでくださいね。

映画『そして僕は途方に暮れる』藤ヶ谷太輔/前田敦子/中尾明慶/毎熊克哉/野村周平/香里奈/原田美枝子/豊川悦司

『そして僕は途方に暮れる』
2023年1月13日より全国公開
ハピネットファントム・スタジオ
公式サイト

©2022映画『そして僕は途方に暮れる』製作委員会

TEXT by Shamy

関連記事
  • follow us in feedly
  • RSS

新着記事

映画『エクスペリメント』エイドリアン・ブロディ 心理学から観る映画59:研究倫理に反する実験とその被害『エクスペリメント』『まったく同じ3人の他人』

『まったく同じ3人の他人』というドキュメンタリーを観ました。生き別れた三つ子が再会する感動のストーリーかと思いきや、驚愕の背景を知り、研究倫理について改めて考えさせられました。そこで今回は研究倫理をテーマとします。

映画『コンビニ・ウォーズ~バイトJK VS ミニナチ軍団~』ヴァネッサ・パラディ ヴァネッサ・パラディ【ギャラリー/出演作一覧】

1972年12月22日生まれ。フランス出身。

映画『ブルーボーイ事件』中川未悠/中村中/イズミ・セクシー/真田怜臣/六川裕/泰平史/錦戸亮 ブルーボーイ事件【レビュー】

高度成長期にあった1965年の東京では、街の浄化のため、警察はセックスワーカー達を厳しく取り締まっていました。ただ、セックスワーカーの中には性別適合手術(当時の呼称は性転換手術)を受けて女性的な体をした通称ブルーボーイが…

映画『悪党に粛清を』来日舞台挨拶、マッツ・ミケルセン 映画好きが選んだマッツ・ミケルセン人気作品ランキング

“北欧の至宝”として日本でも人気を誇るマッツ・ミケルセン。今回は、マッツ・ミケルセン出演作品(ドラマを除く)を対象に、正式部員の皆さんに投票していただきました。上位にはどんな作品がランクインしたのでしょうか?

映画『君の顔では泣けない』芳根京子/髙橋海人 君の顔では泣けない【レビュー】

高校1年生の夏、坂平陸(武市尚士)と水村まなみ(西川愛莉)はプールに一緒に落ちたことで体が入れ替わってしまいます。2人はすぐに元に戻ることができず15年を過ごし…

映画『スプリングスティーン 孤独のハイウェイ』ジェレミー・アレン・ホワイト スプリングスティーン 孤独のハイウェイ

物語の舞台は1982年。ブルース・スプリングスティーン(ジェレミー・アレン・ホワイト)は、名声を手に入れながらも、葛藤を抱えて…

映画『2つ目の窓』松田美由紀 松田美由紀【ギャラリー/出演作一覧】

1961年10月6日生まれ。東京都出身。

「第38回東京国際映画祭」クロージングセレモニー:受賞者 東京グランプリは『パレスチナ36』!第38回東京国際映画祭ハイライト

2025年10月27日(月)に日比谷・有楽町・丸の内・銀座地区で開幕したアジア最大級の映画の祭典である第38回東京国際映画祭が、11月5日(水)に閉幕。今年も個性豊かな作品が多数出品され、さまざまなイベントが実施されました。以下に、第38回東京国際映画祭ハイライトをお届けします。

映画『平場の月』堺雅人/井川遥 平場の月【レビュー】

朝倉かすみ著の同名小説を実写化した本作は、『ハナミズキ』『花束みたいな恋をした』(2021年)などを手がけた土井裕泰が監督を務めて…

映画『ぼくらの居場所』リアム・ディアス/エッセンス・フォックス/アンナ・クレア・ベイテル ぼくらの居場所【レビュー】

カナダのトロント東部に位置するスカボローを舞台に、さまざまな背景を抱えた3組の親子の姿を…

本サイト内の広告について

本サイトにはアフィリエイト広告バナーやリンクが含まれます。

おすすめ記事

映画『悪党に粛清を』来日舞台挨拶、マッツ・ミケルセン 映画好きが選んだマッツ・ミケルセン人気作品ランキング

“北欧の至宝”として日本でも人気を誇るマッツ・ミケルセン。今回は、マッツ・ミケルセン出演作品(ドラマを除く)を対象に、正式部員の皆さんに投票していただきました。上位にはどんな作品がランクインしたのでしょうか?

映画学ゼミ2025年11月募集用 AI時代における人間らしさの探求【映画学ゼミ第2回】参加者募集!

ネット化が進み、AIが普及しつつある現代社会で、人間らしさを実感できる映画鑑賞と人間にまつわる神秘を一緒に探求しませんか?

映画『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊』ウェス・アンダーソン監督 映画好きが選んだウェス・アンダーソン監督人気作品ランキング

今回は、ウェス・アンダーソン監督作品を対象に、正式部員の皆さんに投票していただきました。人気作品が多くあるなか、上位にランクインしたのは?

学び・メンタルヘルス

  1. 映画『エクスペリメント』エイドリアン・ブロディ
  2. 映画学ゼミ2025年11月募集用
  3. 映画『おーい、応為』長澤まさみ

REVIEW

  1. 映画『ブルーボーイ事件』中川未悠/中村中/イズミ・セクシー/真田怜臣/六川裕/泰平史/錦戸亮
  2. 映画『君の顔では泣けない』芳根京子/髙橋海人
  3. 映画『スプリングスティーン 孤独のハイウェイ』ジェレミー・アレン・ホワイト
  4. 映画『平場の月』堺雅人/井川遥
  5. 映画『ぼくらの居場所』リアム・ディアス/エッセンス・フォックス/アンナ・クレア・ベイテル

PRESENT

  1. 映画『TOKYOタクシー』オリジナルパラパラメモ
  2. トーキョー女子映画部ロゴ
    プレゼント

PAGE TOP