REVIEW

ドント・ウォーリー

  • follow us in feedly
  • RSS
映画『ドント・ウォーリー』ホアキン・フェニックス

泥酔が原因で自動車事故に遭い、胸から下が麻痺するという障がいを追った、実在の人物ジョン・キャラハンの半生を描いた本作は、亡きロビン・ウィリアムズが映画化権を取得していましたが、生前に実現できず、企画があがってから20年経ってようやくガス・ヴァン・サント監督の手により、ホアキン・フェニックスを主演に迎え、映画化されました。
本作の主人公ジョン・キャラハンは、酒が原因で自動車事故に遭い、車椅子生活を余儀なくされたとはいえ、その辛さに酒に頼ることをやめられません。障がいを追った人物が苦難と闘う美談はたくさん映画化されていますが、本作はそういった作風とは異なります。車椅子生活の大変さはもちろんですが、本作ではアルコール依存症から抜け出すことがいかに難しいかということに焦点が当てられていて、決して綺麗事にしていない点で、メッセージ性をより強く感じさせています。同時に、辛い日々の中でもユーモアを忘れない強さを持つジョン・キャラハン自身の人間的魅力も存分に描かれていて、彼を応援せずにはいられません。そんなチャーミングなキャラクターをホアキン・フェニックスが好演し、他にもジャック・ブラック、ルーニー・マーラと豪華キャストが共演していて、中でもジョナ・ヒルは存在感を一際放っています。ジョン・キャラハンが描く風刺漫画もとても味があり、キャラクターの1人と言っても良い役割を果たしていますが、毒があるのに優しさを感じさせるそのストーリーは、作品の世界観にも通じていて、一見暗いストーリーになるはずのところを、ユーモアと優しさに溢れるものにしています。そういうところにも彼の人柄が垣間見えますが、最後に映る実際のジョン・キャラハンもとても男前なので、ぜひ最後まで席を立たずに観てください。

デート向き映画判定
映画『ドント・ウォーリー』ホアキン・フェニックス/ルーニー・マーラ

お涙頂戴という押しつけがましい演出がないので、逆に誰にでも共感しやすいと思いますが、ちょいちょいエッチなシーンが出てくるので、ウブなカップルは気まずくなる可能性がなきにしもあらずです。ただ、苦難を抜け出すにはやはり誰かの支えが必要だということを実感できる内容なので、お互いにそういう存在になりたいなと思わせられる部分はあると思います。

キッズ&ティーン向き映画判定
映画『ドント・ウォーリー』ホアキン・フェニックス/ジョナ・ヒル

PG-12なので12歳未満の人でも保護者が同伴すれば観られますが、大人になってから観たほうがより感情移入して観られると思います。とはいえ、中学生以上なら、人はなぜこうなってしまうのか考えるきっかけに観てみるのも良いと思います。若いと無茶をすることもあると思いますが、反面教師的な内容も含まれるので、いろいろ客観視できると思います。

映画『ドント・ウォーリー』ホアキン・フェニックス

『ドント・ウォーリー』
2019年5月3日より全国順次公開
PG-12
東京テアトル
公式サイト

© 2018 AMAZON CONTENT SERVICES LLC

TEXT by Myson

関連記事
  • follow us in feedly
  • RSS

新着記事

ポッドキャスト:トーキョー女子映画部チャンネルアイキャッチ202509 ポッドキャスト【トーキョー女子映画部チャンネル】お悩み相談「どうしたらいい出会いがありますか?」他

今回は、正式部員の皆さんからいただいたお悩み相談の中から、下記のお2人のお悩みをピックアップして、マイソンなりにお答えしています。最後にチラッと映画の紹介もしています。

映画『ザ・ザ・コルダのフェニキア計画』ベニチオ・デル・トロ/ミア・スレアプレトン/マイケル・セラ ザ・ザ・コルダのフェニキア計画【レビュー】

REVIEWこれぞウェス・アンダーソン監督作という、何から何までかわいい世界観でありながら…

映画『宝島』部活:座談会/大友啓史監督 この映画で問いかけたい「宝」とは…大友啓史監督と語ろう『宝島』部活リポート後編

前回に引き続き今回は映画『宝島』の部活リポートをお届けします。後編では、事前に正式部員の方々にお答えいただいたアンケート結果について議論しました。今回も熱いトークが繰り広げられています!

映画『こんな事があった』前田旺志郎/窪塚愛流 こんな事があった【レビュー】

2021年夏の福島を舞台に、主人公の17歳の青年のほか、震災後も苦悩しながら生きる人々の姿を…

映画『パルテノペ ナポリの宝石』セレステ・ダッラ・ポルタ セレステ・ダッラ・ポルタ【ギャラリー/出演作一覧】

1997年12月24日生まれ。イタリア出身。

映画『ブロークン 復讐者の夜』ハ・ジョンウ ブロークン 復讐者の夜【レビュー】

『工作 黒金星と呼ばれた男』『アシュラ』などを手掛けたサナイピクチャーズが贈る本作は…

映画『Dear Stranger/ディア・ストレンジャー』西島秀俊/グイ・ルンメイ Dear Stranger/ディア・ストレンジャー【レビュー】

真利子哲也監督(脚本も担当)による西島秀俊主演作という情報のみで、毎度ながら前情報をほぼ入れずに観て、いろいろ良い驚きが…

映画『風のマジム』伊藤沙莉 風のマジム【レビュー】

マジムって何だろうから始まり、すぐに主人公の名前とわかると、次に「じゃあ、風のマジムってどういうことなんだろう?」という具合に…

映画『ベスト・キッド:レジェンズ』ベン・ウォン ベン・ウォン【ギャラリー/出演作一覧】

2000年1月1日生まれ。中国、上海出身。

映画『ベートーヴェン捏造』山田裕貴/古田新太 ベートーヴェン捏造【レビュー】

「ベートーヴェンにまつわる実話なのに邦画なの!?」と思われる方は少なくないはず。でも…

本サイト内の広告について

本サイトにはアフィリエイト広告バナーやリンクが含まれます。

おすすめ記事

映画『宝島』部活:座談会/大友啓史監督 この映画で問いかけたい「宝」とは…大友啓史監督と語ろう『宝島』部活リポート後編

前回に引き続き今回は映画『宝島』の部活リポートをお届けします。後編では、事前に正式部員の方々にお答えいただいたアンケート結果について議論しました。今回も熱いトークが繰り広げられています!

映画『宝島』部活:座談会/大友啓史監督 ファストムービー時代の真逆を行こうと覚悟を決めた!大友啓史監督と語ろう『宝島』部活リポート前編

『るろうに剣心』シリーズ、『レジェンド&バタフライ』などを手掛けた大友啓史監督が<沖縄がアメリカだった時代>を描いた映画『宝島』。今回、当部の部活史上初めて監督ご本人にご参加いただき、映画好きの皆さんと一緒に本作について語っていただきました。

映画『宝島』妻夫木聡/広瀬すず/窪田正孝 沖縄がアメリカ統治下だったことについてどう思う?『宝島』アンケート特集

【大友啓史監督 × 妻夫木聡、広瀬すず、窪田正孝、永山瑛太】のタッグにより、混沌とした時代を自由を求めて全力で駆け抜けた若者達の姿を描く『宝島』が9月19日より劇場公開されます。この度トーキョー女子映画部では、『宝島』を応援すべく、正式部員の皆さんに同作にちなんだアンケートを実施しました。

学び・メンタルヘルス

  1. 映画『ふつうの子ども』嶋田鉄太/瑠璃
  2. 映画『ネクスト・ゴール・ウィンズ』マイケル・ファスベンダー
  3. 映画『バーバラと心の巨人』マディソン・ウルフ

REVIEW

  1. 映画『ザ・ザ・コルダのフェニキア計画』ベニチオ・デル・トロ/ミア・スレアプレトン/マイケル・セラ
  2. 映画『こんな事があった』前田旺志郎/窪塚愛流
  3. 映画『ブロークン 復讐者の夜』ハ・ジョンウ
  4. 映画『Dear Stranger/ディア・ストレンジャー』西島秀俊/グイ・ルンメイ
  5. 映画『風のマジム』伊藤沙莉

PRESENT

  1. 映画『ホーリー・カウ』クレマン・ファヴォー
  2. 映画『ぼくらの居場所』リアム・ディアス/エッセンス・フォックス/アンナ・クレア・ベイテル
  3. 映画『ミーツ・ザ・ワールド』杉咲花/南琴奈/板垣李光人
PAGE TOP