REVIEW

あちらにいる鬼【レビュー】

  • follow us in feedly
  • RSS
映画『あちらにいる鬼』寺島しのぶ

直木賞作家の井上荒野が、父で作家の井上光晴と母、そして作家で僧侶の瀬戸内寂聴をモデルに男女3人の特別な関係を描いた小説を映画化した本作。ちなみに、登場キャラクターの名前は実名とは違うものとなっています。主人公は作家の長内みはる(寺島しのぶ)。みはるは、ある講演旅行で同業の白木篤郎(豊川悦司)と出会い、2人はそれぞれに妻子やパートナーがありながら男女の関係となります。篤郎の妻である笙子(広末涼子)は、2人の関係を黙認して夫婦生活を続けます。
正直、篤郎の女性関係のだらしなさはすごく物申したくなります。だけど、笙子が怒りを露わにすることなく、夫を見守り、サポートする姿には驚きます。一方、みはるもどこかで笙子のことを意識しつつ、静かに篤郎と不倫関係を続けていて、そんな2人の女性の対比も見どころです。みはるを演じた寺島しのぶをはじめ、豊川悦司、広末涼子らの演技力の高さは言うまでもなく、3人の化学反応があってこそ本作が完成していると感じます。
晩年の瀬戸内寂聴の姿しか知らない人にとっては特に衝撃が大きい作品だと思います。でも、彼女が僧侶になったルーツを知ることで、彼女の人生や執筆作品にもより興味を持てるのではないでしょうか。

デート向き映画判定
映画『あちらにいる鬼』寺島しのぶ/豊川悦司

複雑な不倫関係が描かれた作品なので、できれば1人か友達同士で観ることをオススメします。みはる、篤郎、笙子の関係は、単なる不倫の三角関係ではなく、どこか特別な関係のように見えます。とはいえ、不倫は決して良いことではないので、反面教師として観て、同じ境遇にはならないように気をつけてください。

キッズ&ティーン向き映画判定
映画『あちらにいる鬼』寺島しのぶ/豊川悦司/広末涼子

R-15+なので15歳以上になってからご覧ください。ティーンの場合も瀬戸内寂聴をモデルにした物語という点だけで観てしまうと刺激が強いと思うので、不倫関係が描かれているということくらいは頭に入れて観てください。本作を観て瀬戸内寂聴についてもっと知りたくなったら彼女の関連書籍などを読むのも良さそうです。

映画『あちらにいる鬼』寺島しのぶ/豊川悦司/広末涼子

『あちらにいる鬼』
2022年11月11日より全国公開
R-15+
ハピネットファントム・スタジオ
公式サイト

©2022「あちらにいる鬼」製作委員会

TEXT by Shamy

関連記事
  • follow us in feedly
  • RSS

新着記事

映画『We Live in Time この時を生きて』フローレンス・ピュー/アンドリュー・ガーフィールド 大切な人ができれば、譲れないことも変わる!?『We Live in Time この時を生きて』【映画でSEL(社会性と情動の学習)】

今回は運命的な出会いを果たし、ぶつかり合いながらもお互いに正直に生きるカップルの物語『We Live in Time この時を生きて』を取り上げます。

映画『雪風 YUKIKAZE』竹野内豊 『雪風 YUKIKAZE』一般試写会 10組20名様ご招待

映画『雪風 YUKIKAZE』一般試写会 10組20名様ご招待

映画『IMMACULATE 聖なる胎動』シドニー・スウィーニー IMMACULATE 聖なる胎動【レビュー】

敬虔な修道女のセシリア(シドニー・スウィーニー)は、イタリアの美しい田園都市にある修道院にやってきます…

映画『ストレンジ・ダーリン』ウィラ・フィッツジェラルド ストレンジ・ダーリン【レビュー】

6章からなる本作は、ユニークな構成となっています…

映画『DROP/ドロップ』メーガン・フェイヒー/ブランドン・スクレナー ブランドン・スクレナー【ギャラリー/出演作一覧】

1990年6月26日生まれ。アメリカ出身。

映画『スーパーマン』デイビッド・コレンスウェット スーパーマン【レビュー】

ジェームズ・ガン監督らしい表現によって、全く新しい“スーパーマン”が観られます。冒頭の演出からして…

映画『親友かよ』アンソニー・ブイサレート アンソニー・ブイサレート【ギャラリー/出演作一覧】

2004年9月27日生まれ。タイ、バンコク出身。

映画『逆火』北村有起哉 逆火【レビュー】

主人公の野島浩介(北村有起哉)は、感動を呼び話題となっている自伝小説の映画化作品の助監督を務めています。野島は作品に活かすため…

映画『アマチュア』来日ジャパンプレミア:レイチェル・ブロズナハン レイチェル・ブロズナハン【ギャラリー/出演作一覧】

1990年7月12日生まれ。アメリカ生まれ。

映画『顔を捨てた男』セバスチャン・スタン 顔を捨てた男【レビュー】

社会が自分を見る目と、自分自身が自分を見る目がいかにして人の心理や生き方、ひいてはウェルビーイングに影響するのかを…

本サイト内の広告について

本サイトにはアフィリエイト広告バナーやリンクが含まれます。

おすすめ記事

映画『スーパーマン』デイビッド・コレンスウェット 映画好きが選んだDCコミックス映画ランキング

今回は正式部員の皆さんに好きなDCコミックス映画について投票していただきました。“スーパーマン”や“バットマン”など人気シリーズが多くあるなか、上位にはどんな作品がランクインしたのでしょう?

映画『ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング』トム・クルーズ 映画好きが選んだトム・クルーズ人気作品ランキング

毎度さまざまな挑戦を続け、人気を博すハリウッドの大スター、トム・クルーズ。今回は、トム・クルーズ出演作品(日本劇場未公開作品を除く)を対象に、正式部員の皆さんに投票していただきました。

映画『シークレット・アイズ』キウェテル・イジョフォー/ジュリア・ロバーツ /ニコール・キッドマン 映画好きが推すとっておきの映画を紹介【名作掘り起こし隊】Vol.5

このコーナーでは、映画業界を応援する活動として、埋もれた名作に再び光を当てるべく、正式部員の皆さんから寄せられた名作をご紹介していきます。

学び・メンタルヘルス

  1. 映画『We Live in Time この時を生きて』フローレンス・ピュー/アンドリュー・ガーフィールド
  2. 映画『君がトクベツ』畑芽育/大橋和也
  3. 映画でSEL:告知1回目

REVIEW

  1. 映画『IMMACULATE 聖なる胎動』シドニー・スウィーニー
  2. 映画『ストレンジ・ダーリン』ウィラ・フィッツジェラルド
  3. 映画『スーパーマン』デイビッド・コレンスウェット
  4. 映画『逆火』北村有起哉
  5. 映画『顔を捨てた男』セバスチャン・スタン

PRESENT

  1. 映画『雪風 YUKIKAZE』竹野内豊
  2. 特製『平成狸合戦ぽんぽこ』ふんわりキーホルダー正吉
  3. トーキョー女子映画部ロゴ
    プレゼント

PAGE TOP