REVIEW

影裏

  • follow us in feedly
  • RSS
映画『影裏』綾野剛/松田龍平

このゾクゾクは何なんだろうと、言葉にし難い、克服しようのない、人間関係の本質、人間の本性みたいなものを感じさせられる作品です。綾野剛が演じる今野と、松田龍平が演じる日浅の友情物語という側面はありつつ、そもそも友情、信頼って存在するのかと疑問を投げかけてくるようなパワフルなストーリー。つかみどころのない日浅という人間は、時々ドキッとするような言葉を言うのですが、それは悟りなのか、言い訳なのかどちらにも取れて、余計に不気味です。また、人と一定の距離をおいて、恐る恐る近づいてみては傷ついてしまう今野のキャラクターはとてもリアルで、人間関係に踏み込んでみた先に必ず遭遇する試練のようなものを見せてくれます。2人の関係は一見特殊なように見えて、設定は違えど少なからず誰もが経験することだと思います。現代はそこまで踏み込んで人と付き合う機会すら少なくなっているというか、そういう付き合いを選ぶ人が少なくなっていると想像すると、そういう意味でも、見たくない現実を突きつけられるようで一層ゾクゾクさせられます。それでもその中に一筋の光を残し、完全に突き放すわけではない点が、作品の深さであり魅力となっています。綾野剛、松田龍平の演技も本当に見事で、この空気感は2人にしか出せません。いろいろな意味で見応えのある作品です。

デート向き映画判定
映画『影裏』綾野剛/松田龍平

低いトーンで進んでいくストーリーで、感情が掻き乱される内容なので、ウキウキした気持ちで楽しく過ごしたい日のデートには向きません。ただ、一方が友人関係で悩んでいたりする場合は、一歩下がって冷静に物事を見られる部分もあるので、頭を冷やすために誘うのもアリかも知れません。

キッズ&ティーン向き映画判定
映画『影裏』綾野剛/國村隼

キッズやティーンの皆さんは、規模の大きい小さいはあれど、日々こういうやり取りの中で過ごしているのではないかと思います。大人になったら、それなりに器用に人と付き合おうとするので、相手を選んで付き合おうとしますが、本作で描かれているように、大人になってもいろいろあります(苦笑)。年齢を問わず感情移入できるストーリーなので、皆さんも観てみてください。

映画『影裏』綾野剛/松田龍平

『影裏』
2020年2月14日より全国公開
ソニー・ミュージックエンタテインメント
公式サイト

TEXT by Myson

©2020「影裏」製作委員会

関連記事
  • follow us in feedly
  • RSS

新着記事

映画『九龍ジェネリックロマンス』吉岡里帆/水上恒司 九龍ジェネリックロマンス【レビュー】

“ジェネリックロマンス”という要素から何を期待するのか、そして本作で描かれる“ジェネリックロマンス”をどう受け取るのかは…

映画『ユニバーサル・ランゲージ』 ユニバーサル・ランゲージ【レビュー】

本作の舞台は、ペルシャ語とフランス語を公用語とする架空の世界のカナダ・ウィニペグで…

映画『ヒックとドラゴン』ニコ・パーカー ニコ・パーカー【ギャラリー/出演作一覧】

2004年12月9日生まれ。イギリス出身。

映画『てっぺんの向こうにあなたがいる』吉永小百合 『てっぺんの向こうにあなたがいる』完成披露試写会 15組30名様ご招待

映画『てっぺんの向こうにあなたがいる』完成披露試写会 15組30名様ご招待

映画『パルテノペ ナポリの宝石』セレステ・ダッラ・ポルタ パルテノペ ナポリの宝石【レビュー】

イタリアの巨匠パオロ・ソレンティーノ監督が初めて女性を主人公にして撮った本作の物語は、1950年にパルテノペが生まれるところから…

映画『8番出口』二宮和也 8番出口【レビュー】

観始めてスゴい設定だと驚き、何から何まで巧く作られていて…

映画『ムガリッツ』 『ムガリッツ』トークイベント付き特別先行試写会 5組10名様ご招待

映画『ムガリッツ』トークイベント付き特別先行試写会 5組10名様ご招待

映画『太陽がいっぱい』アラン・ドロン アラン・ドロン【ギャラリー/出演作一覧】

1935年11月8日生まれ。フランス出身。

映画『大統領暗殺裁判 16日間の真実』チョ・ジョンソク/イ・ソンギュン 大統領暗殺裁判 16日間の真実【レビュー】

1979年10月26日、朴正煕(パク・チョンヒ)大統領が暗殺されました。本作は、その暗殺事件に関わったメンバーのうち、軍人だったために唯一軍法裁判にかけられたパク・テジュ(イ・ソンギュン)と…

映画『Pacific Mother パシフィック・マザー』 『Pacific Mother パシフィック・マザー』一般向けオンライン試写会 10名様ご招待

映画『Pacific Mother パシフィック・マザー』一般向けオンライン試写会 10名様ご招待

本サイト内の広告について

本サイトにはアフィリエイト広告バナーやリンクが含まれます。

おすすめ記事

映画『スーパーマン』デイビッド・コレンスウェット 映画好きが選んだDCコミックス映画ランキング

今回は正式部員の皆さんに好きなDCコミックス映画について投票していただきました。“スーパーマン”や“バットマン”など人気シリーズが多くあるなか、上位にはどんな作品がランクインしたのでしょう?

映画『ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング』トム・クルーズ 映画好きが選んだトム・クルーズ人気作品ランキング

毎度さまざまな挑戦を続け、人気を博すハリウッドの大スター、トム・クルーズ。今回は、トム・クルーズ出演作品(日本劇場未公開作品を除く)を対象に、正式部員の皆さんに投票していただきました。

映画『シークレット・アイズ』キウェテル・イジョフォー/ジュリア・ロバーツ /ニコール・キッドマン 映画好きが推すとっておきの映画を紹介【名作掘り起こし隊】Vol.5

このコーナーでは、映画業界を応援する活動として、埋もれた名作に再び光を当てるべく、正式部員の皆さんから寄せられた名作をご紹介していきます。

学び・メンタルヘルス

  1. 映画『ネクスト・ゴール・ウィンズ』マイケル・ファスベンダー
  2. 映画『バーバラと心の巨人』マディソン・ウルフ
  3. 映画『We Live in Time この時を生きて』フローレンス・ピュー/アンドリュー・ガーフィールド

REVIEW

  1. 映画『九龍ジェネリックロマンス』吉岡里帆/水上恒司
  2. 映画『ユニバーサル・ランゲージ』
  3. 映画『パルテノペ ナポリの宝石』セレステ・ダッラ・ポルタ
  4. 映画『8番出口』二宮和也
  5. 映画『大統領暗殺裁判 16日間の真実』チョ・ジョンソク/イ・ソンギュン

PRESENT

  1. 映画『てっぺんの向こうにあなたがいる』吉永小百合
  2. 映画『ムガリッツ』
  3. 映画『Pacific Mother パシフィック・マザー』
PAGE TOP