REVIEW

フェイブルマンズ【レビュー】

  • follow us in feedly
  • RSS
映画『フェイブルマンズ』ガブリエル・ラベル/ミシェル・ウィリアムズ/ポール・ダノ

本作はスティーヴン・スピルバーグの自伝的作品とされており、映画に魅了された少年が映画監督を目指すまでを描いています。主人公のサミー・フェイブルマンは映画館で映画を観てから、8㎜カメラでさまざまなものを撮影していきます。でも、カメラには、彼の作品や楽しい思い出ばかりではなく、家族や周囲の人々の真の姿も収められていきます。そこには観たいもの、観たくないものの両方があり、サミーは映画というものはある意味残酷であり、真実を捉えるものであるということを知っていきます。このサミーの成長物語には、映画監督としてどんな覚悟が必要かが語られているように感じられ、それはそのままスピルバーグがこれまで作品作りで大切にしてきたことのようにも捉えられます。
また、家族の問題、学校での悩み事、映画監督を目指す上での苦労を感じている時、サミーのそばにはいつも映画があって、それがそのまま映画作りのヒントに繋がっていったのだという展開には、サミーは映画監督になるべくして生まれたというような運命的なものを感じます。さらに、クライマックスでサミーが八方ふさがりになった状態で起きるひょんな出来事はまさに映画マジック!これはスピルバーグの原体験を描いた作品ですが、スピルバーグに限らず、映画に魅了され、無我夢中で映画の世界に何とか入ろうともがいてきた人達は、極限まで耐えつつ、もうダメだと挫折しそうな時に、こういったミラクルを体験してきたからこそ、真実も理想も見せてくれる映画を作ったり、映画を届ける仕事に就いているのではないでしょうか。僭越ながら私も映画にまつわる仕事をしたいという思い一つで東京にやってきて、いろいろな奇跡を体験しました。そんな自分の体験ともすごく重なって、改めて映画の力を実感し、感謝の気持ちでいっぱいになりました。
本作で紡がれていくサミーの体験、周囲の人々との会話の一つひとつは、それがどんなに辛いもの悲しいものであってもすべてキラキラしていて、これこそが映画の真髄だと感じると同時に、スピルバーグはやっぱり生まれつきの映画監督だなと実感します。サミーの母の言葉「すべての出来事に意味がある」も、スピルバーグの生き方、映画作りの礎になっているのではないでしょうか。映画館で何度も味わいつつ、ブルーレイが出たら手元に置いていつでも観られるようにしたい作品です。

デート向き映画判定
映画『フェイブルマンズ』ガブリエル・ラベル

本作で描かれるいくつかの恋愛関係が、主人公の運命にも大きく影響をもたらしています。ロマンチックなだけではなく、苦い部分もあるので、デートで観るとどういう化学反応を起こすのか未知数です。何となく今の恋愛に迷いがある方、将来に自信が持てていない方は一旦1人でじっくり観るほうが良いかもしれません。

キッズ&ティーン向き映画判定
映画『フェイブルマンズ』ガブリエル・ラベル/ミシェル・ウィリアムズ/ポール・ダノ

主人公が幼少の頃に映画に魅了され、映画監督を目指す過程を描いていて、キッズやティーンの皆さんが等身大で観られる内容です。ただし、家族の複雑な状況も描かれていて、どう受けとめたらよいのか戸惑う部分もあると思います。PG-12となっているので大人と一緒なら小学生も観られますが、自分で理解して、自分の心と向き合いながら観るには、せめて中学生くらいになってから観ることをオススメします。

映画『フェイブルマンズ』ガブリエル・ラベル/ミシェル・ウィリアムズ/ポール・ダノ

『フェイブルマンズ』
2023年3月3日より全国公開
PG-12
東宝東和
公式サイト

© Storyteller Distribution Co., LLC. All Rights Reserved.

TEXT by Myson

関連記事
  • follow us in feedly
  • RSS

新着記事

映画『国宝』吉沢亮 映画好きが選んだ2025邦画ベスト

今回は、正式部員の皆さんに投票していただいた2025年邦画ベストの結果を発表!2025年の邦画ベストで上位にランクインしたのはどの作品でしょう?

映画『プロジェクト・ヘイル・メアリー』ライアン・ゴズリング プロジェクト・ヘイル・メアリー【レビュー】

タイトルについている“プロジェクト・ヘイル・メアリー”とは、“イチかバチか(ヘイル・メアリー)”のプロジェクトという意味…

映画『ゴールデンカムイ 網走監獄襲撃編』山﨑賢人/山田杏奈 ゴールデンカムイ 網走監獄襲撃編【レビュー】

本作は野田サトル氏による原作コミック “第一部の総括”的ポジションにあたるといわれており…

映画『スペシャルズ』佐久間大介(Snow Man) 佐久間大介【ギャラリー/出演作一覧】

1992年7月5日生まれ。東京都出身。

映画『大丈夫、大丈夫、大丈夫!』イ・レ 『大丈夫、大丈夫、大丈夫!』キム・へヨン監督来日記念試写イベント 6組12名様ご招待

映画『大丈夫、大丈夫、大丈夫!』キム・へヨン監督来日記念試写イベント 6組12名様ご招待

映画『キング・オブ・キングス』 『キング・オブ・キングス』ムビチケカード 3名様プレゼント

映画『キング・オブ・キングス』ムビチケカード 3名様プレゼント

映画『マーティ・シュプリーム 世界をつかめ』ジャパンプレミアイベント、ティモシー・シャラメ、ジョシュ・サフディ監督、川口功人、窪塚洋介 ティモシー・シャラメ「高い情熱を常にキープすることを意識しました」『マーティ・シュプリーム 世界をつかめ』来日ジャパンプレミアイベント

映画『マーティ・シュプリーム 世界をつかめ』来日ジャパンプレミアイベント:ティモシー・シャラメ、ジ…

映画『私がビーバーになる時』 私がビーバーになる時【レビュー】

「こんなストーリーなのか!」と、良い意味で想像と全く異なる展開に…

Netflixシリーズ『ONE PIECE シーズン2』記者会見、イニャキ・ゴドイ(モンキー・D・ルフィ役)、新田真剣佑(ロロノア・ゾロ役)、エミリー・ラッド(ナミ役)、ジェイコブ・ロメロ(ウソップ役)、タズ・スカイラー(サンジ役) 麦わらの一味が大集結!「絆は言葉のいらないレベルまで成長しました」『ONE PIECE シーズン2』来日記者会見

Netflix実写シリーズ『ONE PIECE』待望のシーズン2配信を前に、モンキー・D・ルフィ役のイニャキ・ゴドイをはじめ、新田真剣佑、エミリー・ラッド、ジェイコブ・ロメロ、タズ・スカイラーの5名が記者会見に登壇!

映画『マーティ・シュプリーム 世界をつかめ』ティモシー・シャラメ マーティ・シュプリーム 世界をつかめ【レビュー】

卓球にすべてをかける青年が主人公の本作は、アメリカに実在した卓球選手マーティ・リーズマンの人生に着想を得て…

本サイト内の広告について

本サイトにはアフィリエイト広告バナーやリンクが含まれます。

おすすめ記事

映画『国宝』吉沢亮 映画好きが選んだ2025邦画ベスト

今回は、正式部員の皆さんに投票していただいた2025年邦画ベストの結果を発表!2025年の邦画ベストで上位にランクインしたのはどの作品でしょう?

ショートドラマ『復讐同盟 —サレ妻と愛人はクズ旦那を制裁する—』 私ならこうする!『復讐同盟 —サレ妻と愛人はクズ旦那を制裁する—』を観た女子の本音

ショートドラマ『復讐同盟 —サレ妻と愛人はクズ旦那を制裁する—』をトーキョー女子映画部正式部員の皆さんに観ていただき、感想や「私ならこうする!」を聞いてみました。

【映画学ゼミ第6回】「鑑賞者のローカス・オブ・コントロールと、映画鑑賞における着眼点・感想の関係」参加者募集! 【映画学ゼミ第6回】「鑑賞者のローカス・オブ・コントロールと、映画鑑賞における着眼点・感想の関係」参加者募集!

映画を観終わった後に「運命は変えられない」と思ったり、「何事も自分次第」と思うことがありますよね。そういった背景にあるのかもしれない心理的概念として、今回は、ローカス・オブ・コントロール(Locus of Control)を取り上げます。

学び・メンタルヘルス

  1. 【映画学ゼミ第6回】「鑑賞者のローカス・オブ・コントロールと、映画鑑賞における着眼点・感想の関係」参加者募集!
  2. 【映画学ゼミ第5回】「登場人物にみる人間の非合理性」参加者募集!
  3. 映画『グッドワン』リリー・コリアス

REVIEW

  1. 映画『プロジェクト・ヘイル・メアリー』ライアン・ゴズリング
  2. 映画『ゴールデンカムイ 網走監獄襲撃編』山﨑賢人/山田杏奈
  3. 映画『私がビーバーになる時』
  4. 映画『マーティ・シュプリーム 世界をつかめ』ティモシー・シャラメ
  5. 海外ドラマ『ワンダーマン』ヤーヤ・アブドゥル=マティーン二世

PRESENT

  1. 映画『大丈夫、大丈夫、大丈夫!』イ・レ
  2. 映画『キング・オブ・キングス』
  3. 映画『ストリート・キングダム 自分の音を鳴らせ。』峯田和伸/若葉竜也/吉岡里帆
PAGE TOP