REVIEW

八犬伝【レビュー】

  • follow us in feedly
  • RSS
映画『八犬伝』役所広司/内野聖陽/土屋太鳳/渡邊圭祐/鈴木仁/板垣李光人/水上恒司/松岡広大/佳久創/藤岡真威人/上杉柊平/河合優実/小木茂光/丸山智己/真飛聖/忍成修吾/塩野瑛久/神尾佑/栗山千明/中村獅童/尾上右近/磯村勇斗/大貫勇輔/立川談春/黒木華/寺島しのぶ

REVIEW

役所広司主演というだけで観ると決めていた本作を、毎度ながら前情報をほとんど入れずに観て、大好きな要素が続々と出てきたので心が躍りました。こういう映画を観た時には思わず私的な感想を述べたくなるもので、お許しください。

映画『八犬伝』土屋太鳳
映画『八犬伝』渡邊圭祐

最初ファンタジー時代劇が始まったと思ったらシーンが一変し、本作は江戶時代の人気作家で「八犬伝」の著者、滝沢【曲亭】馬琴(役所広司)のお話だとわかります。作家自身のストーリーが大好物なので、まずその点で心が鷲づかみにされました。そして、「あれ?八犬伝って、あの八犬伝か!」となったんです。というのも、すっかり忘れていましたが、子どもの頃、薬師丸ひろ子と真田広之が出演していた『里見八犬伝』を観てすごくカッコいい映画で好きだった記憶が蘇りました。でも、そのわりには内容を全然覚えておらず(苦笑)、本作の中で出てくる「八犬伝」のストーリーも新鮮に観られたと同時に、久々に『里見八犬伝』も観返したいと思った次第です。

映画『八犬伝』役所広司/黒木華

そして、何といっても見どころは、「八犬伝」が28年もの時をかけて書かれたという点です。映画公式資料によると、馬琴の「南総里見八犬伝」が完結したのは1842年だそうです。この小説は馬琴にとって、いち作品というより、生きる糧になっているように見えて、当時の人達にとっても、娯楽を超えたものだったのかもしれないと想像できます。また、ストーリーを作る上で、何が「実」で「虚」なのかという問答のシーンは、とても見応えがあります。娯楽とは人にとって何なのだろうと改めて考えさせられるとともに、社会における、“物語”の重みを実感します。さらに、本作を観て「八犬伝」には馬琴の生き様が反映されていたのだと知ると、語り継がれる作品は、人の心のよりどころとなるものなのだと実感します。

映画『八犬伝』役所広司/内野聖陽

馬琴と葛飾北斎(内野聖陽)の関係も興味深く、そうした偉人を役所広司、内野聖陽という名優が演じている点でも見応えがあります。江戸時代にこうしたファンタジー小説を書いた馬琴の創造力に驚かされつつ、時代を問わない普遍的なテーマに心を動かされます。そして、本作は優れた作家の物語でありながら、私達の物語ともいえる点でぜひ観ていただきたい1作です。

デート向き映画判定

映画『八犬伝』土屋太鳳

ラブストーリーの要素は軸ではないものの、自分の人生と家族の人生、両方について考えさせられるストーリーという点で、夫婦で観るのも良さそうです。一人の父として葛藤する馬琴の姿、妻の思いなど、あらゆる視点で観られます。クリエイティブな仕事をしている方や、エンタテインメント関連の仕事をしている方に一層刺さりそうなストーリーなので、当てはまる方は誘ってみてはいかがでしょうか。

キッズ&ティーン向き映画判定

映画『八犬伝』渡邊圭祐/鈴木仁/板垣李光人/水上恒司/松岡広大/佳久創/藤岡真威人/上杉柊平

上映時間が149分と長めで、現実世界と「八犬伝」のストーリーが並行して描かれているので、ある程度の集中力を要します。キッズには少々ハードルが高いと思う一方で、「富嶽三十六景」で知られる葛飾北斎や、「東海道四谷怪談」を作った鶴屋南北も登場するので、当時の日本史の勉強になる部分もあります。自ら興味を持ったなら年齢を問わずチャレンジしてみても良いでしょう。

映画『八犬伝』役所広司/内野聖陽/土屋太鳳/渡邊圭祐/鈴木 仁/板垣李光人/水上恒司/松岡広大/佳久創/藤岡真威人/上杉柊平/河合優実/黒木華/寺島しのぶ

『八犬伝』
2024年10月25日より全国公開
キノフィルムズ
公式サイト

ムビチケ購入はこちら

© 2024『八犬伝』FILM PARTNERS.

TEXT by Myson

本ページには一部アフィリエイト広告のリンクが含まれます。
情報は2024年10月時点のものです。最新の販売状況や配信状況は各社サイトにてご確認ください。

関連記事
  • follow us in feedly
  • RSS

新着記事

映画『YADANG/ヤダン』公開記念来日舞台挨拶:カン・ハヌル、ユ・ヘジン、ファン・ビョングク監督 一緒に仕事をしたい日本人俳優・監督名を告白!『YADANG/ヤダン』カン・ハヌル、ユ・ヘジン、ファン・ビョングク監督、来日舞台挨拶

『YADANG/ヤダン』が日本劇場公開された初日、主演のカン・ハヌル、本作を含めさまざまな作品でキーパーソンを演じ、名脇役として活躍するユ・ヘジン、ファン・ビョングク監督が揃って来日しました。

映画『SEBASTIANセバスチャン』ルーアリ・モリカ SEBASTIANセバスチャン【レビュー】

キービジュアルに写るルーアリ・モルカの美しさと独特なオーラに目を奪われ、本作に興味が湧いた方は少なくないはず…

映画『アウトローズ』ジェラルド・バトラー 『アウトローズ』ムビチケオンライン券 2組4名様ご招待

映画『アウトローズ』ムビチケオンライン券 2組4名様ご招待

映画『ビール・ストリートの恋人たち』レジーナ・キング レジーナ・キング【ギャラリー/出演作一覧】

1971年1月15日生まれ。アメリカ、カリフォルニア州ロサンゼルス出身。

映画『喝采』ジェシカ・ラング 喝采【レビュー】

ブロードウェイで活躍した伝説の俳優マリアン・セルデスをモデルとした本作の主人公は、ジェシカ・ラングが演じています…

映画『YADANG/ヤダン』カン・ハヌル YADANG/ヤダン【レビュー】

タイトルについている“ヤダン”とは、「麻薬犯罪者から情報を引き出し、検察や警察に提供して報酬を得る司法取引のブローカー」…

映画『スワイプ:マッチングの法則』リリー・ジェームズ リリー・ジェームズ【ギャラリー/出演作一覧】

1989年4月5日生まれ。イギリス出身。

映画『架空の犬と嘘をつく猫』高杉真宙/伊藤万理華/安藤裕子/向里祐香/安田顕 架空の犬と嘘をつく猫【レビュー】

家族の絆というより、家族の呪縛を描いているようでいて…

映画『おくびょう鳥が歌うほうへ』シアーシャ・ローナン おくびょう鳥が歌うほうへ【レビュー】

世界各国で翻訳され、ベストセラーとなったエイミー・リプトロットの回想録「THE OUTRUN」を原作とした本作は、ベルリン国際映画祭銀熊賞に輝いた『システム・クラッシャー』のノラ・フィングシャイトが監督を務め、若くして数々の名作に出演してきた実力派シアーシャ・ローナンが主演を務めています…

ABEMAオリジナル連続ドラマ『スキャンダルイブ』柴咲コウ/川口春奈 スキャンダルイブ【レビュー】

昨今、問題が複数取り沙汰されている、芸能界の性加害をテーマにしたドラマということもあり、再現ドラマにすら感じる生々しさがあります…

本サイト内の広告について

本サイトにはアフィリエイト広告バナーやリンクが含まれます。

おすすめ記事

映画『ウィキッド ふたりの魔女』シンシア・エリヴォ/アリアナ・グランデ トーキョー女子映画部が選ぶ 2025年ベスト10&イイ俳優MVP

2025年も毎年恒例の企画として、トーキョー女子映画部の編集部マイソンとシャミが、個人的なベスト10と、イイ俳優MVPを選んでご紹介します。

人間として生きるおもしろさを知る【映画学ゼミ第4回】参加者募集 昨日よりちょっと賢く生きるための【映画学ゼミ第4回】参加者募集!

ネットの普及によりオンラインで大抵のことができ、AIが人間の代役を担う社会になったからこそ、逆に人間らしさ、人間として生きる醍醐味とは何かを映画学の観点から一緒に探ってみませんか?

映画『チャップリン』チャーリー・チャップリン『キッド』の一場面 映画好きが選んだチャーリー・チャップリン人気作品ランキング

俳優および監督など作り手として、『キッド』『街の灯』『独裁者』『ライムライト』などの名作の数々を生み出したチャーリー・チャップリン(チャールズ・チャップリン)。今回は、チャーリー・チャップリン監督作(短編映画を除く)を対象に、正式部員の皆さんに投票していただきました。

学び・メンタルヘルス

  1. 人間として生きるおもしろさを知る【映画学ゼミ第4回】参加者募集
  2. 映画『殺し屋のプロット』マイケル・キートン
  3. 映画学ゼミ2025年12月募集用

REVIEW

  1. 映画『SEBASTIANセバスチャン』ルーアリ・モリカ
  2. 映画『喝采』ジェシカ・ラング
  3. 映画『YADANG/ヤダン』カン・ハヌル
  4. 映画『架空の犬と嘘をつく猫』高杉真宙/伊藤万理華/安藤裕子/向里祐香/安田顕
  5. 映画『おくびょう鳥が歌うほうへ』シアーシャ・ローナン

PRESENT

  1. 映画『アウトローズ』ジェラルド・バトラー
  2. 映画『アバター:ファイヤー・アンド・アッシュ』チャージングパッド
  3. 映画『ただ、やるべきことを』チャン・ソンボム/ソ・ソッキュ
PAGE TOP