REVIEW

ライフ・ウィズ・ミュージック【レビュー】

  • follow us in feedly
  • RSS
映画『ライフ・ウィズ・ミュージック』ケイト・ハドソン

本作は、素顔を明かさないポップスターとして世界的に注目を集めるシンガーソングライターのSiaが原案、脚本、製作、初監督を務め、自身の実体験を交えたストーリーで映画化した作品です。Siaの実体験を反映させたキャラクターは、ケイト・ハドソンが演じるズー。公式サイトによると、ズーの妹で自閉症のミュージックのキャラクターについては、Siaが依存症者のための集会で出会った、自閉症の息子を育てる母親の一言がきっかけとなったとあります。ズーは坊主頭がとても印象的ですが、ケイト・ハドソンは本作のオファーを快諾、坊主頭にすることにも即応したとのことです。それにしてもこんなに坊主頭が見事に似合うとは、ケイト・ハドソンさすがです。また、ズーの妹ミュージック役には、SiaのMVに多数出演しているマディ・ジーグラーが起用されており、ミュージックのさまざまな表情を見事に演じ分けています。
物語は、アルコール依存症のリハビリテーションプログラムを受け、何とか生活をしていたズーが、ある日祖母が亡くなったと知らされ、しばらく会っていなかった自閉症の妹ミュージックと暮らすうちに、どん底から這い上がるというもの。自分のことだけでも精一杯なズーは、最初ミュージックと暮らすなんて無理だと突き放そうとしますが、ミュージックや近所の人達と交流するにつれ、徐々に大切なものに気付き始める様が描かれています。強引に壮絶さをアピールする描写ではなく、姉妹の日常を切り取り、素朴に描いているところに好感が持てると同時に、ミュージックがズーや周囲の人々をどんな風に見ているのかがPVのようなミュージックシーンで表現されていて、とてもメリハリの利いたユニークな構成になっている点も魅力です。またそのミュージックシーンがすごくポップで可愛くて、Siaの楽曲が持つ圧倒的な世界観を堪能することができます。
主人公が苦しみもがいている姿を描いているストーリーなので、そのまま描けば暗い映画になりそうなところが、明るく優しさに溢れた作品となっています。悲しい展開も都度出てきますが、基本的に悪い人が出てこず、皆がズーとミュージックを支えている様子にも心が温まります。特に優しさに飢えている方にオススメの1作です。

デート向き映画判定
映画『ライフ・ウィズ・ミュージック』ケイト・ハドソン/レスリー・オドム・Jr.

まず、優しい気持ちにさせてくれるという点でデートにオススメです。また、ミュージックシーンはエンタテインメント性が高いので観ていてワクワクする点でもデートのムードにうってつけでしょう。ロマンチックなシーンもあり、それでいて気まずいシーンはないので、初デートはもちろん、どんなカップルのデートでも安心して観られると思います。

キッズ&ティーン向き映画判定
映画『ライフ・ウィズ・ミュージック』ケイト・ハドソン/マディ・ジーグラー

自分が相手を助けていると思い込んでいたら、本当は逆に自分が助けられているんだということに気付かせてくれる作品です。ある程度大きくなってから観たほうが理解は深まると思いますが、難しいストーリーではないので、興味があれば観てみてください。可愛い要素も多いのでアーティスティックな作品が好きな方もきっと気に入るはずです。

映画『ライフ・ウィズ・ミュージック』ケイト・ハドソン/マディ・ジーグラー/レスリー・オドム・Jr.

『ライフ・ウィズ・ミュージック』
2022年2月25日より全国公開
フラッグ
公式サイト

© 2020 Pineapple Lasagne Productions, Inc. All Rights Reserved.

TEXT by Myson

関連記事
  • follow us in feedly
  • RSS

新着記事

映画『エクスペリメント』エイドリアン・ブロディ 心理学から観る映画59:研究倫理に反する実験とその被害『エクスペリメント』『まったく同じ3人の他人』

『まったく同じ3人の他人』というドキュメンタリーを観ました。生き別れた三つ子が再会する感動のストーリーかと思いきや、驚愕の背景を知り、研究倫理について改めて考えさせられました。そこで今回は研究倫理をテーマとします。

映画『コンビニ・ウォーズ~バイトJK VS ミニナチ軍団~』ヴァネッサ・パラディ ヴァネッサ・パラディ【ギャラリー/出演作一覧】

1972年12月22日生まれ。フランス出身。

映画『ブルーボーイ事件』中川未悠/中村中/イズミ・セクシー/真田怜臣/六川裕/泰平史/錦戸亮 ブルーボーイ事件【レビュー】

高度成長期にあった1965年の東京では、街の浄化のため、警察はセックスワーカー達を厳しく取り締まっていました。ただ、セックスワーカーの中には性別適合手術(当時の呼称は性転換手術)を受けて女性的な体をした通称ブルーボーイが…

映画『悪党に粛清を』来日舞台挨拶、マッツ・ミケルセン 映画好きが選んだマッツ・ミケルセン人気作品ランキング

“北欧の至宝”として日本でも人気を誇るマッツ・ミケルセン。今回は、マッツ・ミケルセン出演作品(ドラマを除く)を対象に、正式部員の皆さんに投票していただきました。上位にはどんな作品がランクインしたのでしょうか?

映画『君の顔では泣けない』芳根京子/髙橋海人 君の顔では泣けない【レビュー】

高校1年生の夏、坂平陸(武市尚士)と水村まなみ(西川愛莉)はプールに一緒に落ちたことで体が入れ替わってしまいます。2人はすぐに元に戻ることができず15年を過ごし…

映画『スプリングスティーン 孤独のハイウェイ』ジェレミー・アレン・ホワイト スプリングスティーン 孤独のハイウェイ

物語の舞台は1982年。ブルース・スプリングスティーン(ジェレミー・アレン・ホワイト)は、名声を手に入れながらも、葛藤を抱えて…

映画『2つ目の窓』松田美由紀 松田美由紀【ギャラリー/出演作一覧】

1961年10月6日生まれ。東京都出身。

「第38回東京国際映画祭」クロージングセレモニー:受賞者 東京グランプリは『パレスチナ36』!第38回東京国際映画祭ハイライト

2025年10月27日(月)に日比谷・有楽町・丸の内・銀座地区で開幕したアジア最大級の映画の祭典である第38回東京国際映画祭が、11月5日(水)に閉幕。今年も個性豊かな作品が多数出品され、さまざまなイベントが実施されました。以下に、第38回東京国際映画祭ハイライトをお届けします。

映画『平場の月』堺雅人/井川遥 平場の月【レビュー】

朝倉かすみ著の同名小説を実写化した本作は、『ハナミズキ』『花束みたいな恋をした』(2021年)などを手がけた土井裕泰が監督を務めて…

映画『ぼくらの居場所』リアム・ディアス/エッセンス・フォックス/アンナ・クレア・ベイテル ぼくらの居場所【レビュー】

カナダのトロント東部に位置するスカボローを舞台に、さまざまな背景を抱えた3組の親子の姿を…

本サイト内の広告について

本サイトにはアフィリエイト広告バナーやリンクが含まれます。

おすすめ記事

映画『悪党に粛清を』来日舞台挨拶、マッツ・ミケルセン 映画好きが選んだマッツ・ミケルセン人気作品ランキング

“北欧の至宝”として日本でも人気を誇るマッツ・ミケルセン。今回は、マッツ・ミケルセン出演作品(ドラマを除く)を対象に、正式部員の皆さんに投票していただきました。上位にはどんな作品がランクインしたのでしょうか?

映画学ゼミ2025年11月募集用 AI時代における人間らしさの探求【映画学ゼミ第2回】参加者募集!

ネット化が進み、AIが普及しつつある現代社会で、人間らしさを実感できる映画鑑賞と人間にまつわる神秘を一緒に探求しませんか?

映画『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊』ウェス・アンダーソン監督 映画好きが選んだウェス・アンダーソン監督人気作品ランキング

今回は、ウェス・アンダーソン監督作品を対象に、正式部員の皆さんに投票していただきました。人気作品が多くあるなか、上位にランクインしたのは?

学び・メンタルヘルス

  1. 映画『エクスペリメント』エイドリアン・ブロディ
  2. 映画学ゼミ2025年11月募集用
  3. 映画『おーい、応為』長澤まさみ

REVIEW

  1. 映画『ブルーボーイ事件』中川未悠/中村中/イズミ・セクシー/真田怜臣/六川裕/泰平史/錦戸亮
  2. 映画『君の顔では泣けない』芳根京子/髙橋海人
  3. 映画『スプリングスティーン 孤独のハイウェイ』ジェレミー・アレン・ホワイト
  4. 映画『平場の月』堺雅人/井川遥
  5. 映画『ぼくらの居場所』リアム・ディアス/エッセンス・フォックス/アンナ・クレア・ベイテル

PRESENT

  1. 映画『TOKYOタクシー』オリジナルパラパラメモ
  2. トーキョー女子映画部ロゴ
    プレゼント

PAGE TOP