REVIEW

フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊【レビュー】

  • follow us in feedly
  • RSS
映画『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊』

今回もウェス・アンダーソン節が炸裂する期待通りの作品です。何から何まで可愛くて、同時に滑稽で愛おしい。そんな世界観の中で生きるキャラクター達も皆魅力的でクセが強いです(笑)。本作は“確固たる名作”“宣言書の改訂”“警察署長の食事室”の3つの物語で構成されていて、それは「フレンチ・ディスパッチ」という名の雑誌のネタの一つひとつとして語られていきます。
きっと観る方それぞれにお気に入りのストーリーが見つかると思いますが、私はベニチオ・デル・トロ、レア・セドゥが出演している“確固たる名作”が一番気に入りました。冒頭でレア・セドゥのある姿が美し過ぎてまず目を奪われ、その堂々たる佇まい、貫禄に圧倒されます。さらにその貫禄が次なる展開に活きていて、「そりゃ、そうだわ」とか「何でやねん!」な展開が笑えます。“宣言書の改訂”“警察署長の食事室”にも独特のユーモアとオチがあって、シュールでありながらホッコリさせられるストーリーとなっています。
人間の一見残念な面をとても愛おしく描くウェス・アンダーソン監督の手腕によって、今回も結果「人間って、いいな」「人間って可愛い」と感じることができます。キャラクターの衣装やセット、途中差し込まれるイラストそのものが可愛いのはもちろん、ウェス・アンダーソン監督が描く人間が可愛いからこういう世界観が生まれるのだなと実感しました。
そして何と言ってもキャストがスゴい!ベニチオ・デル・トロ、エイドリアン・ブロディ、ティルダ・スウィントン、レア・セドゥ、フランシス・マクドーマンド、ティモシー・シャラメ、リナ・クードリ、ジェフリー・ライト、マチュー・アマルリック、ビル・マーレイ、オーウェン・ウィルソン、クリストフ・ヴァルツ、エドワード・ノートン、ジェイソン・シュワルツマン、アンジェリカ・ヒューストン、リーヴ・シュレイバー、エリザベス・モス、ウィレム・デフォー、シアーシャ・ローナン、ルパート・フレンド、セシル・ドゥ・フランス、ドゥニ・メノーシェなど、これでもかといった数の豪華キャストが名を連ねています。これは映画ファンは観ておかないともったいない。ぜひ大きなスクリーンで観て、この世界に没入してください。

デート向き映画判定
映画『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊』ベニチオ・デル・トロ

ウェス・アンダーソン監督作は好みが分かれそうではありますが、とりあえずオシャレなムードに浸れるので(笑)、デート向きだと思います。カップルで観て気まずいシーンもあまりないので、初デートでも大丈夫でしょう。観る方の年齢を選ばない作品なので、若いカップル、大人カップル、年の差カップルでもOKです。

キッズ&ティーン向き映画判定
映画『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊』ティモシー・シャラメ他

おもちゃ箱を開けたような可愛くて楽しい世界観は、ティーンの皆さんも気に入るのではと思います。衣装も可愛いし、アイテムも可愛いので、それを観ているだけでテンションが上がる方もいるでしょう。親子で観てもOKですが、友達と一緒に観て感想を述べ合うほうが盛り上がりそうな気がします。

映画『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊』

『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊』
2022年1月28日より全国公開
ウォルト・ディズニー・ジャパン
公式サイト

©2021 20th Century Studios. All rights reserved.

TEXT by Myson

関連記事
  • follow us in feedly
  • RSS

新着記事

映画『エクスペリメント』エイドリアン・ブロディ 心理学から観る映画59:研究倫理に反する実験とその被害『エクスペリメント』『まったく同じ3人の他人』

『まったく同じ3人の他人』というドキュメンタリーを観ました。生き別れた三つ子が再会する感動のストーリーかと思いきや、驚愕の背景を知り、研究倫理について改めて考えさせられました。そこで今回は研究倫理をテーマとします。

映画『コンビニ・ウォーズ~バイトJK VS ミニナチ軍団~』ヴァネッサ・パラディ ヴァネッサ・パラディ【ギャラリー/出演作一覧】

1972年12月22日生まれ。フランス出身。

映画『ブルーボーイ事件』中川未悠/中村中/イズミ・セクシー/真田怜臣/六川裕/泰平史/錦戸亮 ブルーボーイ事件【レビュー】

高度成長期にあった1965年の東京では、街の浄化のため、警察はセックスワーカー達を厳しく取り締まっていました。ただ、セックスワーカーの中には性別適合手術(当時の呼称は性転換手術)を受けて女性的な体をした通称ブルーボーイが…

映画『悪党に粛清を』来日舞台挨拶、マッツ・ミケルセン 映画好きが選んだマッツ・ミケルセン人気作品ランキング

“北欧の至宝”として日本でも人気を誇るマッツ・ミケルセン。今回は、マッツ・ミケルセン出演作品(ドラマを除く)を対象に、正式部員の皆さんに投票していただきました。上位にはどんな作品がランクインしたのでしょうか?

映画『君の顔では泣けない』芳根京子/髙橋海人 君の顔では泣けない【レビュー】

高校1年生の夏、坂平陸(武市尚士)と水村まなみ(西川愛莉)はプールに一緒に落ちたことで体が入れ替わってしまいます。2人はすぐに元に戻ることができず15年を過ごし…

映画『スプリングスティーン 孤独のハイウェイ』ジェレミー・アレン・ホワイト スプリングスティーン 孤独のハイウェイ

物語の舞台は1982年。ブルース・スプリングスティーン(ジェレミー・アレン・ホワイト)は、名声を手に入れながらも、葛藤を抱えて…

映画『2つ目の窓』松田美由紀 松田美由紀【ギャラリー/出演作一覧】

1961年10月6日生まれ。東京都出身。

「第38回東京国際映画祭」クロージングセレモニー:受賞者 東京グランプリは『パレスチナ36』!第38回東京国際映画祭ハイライト

2025年10月27日(月)に日比谷・有楽町・丸の内・銀座地区で開幕したアジア最大級の映画の祭典である第38回東京国際映画祭が、11月5日(水)に閉幕。今年も個性豊かな作品が多数出品され、さまざまなイベントが実施されました。以下に、第38回東京国際映画祭ハイライトをお届けします。

映画『平場の月』堺雅人/井川遥 平場の月【レビュー】

朝倉かすみ著の同名小説を実写化した本作は、『ハナミズキ』『花束みたいな恋をした』(2021年)などを手がけた土井裕泰が監督を務めて…

映画『ぼくらの居場所』リアム・ディアス/エッセンス・フォックス/アンナ・クレア・ベイテル ぼくらの居場所【レビュー】

カナダのトロント東部に位置するスカボローを舞台に、さまざまな背景を抱えた3組の親子の姿を…

本サイト内の広告について

本サイトにはアフィリエイト広告バナーやリンクが含まれます。

おすすめ記事

映画『悪党に粛清を』来日舞台挨拶、マッツ・ミケルセン 映画好きが選んだマッツ・ミケルセン人気作品ランキング

“北欧の至宝”として日本でも人気を誇るマッツ・ミケルセン。今回は、マッツ・ミケルセン出演作品(ドラマを除く)を対象に、正式部員の皆さんに投票していただきました。上位にはどんな作品がランクインしたのでしょうか?

映画学ゼミ2025年11月募集用 AI時代における人間らしさの探求【映画学ゼミ第2回】参加者募集!

ネット化が進み、AIが普及しつつある現代社会で、人間らしさを実感できる映画鑑賞と人間にまつわる神秘を一緒に探求しませんか?

映画『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊』ウェス・アンダーソン監督 映画好きが選んだウェス・アンダーソン監督人気作品ランキング

今回は、ウェス・アンダーソン監督作品を対象に、正式部員の皆さんに投票していただきました。人気作品が多くあるなか、上位にランクインしたのは?

学び・メンタルヘルス

  1. 映画『エクスペリメント』エイドリアン・ブロディ
  2. 映画学ゼミ2025年11月募集用
  3. 映画『おーい、応為』長澤まさみ

REVIEW

  1. 映画『ブルーボーイ事件』中川未悠/中村中/イズミ・セクシー/真田怜臣/六川裕/泰平史/錦戸亮
  2. 映画『君の顔では泣けない』芳根京子/髙橋海人
  3. 映画『スプリングスティーン 孤独のハイウェイ』ジェレミー・アレン・ホワイト
  4. 映画『平場の月』堺雅人/井川遥
  5. 映画『ぼくらの居場所』リアム・ディアス/エッセンス・フォックス/アンナ・クレア・ベイテル

PRESENT

  1. 映画『TOKYOタクシー』オリジナルパラパラメモ
  2. トーキョー女子映画部ロゴ
    プレゼント

PAGE TOP