REVIEW

とんび【レビュー】

  • follow us in feedly
  • RSS
映画『とんび』阿部寛/北村匠海

重松清によるベストセラー「とんび」を映画化した本作は、妻に先立たれた男と一人息子の物語です。息子のアキラ(北村匠海)が幼い頃に、不慮の事故で妻を亡くしたヤス(阿部寛)は、妻ではなく自分が生き残ったことへの罪悪感と、一人でアキラを育てることに不安を抱えています。でも、本作はヤスが孤独に子育てをする苦労話ではなく、彼の周りにいる人々、ひいては地域全体で一緒にアキラを育てようとする姿が印象的に描かれたストーリーでとても心が温まります。心に刺さるシーンはいろいろ出てくるのですが、個人的に一番心を掴まれたのは、麿赤兒が演じる海雲とヤス、アキラ、照雲(安田顕)のシーン。このシーンの舞台は昭和中期ですが、時代を経た現代でこそ望まれる社会の在り方が見えるシーンとなっています。
また、ヤスとアキラはもちろん、海雲、照雲、たえ子(薬師丸ひろ子)といった脇を固めるキャラクターがとても魅力的に描かれている点も本作のみどころです。それぞれのキャラクターの優しさや愛が作品に溢れていて、彼等の日常は観る側にとって身近に感じるものだからこそ、この世界観に没入でき、温かさに包まれるような感覚を味わえるのだと思います。豪華キャストの他、監督は瀬々敬久、脚本は港岳彦が担当していて、実力派揃いの作品という点でも映画ファンの期待に応えられる作品と言えるのではないでしょうか。

デート向き映画判定
映画『とんび』北村匠海/杏

ロマンチックな展開よりも、カップルが交際、結婚と発展していく上でのリアルな部分が描かれています。これからお互いの家族に挨拶に行くという方は特に親近感が湧く内容です。反応は親次第なので参考にするという感じとは異なりますが、リハーサルをする気分で観てみるのも良いでしょう。また、本作を観ると自然に家族や幼い頃の思い出などを話したくなるので、お互いをもっと知りたいカップルも一緒に観ると良さそうです。

キッズ&ティーン向き映画判定
映画『とんび』阿部寛/北村匠海

特に中学生以上の方は自我が芽生えてきて、親に反抗的な態度を取ってしまうことも出てくると思いますが、本作で親の知られざる思いを客観的に観ることができるでしょう。ティーンの皆さんは敢えて親子で観て、鑑賞後に家族のアルバムを一緒に観ながら思い出話をするのも良いですね。これを機に大きくなるまで敢えて聞かされていなかったことなどを親が話してくれるかもしれません。

映画『とんび』阿部寛/北村匠海/杏/安田顕/大島優子/麻生久美子/薬師丸ひろ子

『とんび』
2022年4月8日より全国公開
KADOKAWA、イオンエンターテイメント
公式サイト

©2022 『とんび』 製作委員会

TEXT by Myson

関連記事
  • follow us in feedly
  • RSS

新着記事

映画『ビートルジュース ビートルジュース』モニカ・ベルッチ モニカ・ベルッチ【ギャラリー/出演作一覧】

1964年9月30日生まれ。イタリア出身。

映画『バード ここから羽ばたく』ニキヤ・アダムズ/バリー・コーガン バード ここから羽ばたく【レビュー】

イギリス、アメリカ、フランス、ドイツの合作である本作には、イギリス、ケント州出身のアンドレア・アーノルド(監督・脚本)や、アイルランド、ダブリン出身の俳優バリー・コーガン、ドイツのフライブルク・イム・ブライスガウ出身の俳優フランツ・ロゴフスキと…

映画『美しい夏』ディーヴァ・カッセル ディーヴァ・カッセル【ギャラリー/出演作一覧】

2004年9月12日生まれ。イタリア、ローマ出身。

映画『カラダ探し THE LAST NIGHT』橋本環奈/眞栄田郷敦/櫻井海音/安斉星来/鈴木福/本田真凜/吉田剛明 カラダ探し THE LAST NIGHT【レビュー】

失踪した少女のカラダのパーツをすべて見つけるまで死のループから出られない“カラダ探し”は…

映画『テレビの中に入りたい』ジャスティス・スミス/ジャック・ヘヴン 『テレビの中に入りたい』トークショー付き一般試写会 10組20名様ご招待

映画『テレビの中に入りたい』トークショー付き一般試写会 10組20名様ご招待

映画『宝島』妻夫木聡/広瀬すず/窪田正孝 沖縄がアメリカ統治下だったことについてどう思う?『宝島』アンケート特集

【大友啓史監督 × 妻夫木聡、広瀬すず、窪田正孝、永山瑛太】のタッグにより、混沌とした時代を自由を求めて全力で駆け抜けた若者達の姿を描く『宝島』が9月19日より劇場公開されます。この度トーキョー女子映画部では、『宝島』を応援すべく、正式部員の皆さんに同作にちなんだアンケートを実施しました。

映画『ヒックとドラゴン』メイソン・テムズ ヒックとドラゴン【レビュー】

アニメーションの『ヒックとドラゴン』を観てから大好きで、劇場未公開の続編やテレビシリーズも含めて一通り観てきたファンとしては…

映画『タンゴの後で』アナマリア・ヴァルトロメイ/マット・ディロン タンゴの後で【レビュー】

本作の背景を知らずにタイトルとキービジュアルだけ見ると、素敵なラブストーリーと勘違いする方もいるかも…

海外ドラマ『9-1-1 LA救命最前線 シーズン7』ライアン・グスマン ライアン・グスマン【ギャラリー/出演作一覧】

1987年9月21日生まれ。アメリカ出身。

映画『九龍ジェネリックロマンス』吉岡里帆/水上恒司 九龍ジェネリックロマンス【レビュー】

“ジェネリックロマンス”という要素から何を期待するのか、そして本作で描かれる“ジェネリックロマンス”をどう受け取るのかは…

本サイト内の広告について

本サイトにはアフィリエイト広告バナーやリンクが含まれます。

おすすめ記事

映画『宝島』妻夫木聡/広瀬すず/窪田正孝 沖縄がアメリカ統治下だったことについてどう思う?『宝島』アンケート特集

【大友啓史監督 × 妻夫木聡、広瀬すず、窪田正孝、永山瑛太】のタッグにより、混沌とした時代を自由を求めて全力で駆け抜けた若者達の姿を描く『宝島』が9月19日より劇場公開されます。この度トーキョー女子映画部では、『宝島』を応援すべく、正式部員の皆さんに同作にちなんだアンケートを実施しました。

映画『スーパーマン』デイビッド・コレンスウェット 映画好きが選んだDCコミックス映画ランキング

今回は正式部員の皆さんに好きなDCコミックス映画について投票していただきました。“スーパーマン”や“バットマン”など人気シリーズが多くあるなか、上位にはどんな作品がランクインしたのでしょう?

映画『ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング』トム・クルーズ 映画好きが選んだトム・クルーズ人気作品ランキング

毎度さまざまな挑戦を続け、人気を博すハリウッドの大スター、トム・クルーズ。今回は、トム・クルーズ出演作品(日本劇場未公開作品を除く)を対象に、正式部員の皆さんに投票していただきました。

学び・メンタルヘルス

  1. 映画『ネクスト・ゴール・ウィンズ』マイケル・ファスベンダー
  2. 映画『バーバラと心の巨人』マディソン・ウルフ
  3. 映画『We Live in Time この時を生きて』フローレンス・ピュー/アンドリュー・ガーフィールド

REVIEW

  1. 映画『バード ここから羽ばたく』ニキヤ・アダムズ/バリー・コーガン
  2. 映画『カラダ探し THE LAST NIGHT』橋本環奈/眞栄田郷敦/櫻井海音/安斉星来/鈴木福/本田真凜/吉田剛明
  3. 映画『ヒックとドラゴン』メイソン・テムズ
  4. 映画『タンゴの後で』アナマリア・ヴァルトロメイ/マット・ディロン
  5. 映画『九龍ジェネリックロマンス』吉岡里帆/水上恒司

PRESENT

  1. 映画『テレビの中に入りたい』ジャスティス・スミス/ジャック・ヘヴン
  2. 映画『てっぺんの向こうにあなたがいる』吉永小百合
  3. 映画『ムガリッツ』
PAGE TOP