REVIEW

名もなき者/A COMPLETE UNKNOWN【レビュー】

  • follow us in feedly
  • RSS
映画『名もなき者/A COMPLETE UNKNOWN』ティモシー・シャラメ

REVIEW

1941年5月、アメリカのミネソタ州で生まれたボブ・ディランは、1962年に“ボブ・ディラン”というアルバムでデビューしました。現在までにリリースしたアルバムセールスは全世界で累計1億2500万を超え、2012年に文民最高位とされる“大統領自由勲章”、2016年にはノーベル文学賞を受賞しています(映画公式資料)。そんなボブ・ディランがデビューする前の1961年、彼が19歳だった頃から本作の物語はスタートします。

映画『名もなき者/A COMPLETE UNKNOWN』ティモシー・シャラメ

映画公式資料によると、ボブ・ディランを演じたティモシー・シャラメは、ボイストレーニングとギター、ハーモニカの習得に5年間を費やしたといいます。こうした背景や、来日したティモシー・シャラメ自身が語っていた本作への思い入れはもちろん、劇中での憑依ぶりから、いかにこの作品に入魂してきたかが伝わってきます。

映画『名もなき者/A COMPLETE UNKNOWN』ティモシー・シャラメ

本作はフィクションも交えつつ、事実に基づいて描かれています。初期のボブ・ディランは、フォークソングで人気を得ていたものの、1965年に開催された“ニューポート・フォーク・フェスティバル”で「エレクトリック・スタイルのハードな演奏」をして物議を醸したそうです(映画公式資料)。そうしたエピソードを知る方は、当時彼の心の内で何が起きていたのか、1つの解釈を得られるでしょう。

映画『名もなき者/A COMPLETE UNKNOWN』ティモシー・シャラメ

一方、ボブ・ディランをよく知らない方でも、大スターの苦悩とともに、彼を影で支えた人達の目線で共感できるポイントが見つかると思います。いくつか印象に残るセリフがある中で、特にエル・ファニングが演じたシルヴィが月と星に喩えていった言葉や、予告編にもある、ボブ・ディランの「彼らが望んでない俺自身でいたい」という言葉には、スターの宿命のようなものを感じます。ただ、そうした苦悩や葛藤を乗り越えて、“自分”を打ち出したからこそボブ・ディランは唯一無二の人物になったのだなと感じます。

映画『名もなき者/A COMPLETE UNKNOWN』ティモシー・シャラメ/エル・ファニング

『17歳のカルテ』や『ウォーク・ザ・ライン/君につづく道』『フォードvsフェラーリ』など名作を多く手掛けてきたジェームズ・マンゴールド監督のもと、ティモシー・シャラメ、エドワード・ノートン、エル・ファニング、モニカ・バルバロ、ボイド・ホルブルック、ダン・フォグラー、スクート・マクネイリーなど豪華俳優陣が名演を見せている本作は、ボブ・ディランのファンや音楽ファンはもちろん、映画ファン、夢を追う方々に広く観て欲しい1作です。

デート向き映画判定

映画『名もなき者/A COMPLETE UNKNOWN』ティモシー・シャラメ/エル・ファニング

切ない恋愛模様も印象的に描かれているので、不安定な状況にいるカップルがデートで観ると微妙な空気になるかもしれません(苦笑)。一方で、音楽好きなカップルや、ボブ・ディランのファン同士なら、鑑賞後の会話が盛り上がるのではないでしょうか。夢を追う方とお付き合いをされている方や、自分自身が夢と恋愛の両立で悩んでいる方は、自分の心と向き合う機会になりそうなので、1人でじっくり観るのがオススメです。

キッズ&ティーン向き映画判定

映画『名もなき者/A COMPLETE UNKNOWN』ティモシー・シャラメ

ボブ・ディラン自身をあまり知らなくても、10代の青年の物語として感情移入できる部分が大いにあると思います。程度は横に置いておいて、現代は誰でも有名になることはできます。皆さんの世代なら、スターになりたいと憧れを持つ方もいるでしょう。本作を観ると、スターの裏側の苦悩も観ることができるので、自分自身の価値観を問うきっかけになると思います。

映画『名もなき者/A COMPLETE UNKNOWN』ティモシー・シャラメ

『名もなき者/A COMPLETE UNKNOWN』
2025年2月28日より全国公開
ウォルト・ディズニー・ジャパン
公式サイト

ムビチケ購入はこちら
映画館での鑑賞にU-NEXTポイントが使えます!無料トライアル期間に使えるポイントも

©2025 Searchlight Pictures.

TEXT by Myson

本ページには一部アフィリエイト広告のリンクが含まれます。
情報は2025年2月時点のものです。最新の販売状況や配信状況は各社サイトにてご確認ください。

関連記事
  • follow us in feedly
  • RSS

新着記事

【東京コミコン2025】オープニング:イライジャ・ウッド、カール・アーバン、リー・トンプソン、トム・ウィルソン、クローディア・ウエルズ、ダニエル・ローガン、ジョン・バーンサル、クリスティーナ・リッチ、イヴァナ・リンチ、ノーマン・リーダス、ショーン・パトリック・フラナリー、ジャック・クエイド、マッツ・ミケルセン、浅野忠信、ピルウ・アスベック、セバスチャン・スタン、ジム・リー、C.B.セブルスキー、フランク・ミラー、クリストファー・ロイド、中丸雄一(MC)、伊織もえ(PR大使)、山本耕史(アンバサダー) 『バック・トゥ・ザ・フューチャー』一行や人気アメコミ出演者達が勢揃い!【東京コミコン2025】オープニングセレモニー

年末恒例行事となった東京コミコンのオープニングセレモニーを取材してきました。今年は過去最高といえるのではないかという数のスター達が来日してくれました。

映画『ズートピア2』 ズートピア2【レビュー】

さまざまな動物達が人間と同じように暮らすズートピアを舞台にした本シリーズは…

映画『エディントンへようこそ』ホアキン・フェニックス/ペドロ・パスカル エディントンへようこそ【レビュー】

アリ・アスター監督とホアキン・フェニックスの2度目のタッグが実現した本作は、メディアの情報に翻弄される人々の様子を…

映画『愚か者の身分』林裕太 林裕太【ギャラリー/出演作一覧】

2000年11月2日生まれ。東京都出身。

映画『ペンギン・レッスン』スティーヴ・クーガン ペンギン・レッスン【レビュー】

『ペンギン・レッスン』というタイトルが醸し出す世界観、スティーヴ・クーガンやジョナサン・プライスといった名優がメインキャストに名を連ねていることからして…

映画『WIND BREAKER/ウィンドブレイカー』水上恒司/木戸大聖/八木莉可子/綱啓永/JUNON(BE:FIRST)/中沢元紀/曽田陵介/萩原護/髙橋里恩/山下幸輝/濱尾ノリタカ/上杉柊平 WIND BREAKER/ウィンドブレイカー【レビュー】

にいさとる作の同名漫画を原作とする本作は、不良グループが街を守るというユニークな設定…

映画『ナイトフラワー』北川景子 北川景子【ギャラリー/出演作一覧】

1986年8月22日生まれ。兵庫県出身。

映画『君の顔では泣けない』芳根京子/髙橋海人 映画レビュー&ドラマレビュー総合アクセスランキング【2025年11月】

映画レビュー&ドラマレビュー【2025年11月】のアクセスランキングを発表!

映画『佐藤さんと佐藤さん』岸井ゆきの/宮沢氷魚 映画に隠された恋愛哲学とヒント集80:おしどり夫婦こそ油断禁物!夫婦関係の壊れ方

どんなに仲が良く、相性の良さそうな2人でも、夫婦関係が壊れていく理由がわかる3作品を取り上げます。

映画『マルドロール/腐敗』アントニー・バジョン マルドロール/腐敗【レビュー】

国民を守るためにあるはずの組織が腐敗し機能不全となった様を描いた本作は、ベルギーで起き、1996年に発覚したマルク・デュトルー事件を基に…

本サイト内の広告について

本サイトにはアフィリエイト広告バナーやリンクが含まれます。

おすすめ記事

映画学ゼミ2025年12月募集用 人間特有の感情や認知の探求【映画学ゼミ第3回】参加者募集!

今回は、N「湧き起こる感情はあなたの性格とどう関連しているのか」、S「わかりやすい映画、わかりにくい映画に対する快・不快」をテーマに実施します。

映画『悪党に粛清を』来日舞台挨拶、マッツ・ミケルセン 映画好きが選んだマッツ・ミケルセン人気作品ランキング

“北欧の至宝”として日本でも人気を誇るマッツ・ミケルセン。今回は、マッツ・ミケルセン出演作品(ドラマを除く)を対象に、正式部員の皆さんに投票していただきました。上位にはどんな作品がランクインしたのでしょうか?

映画『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊』ウェス・アンダーソン監督 映画好きが選んだウェス・アンダーソン監督人気作品ランキング

今回は、ウェス・アンダーソン監督作品を対象に、正式部員の皆さんに投票していただきました。人気作品が多くあるなか、上位にランクインしたのは?

学び・メンタルヘルス

  1. 映画学ゼミ2025年12月募集用
  2. 映画『エクスペリメント』エイドリアン・ブロディ
  3. 映画学ゼミ2025年11月募集用

REVIEW

  1. 映画『ズートピア2』
  2. 映画『エディントンへようこそ』ホアキン・フェニックス/ペドロ・パスカル
  3. 映画『ペンギン・レッスン』スティーヴ・クーガン
  4. 映画『WIND BREAKER/ウィンドブレイカー』水上恒司/木戸大聖/八木莉可子/綱啓永/JUNON(BE:FIRST)/中沢元紀/曽田陵介/萩原護/髙橋里恩/山下幸輝/濱尾ノリタカ/上杉柊平
  5. 映画『君の顔では泣けない』芳根京子/髙橋海人

PRESENT

  1. 映画『楓』福士蒼汰/福原遥
  2. 映画『楓』旅からはじまるトラベルポーチ
  3. 映画『Fox Hunt フォックス・ハント』トニー・レオン
PAGE TOP