REVIEW

ナイトメア・アリー【レビュー】

  • follow us in feedly
  • RSS
映画『ナイトメア・アリー』ブラッドリー・クーパー/ケイト・ブランシェット

ギレルモ・デル・トロ監督作品といえば、クリーチャーが象徴的な存在ということで、本作ではどんなクリーチャーが登場するのかと期待して観る方もいらっしゃるのではないでしょうか。でも、本作のクリーチャーはこれまでの作品とは異なり、見た目ではなく心理的な怖さを感じさせます。これは観る方それぞれの解釈によると思いますが、私個人の解釈では、本作のクリーチャーは比喩的なもので、その正体は結末でようやく明かされたと感じました。クライマックスで薄々「まさか…?」といや〜な予感がしてきて、最後に「やっぱりか!」というシーンがあり、その後さらに残酷な結末が待っています。私は予想が的中した嬉しさ反面、ゾクゾクッと背筋が凍る思いがしました。ブラッドリー・クーパーが演じる主人公が最後に見せる何ともいえない表情の裏にある心情を観る側も体感できます。さすが、ギレルモ・デル・トロ監督!この感覚こそ今作の醍醐味だと思うのでぜひ皆さんも味わってください。
中盤まではロマンチックなラブストーリーを観ているような感覚ですが、後半はガラリとトーンが変わり、物語にどんどん闇が立ちこめてきます。本作ではショービズの世界が舞台になっていて、その中で主人公スタントン・カーライル(ブラッドリー・クーパー)が体得するトリックが物語の鍵となり、彼の運命をも狂わせていきます。後半の展開で彼の歯車がどこから狂ってきているかを予想するおもしろさがあり、油断した頃にドッヒャーという展開が待っています。私は「やっぱりおかしいと思ったんだよね」と思いながらも騙されたところがありました。そんなどんでん返しも楽しんでください。そして、実力派キャストがズラリ揃った点でも映画好きの皆さん必見の作品です。

デート向き映画判定
映画『ナイトメア・アリー』ブラッドリー・クーパー/ルーニー・マーラ

前半はロマンチック、でも後半にいろいろあるので、観終わった後はロマンチックなムードになるという感じではないと思いますが、いろいろと振り返ってしゃべりたくなるという意味では会話が弾むでしょう。反面教師として観られる部分もあるので、エンタテインメントとして楽しみつつ、カップルとして気を付けたほうが良い点も参考にすると良さそうです。

キッズ&ティーン向き映画判定
映画『ナイトメア・アリー』ブラッドリー・クーパー/ケイト・ブランシェット

上映時間が150分と長く、内容も大人向けなので、小学生以下の皆さんにはちょっとハードルが高いかもしれませんが、ティーンの皆さんは興味を持ちそうな要素もあると思います。主人公のスタントンが使う技は人間の心理をついたもので、そのカラクリにも興味を持てるでしょうし、キャラクター同士の駆け引きの中にもいろいろな心理戦が含まれているので、会話を注意深く聞くと一層楽しめますよ。

映画『ナイトメア・アリー』ブラッドリー・クーパー/ケイト・ブランシェット/トニ・コレット/ルーニー・マーラ

『ナイトメア・アリー』
2022年3月25日より全国公開
ウォルト・ディズニー・ジャパン
公式サイト

©2021 20th Century Studios. All rights reserved.

TEXT by Myson

関連記事
  • follow us in feedly
  • RSS

新着記事

映画『戦争と女の顔』ヴィクトリア・ミロシニチェンコ ヴィクトリア・ミロシニチェンコ【ギャラリー/出演作一覧】

1994年5月17日生まれ。ロシア出身。

映画『ファンファーレ!ふたつの音』エマニュエル・クールコル監督インタビュー 『ファンファーレ!ふたつの音』エマニュエル・クールコル監督インタビュー

フランスで3週連続NO.1(仏映画興収/実写映画において)を獲得し、260万人動員の大ヒットを記録した話題作『ファンファーレ!ふたつの音』。今回は本作のエマニュエル・クールコル監督にインタビューさせていただきました。

映画『ひゃくえむ。』 ひゃくえむ。【レビュー】

魚豊著の『チ。 ―地球の運動について―』がすごく好きなので、絶対に本作も…

映画『お嬢と番犬くん』櫻井海音 櫻井海音【ギャラリー/出演作一覧】

2001年4月13日生まれ。東京都出身。

映画『ボーイ・キルズ・ワールド:爆拳壊界流転掌列伝』ビル・スカルスガルド ボーイ・キルズ・ワールド:爆拳壊界流転掌列伝【レビュー】

実に楽しい!良い意味で「なんじゃこりゃ?」というハチャメチャなノリなのに…

ポッドキャスト:トーキョー女子映画部チャンネルアイキャッチ202509 ポッドキャスト【トーキョー女子映画部チャンネル】お悩み相談「どうしたらいい出会いがありますか?」他

今回は、正式部員の皆さんからいただいたお悩み相談の中から、下記のお2人のお悩みをピックアップして、マイソンなりにお答えしています。最後にチラッと映画の紹介もしています。

映画『ザ・ザ・コルダのフェニキア計画』ベニチオ・デル・トロ/ミア・スレアプレトン/マイケル・セラ ザ・ザ・コルダのフェニキア計画【レビュー】

REVIEWこれぞウェス・アンダーソン監督作という、何から何までかわいい世界観でありながら…

映画『宝島』部活:座談会/大友啓史監督 この映画で問いかけたい「宝」とは…大友啓史監督と語ろう『宝島』部活リポート後編

前回に引き続き今回は映画『宝島』の部活リポートをお届けします。後編では、事前に正式部員の方々にお答えいただいたアンケート結果について議論しました。今回も熱いトークが繰り広げられています!

映画『こんな事があった』前田旺志郎/窪塚愛流 こんな事があった【レビュー】

2021年夏の福島を舞台に、主人公の17歳の青年のほか、震災後も苦悩しながら生きる人々の姿を…

映画『パルテノペ ナポリの宝石』セレステ・ダッラ・ポルタ セレステ・ダッラ・ポルタ【ギャラリー/出演作一覧】

1997年12月24日生まれ。イタリア出身。

本サイト内の広告について

本サイトにはアフィリエイト広告バナーやリンクが含まれます。

おすすめ記事

映画『宝島』部活:座談会/大友啓史監督 この映画で問いかけたい「宝」とは…大友啓史監督と語ろう『宝島』部活リポート後編

前回に引き続き今回は映画『宝島』の部活リポートをお届けします。後編では、事前に正式部員の方々にお答えいただいたアンケート結果について議論しました。今回も熱いトークが繰り広げられています!

映画『宝島』部活:座談会/大友啓史監督 ファストムービー時代の真逆を行こうと覚悟を決めた!大友啓史監督と語ろう『宝島』部活リポート前編

『るろうに剣心』シリーズ、『レジェンド&バタフライ』などを手掛けた大友啓史監督が<沖縄がアメリカだった時代>を描いた映画『宝島』。今回、当部の部活史上初めて監督ご本人にご参加いただき、映画好きの皆さんと一緒に本作について語っていただきました。

映画『宝島』妻夫木聡/広瀬すず/窪田正孝 沖縄がアメリカ統治下だったことについてどう思う?『宝島』アンケート特集

【大友啓史監督 × 妻夫木聡、広瀬すず、窪田正孝、永山瑛太】のタッグにより、混沌とした時代を自由を求めて全力で駆け抜けた若者達の姿を描く『宝島』が9月19日より劇場公開されます。この度トーキョー女子映画部では、『宝島』を応援すべく、正式部員の皆さんに同作にちなんだアンケートを実施しました。

学び・メンタルヘルス

  1. 映画『ふつうの子ども』嶋田鉄太/瑠璃
  2. 映画『ネクスト・ゴール・ウィンズ』マイケル・ファスベンダー
  3. 映画『バーバラと心の巨人』マディソン・ウルフ

REVIEW

  1. 映画『ひゃくえむ。』
  2. 映画『ボーイ・キルズ・ワールド:爆拳壊界流転掌列伝』ビル・スカルスガルド
  3. 映画『ザ・ザ・コルダのフェニキア計画』ベニチオ・デル・トロ/ミア・スレアプレトン/マイケル・セラ
  4. 映画『こんな事があった』前田旺志郎/窪塚愛流
  5. 映画『ブロークン 復讐者の夜』ハ・ジョンウ

PRESENT

  1. 映画『ホーリー・カウ』クレマン・ファヴォー
  2. 映画『ぼくらの居場所』リアム・ディアス/エッセンス・フォックス/アンナ・クレア・ベイテル
  3. 映画『ミーツ・ザ・ワールド』杉咲花/南琴奈/板垣李光人
PAGE TOP