REVIEW

いつなら産みたい?いつなら産める?妊娠・出産特集

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映画『1%の風景』

本記事で最初に取り上げる『ポッド・ジェネレーション』と『1%の風景』は、真逆の視点、つまり最先端科学技術の視点と、伝統的で自然な方法の視点、両方から“生命の誕生”を考えるきっかけをくれます。いずれの選択にも、ママ達の大きな覚悟が背景にあります。妊娠、出産は、女性の人生に大きく影響するからこそ、子どもを欲しいとしても、いつなら良いのかという問題があります。同時に、身体的なリミットもあり、いつまでもタイミングを伸ばすわけにはいきません。
今回は妊娠、出産における心のタイミング、身体のタイミングにまつわる作品をご紹介します。

ポッド・ジェネレーション

映画『ポッド・ジェネレーション』エミリア・クラーク/キウェテル・イジョフォー
映画『ポッド・ジェネレーション』エミリア・クラーク/キウェテル・イジョフォー

2023年12月1日より全国公開
パルコ
監督:ソフィー・バーセス
出演:エミリア・クラーク/キウェテル・イジョフォー
公式サイト ムビチケ購入はこちら
ソフィー・バーセス 監督インタビュー

REVIEW
物語の舞台は今よりもっとAIが進化した近未来。朝起きるとすぐに朝食の用意や、体調管理のアドバイス、その日着ていく服の選定まで何でもAIがやってくれる一見とても便利な生活が映し出されます。そして、この世界では“子宮センター”なる施設があり、受精卵が赤ちゃんとなって世に出てくるまで“ポッド”で育てるという選択肢があります。主人公のレイチェル(エミリア・クラーク)はいつか子どもが欲しいと考えていた矢先、昇進の話が舞い込み、ポッドを使うことを視野に入れます。ただ、植物学者で自然派主義の夫アルヴィーになかなか相談できずにいます。
本作は、働く女性の支援、晩婚化に伴う高齢出産、少子化問題と、課題が山積みの現代に問いかけるストーリーです。妊娠によって女性はキャリアを諦めなければいけない可能性を否定できない状況で、ポッドは一見画期的な対策に思えます。ただ、本作を観ると科学技術に頼るにも限度があると痛感させられます。ここまでいくと、“我が子”なのにもはや“商品”のように扱われていて怖くなります。
妊娠にまつわる医療の背景には、いつか子どもが欲しい人だけではなく、欲しいのに授からない人の問題もあります。何でもかんでも自然に任せれば良いとも言い切れないなかで、それぞれのカップルがどんな選択をするべきか、必ず悩むと思います。そんな時に本作は自分達の価値観に気付かせてくれるきっかけになると思います。

1%の風景

映画『1%の風景』
映画『1%の風景』渡辺愛(つむぎ助産所)/神谷整子(みづき助産院)ほか

2023年11月11日より全国順次公開
リガード
監督・撮影・編集:吉田夕日
出演:渡辺愛(つむぎ助産所)/神谷整子(みづき助産院)/菊田冨美子/飯窪愛/山本宗子/平塚克子
公式サイト

REVIEW
医療技術が進歩した現代で、出産の方法が増えてきたなか、99%の妊婦さんが病院やクリニックで出産するとのことです。本作は、助産所や自宅での出産を選んだ1%の妊婦さんのお産の現場で活躍する助産師さん達の日常を追ったドキュメンタリーです。
助産所では手厚いケアが行われていて、妊婦さんと助産師さんが密に関わっている光景が映ります。産んだ後のケアも手厚く、助産師さんが家族の一員になっているような距離感が印象的です。また、産まれてくるタイミングなども自然に任せるため、ベテランの助産師さん達の細かい観察力、対応力のスゴさを実感します。日々のやり取りのなかで妊婦さんがふと見せる不安にも敏感で、助産師さんの心のケアもママ達の支えになっているのが伝わってきます。
本作では、自然な営みとしての出産が捉えられていて、痛みに耐えながら出産に臨む妊婦さん達の姿はかなり壮絶です。本当に全身全霊をかけて子どもを産む姿を観られると同時に、私達生き物が授かった神秘の力を感じます。また、助産師さんの会話の中で、今は出産のスケジュールを決めたり、コントロールができるようになったけれど、昔は赤ちゃんのタイミングに合わせていたんだという言葉が印象的でした。赤ちゃんのタイミングで出てくるのを忍耐強く待つという行為も、とても意味深く感じます。
この1%の光景は、医療技術に頼るか、自然に産むかのどちらが正しいというのではなく、親になるとはどういうことなのかを教えてくれます。

旧作は、配信会社のリンクをクリックして、ぜひご覧ください。

私達はまだ子ども

先生を流産させる会

映画『先生を流産させる会』

監督・脚本:内藤瑛亮
出演:宮田亜紀/小林香織/高良弥夢/竹森菜々瀬/場涼乃/室賀砂和希/大沼百合子
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中学生女子の目に妊娠はどう見えているのか。衝撃的な内容でありつつ、女になることへの抵抗感を客観視できます。

コドモのコドモ

監督:萩生田宏治
出演:甘利はるな/伊藤梨沙子/川村悠椰/大熊彩花/帯金遼太
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小学5年生の女の子が主人公です。性行為への好奇心から…。

朝が来る

映画『朝が来る』蒔田彩珠

監督・脚本:河瀨直美
出演:永作博美/井浦新/蒔田彩珠/浅田美代子/佐藤令旺/田中偉登/中島ひろ子/平原テツ/駒井蓮/山下リオ/森田想/堀内正美/山本浩司/三浦誠己/池津祥子/若葉竜也/青木崇高/利重剛
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心は子どもでも、身体は大人。母性の芽生えもいつどう変化するのかわかりません。

JUNO/ジュノ

監督:ジェイソン・ライトマン
出演:エレン・ペイジ/マイケル・セラ/ジェニファー・ガーナー/ジェイソン・ベイトマン/J・K・シモンズ
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予期しない妊娠で将来の計画が激変してしまうのは女性だけ。

17歳の瞳に映る世界

映画『17歳の瞳に映る世界』シドニー・フラニガン

監督・脚本:エリザ・ヒットマン
出演:シドニー・フラニガン/タリア・ライダー/セオドア・ペレリン/ライアン・エッゴールド/シャロン・ヴァン・エッテン
REVIEW/デート向き映画判定/キッズ&ティーン向き映画判定 Amazonプライムビデオで観る U-NEXTで観る

半分大人で半分子どもの10代だからこそ、身動きが取れずに苦しみます。

母になる心の準備は難しい

あのこと

映画『あのこと』アナマリア・ヴァルトロメイ

R-15+
監督:オードレイ・ディヴァン
出演:アナマリア・ヴァルトロメイ/サンドリーヌ・ボネール
REVIEW/デート向き映画判定/キッズ&ティーン向き映画判定 Amazonプライムビデオで観る U-NEXTで観る Huluで観る

中絶手術が禁じられていた時代に生きる女子大生の苦渋の選択。

ベイビー・ブローカー

映画『ベイビー・ブローカー』ソン・ガンホ/カン・ドンウォン/イ・ジウン

監督・脚本・編集:是枝裕和
出演:ソン・ガンホ/カン・ドンウォン/ ペ・ドゥナ/イ・ジウン/イ・ジュヨン
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1人で子どもを育てる不安の大きさは計り知れません。支えてくれる人がいれば…。

Swallow/スワロウ

映画『Swallow/スワロウ』ヘイリー・ベネット

R-15+
監督・脚本:カーロ・ミラベラ=デイヴィス
出演:ヘイリー・ベネット/オースティン・ストウェル/エリザベス・マーヴェル/デヴィッド・ラッシュ/デニス・オヘア
REVIEW/デート向き映画判定/キッズ&ティーン向き映画判定 心理学から観る映画26:異食症はなぜ起こる? Amazonプライムビデオで観る U-NEXTで観る Huluで観る

「結婚したら子どもを産むのが当たり前」ではない!

子どもを望んだとしても、その先にあるハードルの数々

40歳からの家族ケーカク

映画『40歳からの家族ケーカク』ポール・ラッド/レスリー・マン

監督:ジャド・アパトー
出演:ポール・ラッド/レスリー・マン/ミーガン・フォックス/アルバート・ブルックス/ジョン・リスゴー/ジェイソン・シーゲル/モード・アパトー/アイリス・アバトー
REVIEW 未公開映画活性課 Amazonプライムビデオで観る

そうなってみてから気付く、子作りのハードル。

マイ・ベスト・フレンド

映画『マイ・ベスト・フレンド』トニ・コレット/ドリュー・バリモア

監督:キャサリン・ハードウィック
出演:トニ・コレット/ドリュー・バリモア/ドミニク・クーパー/パディ・コンシダイン
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女性が抱える身体の問題はさまざま。

ジーン・ワルツ

映画『ジーン・ワルツ』菅野美穂

監督:大谷健太郎
出演:菅野美穂/田辺誠一/大森南朋/風吹ジュン/浅丘ルリ子
REVIEW/デート向き映画判定

代理母出産をどう考えるか。医師の立場から描いています。

本ページの情報は2023年11月時点のものです。最新の販売状況や配信状況は各社サイトにてご確認ください。

TEXT by Myson

©2023 YZE – SCOPE PICTURES – POD GENERATION
©2023 SUNSET FILMS
©2011 内藤組
©2020『朝が来る』Film Partners
©2020 FOCUS FEATURES LLC
©2020 FOCUS FEATURES, LLC. All Rights Reserved.
©2021 RECTANGLE PRODUCTIONS – FRANCE 3 CINÉMA – WILD BUNCH – SRAB FILMS
©2022 ZIP CINEMA & CJ ENM Co., Ltd., ALL RIGHTS RESERVED
Copyright © 2019 by Swallow the Movie LLC. All rights reserved.
©2015 S FILMS(MYA) LIMITED
©2011「ジーン・ワルツ」製作委員会
©2011 Universal Studios. All Rights Reserved.

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部活・イベント

  1. 【ARUARU海ドラDiner】サムライデザート(カップデザート)
  2. 【ARUARU海ドラDiner】トーキョー女子映画部 × Mixalive TOKYO × SHIDAX
  3. 【ARUARU海ドラDiner】サポーター集会:パンチボール(パーティサイズ)
  4. 【ARUARU海ドラDiner】プレオープン
  5. 「ARUARU海ドラDiner」202303トークゲスト集合

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